"Med-Hobbyist" 趣味人のアウトプット日記

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本:【いい子症候群の若者たち】先生、どうか皆の前でほめないで下さい

読書ログ(書籍紹介)

先生、どうか皆の前でほめないで下さい: いい子症候群の若者たち

金間大介(著)

 

<目次>

 

 今回は、仕事や課外活動などで若い人関わることがある全年齢の人にお薦めの書籍です。若者(大学生から20代半ばまで)と定義されており、だいたい1995年生まれから2005年生まれぐらいでしょうか。若者の考え方の解釈として、「いい子症候群」というキーワードとともに興味深い解釈をする本の読書ログです。

 この読書ログをこの先、読んでみようという人は若い人でも「いい子症候群」ではない人かもしれません。私自身の身近なところにも当てはめてみようと思います。

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【こんな人にオススメ】

  • リーダーシップを発揮することがある人
  • 若い人と共同作業をする人
  • 若い人が「何を考えているか分からない」と思ったことのある人
  • 若い人に働きかけていきたい

 

 

1.いい子症候群とは

 まずは、この書籍のキーワードでもあるいい子症候群についてです。私なりにではありますが、この本の「いい子症候群」というのは大体次のような解釈でしょうか。

**********

 素直でいい子、まじめでいい子であるものの横並びを好み、表で褒められることを大いに恐れ、私たちから見れば良いことであっても目立つことは「目をつけられる」とお恐れている。勝利への意識は弱まっているものの、負けることも恐れている。リーダーは嫌、皆で決めたい。グループディスカッションもテンプレを持っており、就職活動の「私服」も画一化、エントリーシートもネットの情報に依存する傾向にあり、横一列である。ヨコの平等圧力は年々強まっている。

 タテの社会である会社への就職後、いい子症候群の人たちは上司や先輩に対しては、何が正解かを考える癖がついており、同期などに対しては、表面的で軽い関係を維持し、後輩には「怖い」という感情を抱いている。そして、表面的にみんなに合わせている。そして、指示待ち集団で答えを教えてくれるのを待つ。

**********

 しかし、これぐらいは何となくすでに感じ取っている人も多いと思います。横並び志向は、日本社会では若者に限った話でもないような気もします。例えば、一億中流で企業に勤め、郊外のニュータウンに家を買って、…と同じような気がします。時代とともに横並びの気にする点が変わったのかな、と感じました。

 気にする点が変わったという視点で、誰か若い人に発言を求めることだけでなく、表で誰かを褒めるということでも嫌がられる可能性があるのは要注意に感じました。この人なら答えられるから当てて褒めるというようなことをした記憶もあり、多いに反省しています。
 また、指示待ちという点についても、教育が「学び方」を学ぶ教育ではない、答えありきという点も原因ではないかと感じました。「試験にこれが大切」、「答えがない試験はあり得ない」というような、教える側や入試、親の考え方の結果である側面もあるように思います。

 

 

2.印象的な部分と個人的な解釈

 まずは最も印象的であった部分です。何だかデジャブ感がある方もいらっしゃると思います。

 

究極の"してもらい上手"

 究極のしてもらい上手としての主導権逆転の手順が印象的でした。そして、何かをしてあげたいという大人の自己効力感を見事に操っていました。

究極のしてもらい上手

 若者における主導権逆転の手順をここに公開する。

1.まずは意欲を見せる。がんばりたいです、と言う。

2.同時に、素直でまじめな若者オーラを放つ

3.それ以外の余計な言葉は発しない

4.それ以外の余計な言葉は発しない

5.ついでに本当はした方が良いと思われる行動もしない。例えば、決して質問したりしてはいけない。

(中略)

9.時折、疲れた顔や難しい顔をする。

10.ゴール!試合終了。これで大人は全部やってくれます。

(出典)先生、どうか皆の前でほめないでください いい子症候群の若者たち,金間大介,東洋経済新報社

 

 どこかで見覚えがないでしょうか。やりたい人が集まったはずの課外活動(学生団体)でも、リーダーシップを発揮している人から、何だか似たようなことを複数回は相談されたような気がします。

 いい子症候群の若者のやりたくないことはリーダーシップを発揮することでした。なので、課外活動のグループで誘われて入った人の中にいい子症候群の人がいれば、説明可能な解釈だと感じました。そして、リーダーの後継者問題や、メンバーからの「⚫︎×やってみたい」という意見が出ないことに悩んでいるというようなことが、何だか腑に落ちませんか。心理的安全性という解釈もできると思いますが、いい子症候群では同期のグループ内の場合でも説明可能だと思います。

 

学歴志向・肩書志向

 これは意外だと感じました。しかし、データでは学歴志向、役職・肩書志向コネが大事、資格を活かしたいという結果に。横並びが好きなら肩書きや学歴で競うことはないと思ったのですが、ここでもなるほどという解釈がされていました。

 

 いい子症候群の若者にとって、学歴社会よりもずっと受け入れがたいものがある。そんなことと向き合うぐらいなら学歴社会上等と思わせるもの。「学生の個性や能力をじっくりと見極め、時間をかけて採用する方法」だ。なるべく目立たなく、なるべく横並びで、なるべく競争せず、なおかつ自分に自信がない学生にとって、こんな採用プロセスは圧のかたまりでしかない。

(出典)先生、どうか皆の前でほめないでください いい子症候群の若者たち,金間大介,東洋経済新報社

 

 学歴社会はあくまで大学受験までの結果ということでしょうか。そう考えれば、AO入試等の一部の入試を除いて、学生の個性や幅広い能力をじっくり評価されることはなく、暗記などのいわゆる受験勉強で決まりますね。

 ここで疑問に感じたことがあります。本来であれば学歴(受験の延長の事務処理能力)や肩書きは、ある程度能力を反映するものであるはずです。しかし、いい子症候群の傾向のまま学歴や肩書きを求めれば、肩書きと能力の不一致の増加や「肩書きインフレ、肩書きに執拗してしまうような事態に陥るリスクがあると感じました。

 過去の体験から例を考えてみます。学生であることを考えると、〇〇団体の代表、副代表、会計、その他ぐらいであった10名程度の団体があったとします。いい子症候群の流れを受けて、代表、副代表、会計、事務、レク、連絡係、スタッフ(本来役職なしと同じ気が…)というようになるのでしょうか。そうしたら、皆が役職を持つことができ、さらには細分化して役職が被らないほど増えれば、横並びであるかどうかすら考えなくてよくなるというメリットがいい子症候群の人にはありそうです。一方で、「役職インフレ」や団体の活動が縦割りになりやすそうな気もします。もしかすると、医学部の勉強会や学生/研修医部門などの運営について後輩から相談を受けるのも関係があるかもしれないとふと感じました。

【参考】 医学部・医療系勉強会の運営 ~悩むより楽しもう~ 体験談

 役職・肩書志向の延長として、賞状(表彰)はどうなんでしょうか。例えば、全国大会がひとつしかなかったところに、A社大会、B新聞社杯 大会というような形で似たようなコンペを多数開催し、その賞を持って肩書きのように使う傾向は増えているのか気になるところです。可視化されて増えたように見えるだけでしょうか。純粋に学ぶきっかけや、個人的に仕事・活動に活かす以上に、若い人には賞状のモチベーションになるのでしょうか。

 資格を活かしたいというのも肩書きと同じなのでしょうか。そうだとすれば、この業界では心電図検定、コロナの影響による受験者数はさておき話題としてのUSMLEなどが一部の学生に人気となりつつある理由も解釈できます。さらに従来からの医療の外のMBAやFPといった資格が人気な理由も解釈できそうです。一方で、もっと大きな資格である専門医については若い世代に人気があるのかといえば、この解釈では疑問を感じます。従来から専門医の道を歩んできたことによる流れで、横並び思想でそれなりに専門医の道へ進むものの、専門医制度や勤務環境がネックとなり、若い人の資格志向的な部分があってもボチボチという解釈すればいいのでしょうか。専門医を取ってその資格を活かすという部分で活かしきれない、メリットが少ないと判断していると解釈すればいいのでしょうか。この先、専門医の道に進む若い人が減れば、「皆が取るから私も取る」という考えがなくなり、なし崩し的に崩れていくのでしょうか。

 

 まだ、いい子症候群に該当する年齢層が入社して少しということもあり、入社後ある程度月日が経った後にどのように変化していくのかというところが個人的には興味深いです。

 

 

社会貢献はしたいけど…

 他にも社会貢献したいけど、主体的なボランティアしたくない傾向があり、ナイーブな承認欲求を満たすために社会貢献、それも支援者と非支援者の関係性が分かる支援を好む傾向にあるようです。

 これを具体的に献血東日本大震災のようなボランティアへの年代ごと参加率などを示しながら説明しています。横ならび意識や主体的にボランティアはしないという流れから、「直接頼まれたら、全然やるんですけどね」という意識のようです。ここで、最近の若い人が街づくり等で地域社会へ貢献すること、特に何かお店をしながら、誰か(いい子症候群ではない主体的、リーダー的な人)を軸に町おこしをするメンバーとなっていくことの解釈をすることができるように感じました。特に自分から主体的になるべくしてなったリーダー格の人以外でよく耳にしそうな気がします。地域社会や人の見える関係性の中で何かしたいと言いつつ、恐れでなかなか行動してみることができない人がいる…、そのような状況なのでしょうか。

 

 社会貢献と言えば、途上国支援やボランティアというようなイメージから、地元・地方の街おこしに学生の視点が変わりつつあるように感じていたり、海外志向から地元志向に感じていた部分に何となく納得できそうな解釈のひとつを手に入れたような気がしました。

 

 

3.若者のために

 この本を読んで、いい子症候群の全体像がある程度掴めました。しかし、そこで「最近の若い人は…」となってしまっては老害に一歩近づいてしまうような気がします。この本でいい子症候群と言われる人たちのために、若い人のために、周りとして最も気をつけておきたいことは、目の前にいる人は自分とは異なる方法で、異なる目標異なる結果求めているということだと思います。

 そのためにも、「和」とか「空気を読む」というような同調圧力を若い人の中で発生させないだけでなく、既存のシステムを維持したい側にいる大人が新たなものを否定しないようにする、既存のシステム側へ矯正しないということが大切だと思います。若い人の新たなものが、次の日本を支えてくれる産業等になるかもしれません。周りの国が成長しているのに、現状維持では実質的に徐々に低下していくだけだと思います。一億中流ニュータウンに家を買うような30-40年以上前であれば、すなわちマクロな視点で日本が成長しているときなら、横並びでも成長できたと思うのですが、状況は変わってきているような気がしました。

 そして、既存のシステムを維持する側の人が新たなことへの違和感を感じていることや、新たなことは受け入れられないという無言の圧力を若い人は絶対に感じ取ると思います。例えば、就活で安く労働力を確保しようとしている会社への嗅覚のように。

 少しでも老害にならないためにも、違う世代だけでなく、違う世界新たな人・物事・場所などへ飛び込んでみて、自分の中で当たり前だと思い込んでいることは当たり前ではないことに気がつく経験を意図的に定期的に試みてみるのはいかがでしょうか。私は、少なくとも月に数回(可能な限り毎週1回)は些細なこと・場所でもいいので新たなことに触れ、「今までこうだったからこうあるべき」という感覚は持たないようにして「ここはどうなっているのかな」というようにしています。

 私自身も老害とならないように努めていきたいと思いますので、何卒よろしくお願い致します。



 他にも、大学生が思う公平な分配方法、施されても施し返さない傾向、例題にならう傾向、場を乱さないための演技、協調より同調、地方公務員人気の理由、劣等感、指示待ち人材などの話題もあります。さらには、いい子症候群の人が失敗することや目立つことへのネガティブな恐怖克服したりするヒントもあります。このようなことに興味のある方は是非手に取ってみてください。そして何より、新たなひとつの解釈、さらにそこからの人を巻き込む際のヒントとなるきっかけをありがとうございました。

 また、YouTubeにて「いい子症候群」と検索したところ、トップに次のような動画もヒットしました。著者の金間大介先生もご出演されています。書籍を買うのはハードルが高い方も是非どうぞ。

【いい子】褒められたくない&指示待ちが強固に?「背景に学校裏サイトやLINEグループ」ひろゆきが語る令和の若者|#アベプラ《アベマで放送中》 - YouTube

 

 本日もお読みくださり、ありがとうございました。

菊池病(組織球性壊死性リンパ節炎) ~特徴と鑑別疾患~

菊池病(組織球性壊死性リンパ節炎)

~意外と身近な疾患の特徴鑑別疾患

 

<目的>

 

 私ごとですが、実は1ヶ月ほど前(執筆時点)から一ヶ所だけ頸部が腫れており、表皮は問題なく真皮以下のどこかの病変かなと思っていました。2cmほどの大きさで位置的に私自身では見にくく、ニキビにしては表皮が綺麗(ツルツル)リンパ節腫脹にしては場所・深さが…と感じました。発熱もなく、圧痛もありません。可動性は微妙です。夜(夕方)に運良くショッピングモールに行く機会もあったのですが、そこのクリニックの待ち人数から「当日受診は不可で予約を」と言われて諦めたぐらいです。受診が面倒なまま、そのまま経過しております笑 端くれながら医療関係者がこのようなことを言ってしまうのは元も子もないですが、働いている世代にとって近くのクリニックの受診でさえ、ハードルが高くも感じます。

 さて、話を戻しますと、アラサーである私にとってニキビか粉瘤、あっても「菊池病かな〜」ぐらいにとらえていますが、これを元に菊池病について少し調べてみます。(執筆後に受診して違うことも判明済み・治療済み)



1.菊池病の特徴

 菊池病(菊池・藤本病、組織球性壊死性リンパ節炎)は名前の通り、1972年に日本で初めて記述された疾患です。今回、好発年齢的にも頸部リンパ節腫脹というだけというあたりも、菊池病かなと思っているのですが、どこまで典型例か分からないので調べてみます。

 

疫学・臨床所見

疫学

  • 男女比は 1:4、1:1.6、1:1.26と様々
  • 他にも男女比は同等であったという韓国での報告もある
  • アジアでの報告が多い

 

臨床所見

  • 最も一般的な臨床像は、健康な若い女性におかる発熱と頸部リンパ節腫脹
  • 発熱は、患者の30-50%における初期症状としてみられる
  • 発熱は典型的にはlow gradeであり、約1週間持続し、1か月も持続することは稀。
  • リンパ節腫脹は通常、頸部であり、局所的である。

(出典)UpToDate>Kikuchi disease, last updated: Sep 29, 2021.

 

 発熱がない点が、上記のわゆる少し典型例とは異なるかもしれません。アジア人というのも罹患率的には分かりませんが、報告は多いようです。リンパ節腫脹の場所に関しては、中国での報告(79例)では頸部のみ、アメリカでの報告(108例)では頸部1か所が多く(83例)、頸部両側性が3例であったものなどを2次文献として、頸部には”usually”と表現されていました。

 症状に関して、UpToDateで引用されていたものが、症状等のうち6項目(リンパ節腫、発熱、皮疹、関節炎、倦怠感、肝脾腫)だけであったので、このまま深掘りしてみます。

 

症状・身体所見、検査結果、併存疾患etc

菊池病の症状・身体所見

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菊池病の検査結果

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菊池病との併存疾患

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  • 東アジアならびに極東(Far-East)における抗核抗体(ANA)の陽性率、SLEとの関連がヨーロッパと比較して優位に高かった。
  • 東アジア・極東: ANA陽性率23%、SLE関連率28%
  • ヨーロッパ: ANA陽性率3%、SLE関連率9%

(出典)Clin Rheumatol. 2007 Jan;26(1):50-4. doi: 10.1007/s10067-006-0230-5.

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

 

 244例の菊池病をまとめたこの論文では、台湾からの報告が最も多く119例、続いてUSAからが22例、スペインから21例、UKから19例、日本から17例と多い順に続きます。台湾からの報告が占める割合が多いので、日本人に近いかもしれません。

 

 症状において、発熱認めない症例の方が多そうです。また、発熱や倦怠感、関節痛、皮疹、食欲不振、筋痛は、SLEなどの膠原病でみられても不思議ではない印象です。そのため、SLEをはじめとする膠原病・自己免疫疾患とのつながりが高いことも納得できそうです。

 一方で寝汗(盗汗)まであった際には、何だか悪性リンパ腫ではないかという不安が隠せません。

 

 検査結果においては、白血球減少症、貧血、血小板減少症のような項目から、SLEをはじめとする汎血球減少症に似ているとも考えられそうな印象です。もちろん、そこだけみるとリンパ腫も怖いですが…。赤沈や肝逸脱酵素、も上がっています。

 

 あくまでPubMedに掲載されている報告をまとめた論文なので、英語で報告する壁や、症例報告等に至った症状・所見の物珍しさというバイアスもあると思います。

 

 SLEとの関連性が高そうですが、併存疾患も感染症膠原病・自己免疫疾患、不明熱、造血器腫瘍と多様ですね。結核がここでももちろん登場しています。鑑別のヒントにもなりそうです。

 最終的な診断に関しては生検となります。もちろん、悪性リンパ腫や腫瘍の転移のような見逃すと恐いものを除外するためです。併存疾患も興味深いものでしたが、重なるところがあると思います。鑑別疾患を調べていきたいと思います。



2.菊池病の鑑別疾患

 菊池病は良性疾患なので対処療法で基本的に治りますが、菊池病だと思って違うということもあると思います。そこで、菊池病の鑑別疾患を調べてみたいと思います。

 

 まずは頚部リンパ節腫脹(cervical lymphadenopathy)という視点で考えるのも初歩としていいと思います。おそらく鑑別は多岐に渡ることが予想されます。教科書では、リンパ節腫脹で鑑別が見つかりました。頻度はさておき、頸部に絞らなくても鑑別疾患を挙げるという意味で参考になると思います。

 

リンパ節腫脹の鑑別疾患

リンパ節腫脹の鑑別疾患

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生検の推奨

  • 年齢(>40歳)、大きさ(>2cm)、部位(鎖骨上窩リンパ節は常に異常)、持続期間(>1カ月)
  • 硬さ(硬/ゴム状/軟)や圧痛は指標とならない

(出典)内科ポケットレファレンス 第3版,メディカル・サイエンス・インターナショナル,2021

 

 PubMedGoogle scholarで検索してもlymphadenopathyでたくさん見つかりました。やはり、鑑別疾患は感染症(ウイルス、細菌、真菌、寄生虫)、免疫性、悪性腫瘍、その他と多数あります。年齢や性別に加え、経過からイルネススクリプトゲシュタルトを考えることにありそうです。

 本当は前頸部(主に限局性の細菌感染)か後頸部(全身性)かも気になります。他にも、生検の推奨に影響はなくとも、リンパ節の触診所見(硬さ)圧痛の有無も気になります。しかし、先ほどまでに調べた際に特に記載もなかったので、このまま進みたいと思います。

 今回は、菊池病ということで生検(病理)にて診断ということでした。組織学的な鑑別疾患を調べてみます。

 

菊池病の組織学的鑑別疾患

菊池病の組織学的鑑別疾患

f:id:mk-med:20220315233002j:plain

(出典)Arch Pathol Lab Med. 2018 Nov;142(11):1341-1346. doi: 10.5858/arpa.2018-0219-RA.

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

 

 菊池病の組織学的鑑別疾患もやはり多岐に渡りますね。感染症、リンパ腫、その他腫瘍といった感じです。詳しく挙げていくと、感染症結核、ヒストプラズマ症、ハンセン病、猫ひっかき病、梅毒、エルシニア・エンテロコリチカによるリンパ節炎、細菌性リンパ節炎、単純ヘルペス、感染性単核球症)、自己免疫疾患(SLE)、リンパ腫(B細胞性非ホジキンリンパ腫、T細胞性非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫)、骨髄性肉腫でした。

 このreviewには、病理組織も掲載されています。気になる方はぜひアクセスしてみてください。

 

 菊池病と言っても、まだまた広げていくことはできそうですが、キリが良いのでここまでにしようと思います。

 

 本日もお読みくださり、ありがとうございました。

本: マンガでわかる Dr.Kの株式投資戦術 ~医師の資産運用への想い・個人的雑記~

読書ログ(書籍紹介)+α

『マンガでわかる Dr.K株式投資戦術 −忙しい医師でもできるエビデンスに基づく投資−』

Dr. K(著)

+医師の資産運用をはじめとする個人的な想い・雑記

 

<目次>

 

 今回は、タイトルから受け入れられない人もいそうな書籍です。以前、読書ログにした『医学生・若手医師のための 誰も教えてくれなかったおカネの話』の著者でもあるDr.Kの書籍になります。

読書ログ:【Dr.K】医学生・若手医師のための誰も教えてくれなかったおカネの話

 書店で見つけて手に取ってみたところ、最初(第1話)の漫画の設定に共感を覚えました。そして、アマゾンでの評価以上に初心者には読みやすく、医学生・若手医師のための誰も教えてくれなったおカネの話』よりもテーマもまとまっていると思い、読書ログとしつつ個人的な雑記を加えました。

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1.おススメの人

 医師もしくは医学生のうち、以下のような人におススメであると思います。

【こんな人におススメ】

  • 現在/この先の働き方疑問を感じている人
  • 株に興味がある初心者
  • 何か漠然と投資に興味がある人
  • 株式投資か不動産投資か悩んでいる人



2.購入のきっかけ

 購入のきっかけはひとことでいえば、主人公の最初の設定・状況に共感して吸い込まれたことです。主人公の設定は医師の石野鑑三、39歳男性、〇×大学病院小児科勤務/〇×大学医学部講師(外勤込みで年収800万円)です。そして、当直明けはきついと言いながら、無精髭を連想させるイラストで始まります。昼は医学部講師の仕事、夕方は入院患者の診察で、いつ寝るんだろうとつぶやいています(よくある連続36時間勤務でしょうか)。夜間の呼び出しや、主な収入源の休みの日のバイトまたは外勤も含めて、家族には仕事だから仕方ないと言われつつ呆れられ、主人公の人生の楽しみは減っていくという状況で始まります。

 迫りつつある2024年、医師の働き方改革で残業時間を制限されたら主な収入源である休日のバイトも厳しくなってくる場合もあると思います。日本式の「赤信号、みんなで渡れば怖くない」というようにサービス残業がさらに増えて時間外手当も減るのか、バイト抜き(収入半減)で生活を維持していく方向になるのか、その辺りも含めると不安要素であると思います。もちろん、専門職のダンピングのような構造や、便利(労働年齢の主な人を除く)や安いというような医療のあり方、高齢者の増加などの問題もあると思いますが、現状維持であるならば、単なる働き方だけでなくキャリアをいったん考え直す時でもあるように感じます。

 さらには、書籍内のマンガの最初に「株をやっているというだけで教授ドヤられる」というコマも登場します。仕事・職場のことだけに励めと上の世代に言われたことがある人もいると思いますし、当たり前で違和感がない人もいると思います。

 このような本を買っているのを知られたら嫌だなとか、後ろ指を指されるかもしれないという感情もありました。しかし、取り巻く環境の変化を含め、ブログ記事にしてもまあいいかというか、そろそろいいかという感じです。最初(第1話)の漫画の設定に共感を覚えて吸い込まれるような感覚がかなり勝ったことから、購入に至りました。そして、様々な人がこのような書籍を読んで選択肢を見て、今までの働き方を含めて自分で納得する方を選んだ方が後悔が少ないと思い、読書ログにしました。



3.書籍のターゲット

 おそらく、主なターゲットは30歳前後~40歳ぐらいの勤務医であり、株式投資をしたことがない人初心者であると思います。そのため、画面(コクピット)に張り付くようなデイトレード、話題になって飛びついて失敗する短期的な人気銘柄のようなものではなく、中長期投資をおすすめしています。そして、生活に必要なお金以外からはじめることや医者での収入があることを前提にしている面もあり、儲け(もちろん損もする)をある程度意識した個別株式投資になっていると思います。収入が安定していれば比較的リスクはあるものの賭けに、収入が不安定であればインデックス投資のような安定寄りの投資になったりすると思います。いずれにしても、いつでも取引できるわけではない、ずっと株価の上下が気になるような人にはレバレッジのかかったものは、ペイアウトのリスク(長期的には儲かるものでも短期的な下落で損をして終わる)、精神面、働き方・生活スタイルから、投資が本業でない限りはお勧めしにくいのが、個人的な見解です。

 

 そして、さらにターゲットは経済にも興味を持ち、時間を割くことができる人でしょうか。あまり個別株式のファンダメンタル分析をする(決算等を調べ、企業価値を分析する)気もなければ塩漬けのリスクがあります。

 個別株を買うことは、経験になる面やファンダメンタルズを意識して勉強になる面もありますが、投資信託よりもボラティリティ(変動幅)が大きくリスクがあります。貯金や長期的な(放置のような)投資に近いならNISAの範囲で税金がかからないメリットを活かしたり、手数料(運用管理費用、信託財産留保額、購入時手数料等)を抑えた投資信託インデックスファンド、アクティブファンド)、iDeCoぐらいでいいはずです。特に、つみたてNISA(積立NISA)やiDeCoは株式市場にお金を流入させるためという意図だけではなく、破綻した年金制度を補助する老後資金のためのなし崩し的な政策だと感じますが、税制上の優遇があるため、やるなら使わない手はないと思います。個別株を非課税枠で扱う場合は一般NISA(2024年より新NISA)になります。もちろん、NISAの範囲内だけではFIREのような生活は無理ですが、個別株を選んだ場合でも税制の優遇処置のうち難なく使えるものは使っておきましょう。iDeCoは自分のお金なのに60歳まで下さなかったり、転勤時の手間・勤務先への報告や積立限度額が雇用次第なので、個別株までは買いたくない長期運用希望の人は、つみたてNISA優先だと思います。

 

 しっかり投資していくためには、貯金する場合と同じですが、そもそも「収入ー支出」を増やしつつ投資に回す金額を確保していく必要性があると思います。そういう意味でも平均年収の人よりは年収的に投資用のお金確保しやすく、損するリスクが投資信託よりも高くても良いという意味でも医師向けなのかもしれません。

 

 

 他にも、不動産投資よりも株式投資をおススメする理由として、勤務する病院の業務規程にひっかかりうることを挙げています。これは、この漫画のストーリーのように大学病院勤務で働く場所を自由に選べるわけでもない側面もあると思うので納得です。

 

 この書籍では、多くの医師が「マス層」か「アッパーマス層」(非富裕層)であるということを解説しています。医師が非富裕層かつリスクを抑えつつある程度リターンを狙うと考えると株式債券為替、リート、さらには不動産やファンドといったオルタナティブになると個人的に思います。そういう意味でもターゲットが絞れていると思います。超富裕層であれば、UBSやクレディ・スイスのようなプライベートバンクが視野に入るでしょう。

 そして、今の働き方とどのようにバランスを取っていくことができるのか、この先の働き方・暮らし方をどうしたいのかというような視点から、株式、不動産、それ以外、何もやらないなど、決めてみると良いと思います。投資は、誰かに判断を求めたりせず、自分の判断でやる人のみがやるべきだと個人的に感じます。

 

 

(補足)不動産投資もぼんやりと考えている方へ

 不動産投資もぼんやりと選択肢である人は、情報を探してみるとよいでしょう。探してみたところ、アマゾンプライム会員であれば無料で読むことができる、次のようなKindleの電子書籍もありました。

[新版]まずはアパート一棟、買いなさい! 資金300万円から家賃年収1000万円を生み出す極意|Amazon.co.jp

 もちろん、『[新版]まずはアパート一棟、買いなさい! 資金300万円から家賃年収1000万円を生み出す極意』では、利回りの良い中古アパート(1棟)稼ぐための手段という視点も含めて書かれています。もちろん、表面利回りとの乖離に関しても注意点が書かれていました。この書籍以外にも、都心のぼちぼちの利回り中古物件(表面利回り5-10%近いもの)を資産という側面を強めて買うというような視点で書かれた本もありますが、一つの良い参考になると思います。ざっくり学ぶだけでも、営業マンが言っていることがおかしいと気がつけると思います。

 よく院内PHSにかかってくる(しかも場合によっては内線転送、さらには院内の〇〇課の●×とか嘘をつく、外線でも厚生局とか嘘をつく)うっとおしい、「節税」という言葉を餌にした不動産投資勧誘まであります。しかし、不動産投資というキーワードそのものには興味のある人も多いと思います。

 投資と言えば、儲けたり、資産を保全する目的で行うわけです。例えば、資産の保全という視点から不動産が経営も考えずに節税になるのは路線価で相続税が計算されるからであり、そうでなければ下手な不動産を買っても赤字です。とりわけ、相続が何年先かも分からない若いうちに不動産を買っても相続目的ではなく、ちゃんと修繕・管理(依頼含む)をやって経営していく必要があります。わざわざ勧誘の電話をしてくるようなところは、どうせマンションの1室、サブリース契約で「家賃保証」とか言いつつ、不動産(賃貸業)を知らない人を相手にしたもの(情弱ビジネス)が多いと思いますので要注意です。本当にいい物件は、公開した当日には興味ある人からの問い合わせ、買い付けがありますし、その前に表で売買されない物件もあります。院内に電話勧誘してくるような業者と仲良くするなら、信用金庫と…。不動産の話がメインではないのでこの程度にしておきます。

 サブリース契約とか「家賃保証」の実態など、聞いたこともない人は何も知らないものだという初心で、ゼロベースで学んでみて、どちらが向いているかなどを判断することをおススメします。そうすると、院内PHS等に電話がかかってくる勧誘は節税というお得に聞こえるキーワードをもとに「ただ高値で売りたい」というようなことがおそらく分かると思います。

 



4.学べること

 この書籍はゼロベースで学んでみようという人向けだと思いますが、例えば次のような具体的なことが学べる/成長できると思います。下記のようなキーワードが何か分からないというような人で、医師であれば共感しやすいマンガもセットで読み進めやすいと思います。

 

  • 多くの医師の立ち位置は「マス層」
  • マネーリテラシー
  • 投資の目的の明確化
  • ネット証券、約定ごとプラン
  • チャート: ローソク足、陽線、同事線、陰線
  • 銘柄選び: PER、PBRなど
  • 買い時は技術、売り時は芸術
  • 騰落レシオ、RSI
  • 含み損、含み益
  • 確認すべき情報: 決算短信
  • 塩漬け株、恩株

 

 まずは、マネーリテラシー富裕層の定義の確認から始まります。受験業界やメディアのせいもあるのか、一般的な医師が富裕層であると勘違いしている人もいます。しかし、多くはマス層であり、人によっては少し上のアッパーマス層ということも把握しておきましょう。過去に「パートナーと結婚したものの、医者は裕福と勘違いしているパートナーの消費額ゆえに貯金額が増えない…」とか、「学生時代に想像していた給料と違い、研修医の給料がカツカツでストレス発散にお金を使ったらお財布が自転車操業状態のループに嵌っていて長期的な視点は難しい」とか、同情する場面もありました。認識のズレは怖いものです。個人的には、投資用のお金(余ったお金)を用意するために少なくとも最初は生活のレベルも下げる必要がある人もいるとも感じます。

 他にも、書籍内に書かれている「診療中は患者は診ても株価は見るな」という当たり前のことはもちろんですが、「なぜこの会社の株を買おうと思ったのか」という投資の前提を意識しておくという部分も、株を買うきっかけや含み損が出た際の判断ミスを防ぐ参考にもなると思います。

 ネット証券の口座開設の部分は、実際に損得以外にも、少額でゲームセンターのようなノリで娯楽として始めてみるというような方にもおススメかと思います。ネットで簡単に取引ができなかった昔(余裕で10年・15年以上前)、とある証券で口座開設をしたことを懐かしく思う反面、便利になったと思わずにはいられません。また証券マンの「この株買いませんか」(お薦めだけでなく引き受け株も絡むので儲かるかは別)もなく自由に選びやすいと思います。それだけ、昔よりも場所や時間、選択の制約もなくなっていると思います。そして、ネット証券のおかげで手数料などのコストを抑えることもできている点がどのような投資の際にも有効であると思います。

 この先は本の内容とは異なりますが、具体的にSBI証券楽天証券などの選択肢を検討してみながら、ハイブリット預金/マネーブリッジ、積立NISA/一般NISAの申込み、クレカ積立などの自分自身にあったお得な制度もチェックしてみるといいと個人的に思います。特定口座(源泉徴収の有無)のような手間(確定申告の有無)も含めて、証券口座開設で損をしないためにもチェックしてみましょう。楽天証券をはじめとする楽天経済圏は最近でも改訂があるため、メリットがなくなっていないか最新の情報をチェックしてみてください。

 そして株を買うまで、株を買った後も興味を持ってその会社や業界、経済事情を追っていく必要があります。塩漬け株(今売ると損する状態で売れず、長期保有状態の株)となることを防ぐためにも、投資先の会社・業界などへの興味の維持や決算の確認も必要でしょう。いろいろと忙しくて、かつ含み損もあり、塩漬け株になってしまったという人も多いような気もします。

 株(会社)を具体的に探していくような時に気になる部分(例:会社四季報の読み方、決算書の読み方)というようなところまでの記載はありません。この本を読み、興味を持ったら、情報を検索してみたり、1,000円台の書籍を書店で見てみてもよいと思います。なぜ、読書するのかと同じく、1000円台のお金で情報をある程度書籍にまとめてくれている手間賃としても書籍は一定価値があると思います。

 例えば、3カ月に一度発行される会社四季報(以下、四季報)があります。その四季報でのキーワードを切り口にした『世界一楽しい! 会社四季報の読み方 小説のようにハマり、10倍儲かる!』というような四季報に興味を持つための入口としての書籍から、『得する株をさがせ! 会社四季報公式ガイドブック』というような公式ガイドブックまであります。

 他にも、決算書の読み方も大きな書店で複数の種類のものが平積みにされています。例えば、『見るだけで「儲かるビジネスモデル」までわかる 決算書の比較図鑑』のように、イメージしやすい図・グラフが入っているものも読みやすくて良いと思います。

 経済・経営などに興味を持つきっかけや医師で狭くなりがちな視野を広くすることのひとつにも役立つと思います。医師としてバイオ株には注意という点も共感です。知っているがゆえに世間の反応と乖離する状況が生じうるとも言えます。

 具体的な話は書籍の中に書かれていますので、気になる方は手に取ってみてほしいと思います。

 

 もちろん、この本は医師の●×ということでターゲットを絞っていますが、何か共感があり吸い込まれるように読んでしまったとか、医師向けであることで環境的なヒントがあるというようなことが特になければ、わざわざ医師をターゲットにした書籍に絞る必要性はなく、もっと幅広い選択肢から良いものを選んでみてください。

 

(補足)書籍選び ~情弱ビジネスやポジショントーク注意~

 医師をターゲットにした書籍も他にもありました。著者がワンルーム新築などを手掛ける会社の経営者ということで情弱ビジネス」の勧誘というような構図さえ感じる下記の書籍もありました。途中まではNISAやiDeCoといった節税の必要性を読みやすい文章で説明しています。節税の全体像として読むには良いと思います。しかし、途中から不動産投資を勧めるという流れになります。話の流れが、院内PHSにかかってくる勧誘と似たようなパターンとでもいえばいいのでしょうか。不動産投資の話の部分になるとワンルームマンション新築の良さを語るものの、知らなければならないような契約方法(サブリース契約や賃貸借契約)、不動産投資の様々な選択肢(中古、新築、一室など)、管理といったような不動産投資を始めるなら知らなければならないような具体的な選択肢の話は詳しくありません。いわゆる新築ワンルームという選択肢のみを詳しく聞かせるポジショントークに感じる部分があります。不動産を勧めるにも関わらず不動産の具体的に役立ちそうな内容は少なく、「不動産は知らずとも簡単に儲かる」という誤解の中で気持ちよくなれる宣伝本に近いと個人的には感じました。

手間をかけずに資産を増やす! 医師のための投資術|北尾 龍典|Amazon.co.jp

 著者立場を確認して本や情報と接するという当たり前の視点があれば、問題ないかもしれません。また、アマゾンの評価もアテにならないこともあります。このようなこともあるため、医師向け以外まで目を向けて目的・段階にあったものを、立ち読みやKindleのサンプル、信頼できる人の推薦含めて、探してみるとよいと思います。さすがに出版当時10%であった軽減税率をはじめとして古すぎる気がしますが、15年以上前に読んだ株のざっくり本『初心者でも今日から始められる「株」の本山本有花(著)(2005年6月10日)では、ローソク線の読み方などのチャートの見方や指し値・成り行きの説明、税金などを分かりやすくまとめられており、文庫本で良いものもありました。

 

 学ぶことによって、挑戦したときに成功まではできなくても、失敗すると分かる場所での失敗のリスク減らすことはできると思います。これに加えて、失敗に対する恐怖を抑えつつ数を打てれば、何が成功するか分からない未来に向けて強いでしょう。株式投資で成功する、不動産投資で成功するというのは人それぞれであると思いますが、甘い言葉にのせられないようになるとでも言えるでしょう。

 そして成功できた際には、このお金をもとに赤字でも自分の理想とする医療をやってみるとか、医局などに縛られない・クビになっても大丈夫な働き方の自由を手に入れるとか、コミュニティにも出ていく時間を作るとか、知らない世界を見に行くとか様々な手段になると思います。例えば、収入源がひとつしかなければ、クビにならないためにもポジショントークになってしまったり、気がつけば既存のものを否応なく法護する側になってしまったり、自由に意見を言うことすら難しくなる面もありでしょう。他にも働き方の自由を1人だけでなく皆が手に入れれば、雇用の流動性も出てきて、自由に働き方を選べる人を雇うために、会社の待遇等も上がり、待遇等が上げられないようなジリ貧な会社が継続不可能となるきっかけとなるような気がします。大企業に勤めたら将来安泰というのが幻想となりつつある終身雇用制度、退職金問題、老後2000万円問題の解決策のひとつにもなる可能性も秘めていそうです。

 他にも、FIREとまではいかなくても、サイドFIREのように好きなことを好きなように仕事にできる可能性を秘めています。例えば、投資のリターンによる余裕を活かして教育に肩入れするとか、そもそも将来のために大切であるのに教育者にインセンティブが働きにくく、教育にお金をかけない政府の現状を打破する活動をしてみるとか、手段にできる可能性も秘めています。漠然と政治や日本経済、所属する組織の社内政治に期待して指をくわえて待つだけなら、少しでも自分自身で抜け出そうとか、抜け出せるように働きかけるように具体的にやってみる方ががあるのではないしょうか。

 もちろん、FIREを達成できる余裕ができても仕事を辞める必要もなく、もっと好きなことをするアクセルになると思います。

 

 

5.ゼロベースで学ぶ・考える

 株式投資のことに関してキーワードをはじめ、まったく知らない人にとってはゼロベースで学ぶことになると思います。医学のことはおそらく多くの人が大学でゼロベースから学んだはずです。病院で先生と呼ばれて(?)、受験戦争の名残で(?)、大学時代からの閉鎖的な空間で(?)、医療以外のことも知っているという勘違いに少しでも陥らないようにする戒めとして、ゼロベースで学んでみることも楽しいと思います。もちろん、営業マンが電話をしてくるような「不動産投資」に騙されないためにも、話を持ちかけられて気になるようであれば、ざっくり学んでみることでおかしな点に気がつき、ひっかからないようにするための対策になると思います。

 

 別に株式投資をしなくても、様々な会社のこと、決算、世界の流れを知っていることはマネジメントにも活かせると思います。他にも活かせる部分も出てくるでしょう。これは株に限らず、プログラミングしかり、農業しかり、建築しかり、街づくりしかり、MBAしかり、何にでも言えることだと思います。さすがに、プログラミングでPythonを学ぶ書籍やスマート農業の書籍をきっかけもなく紹介するのははばかられそうですが、気になる方はキーワードから検索してみたり、大きな本屋の様々なコーナーを見てみてください。活字媒体の方が情報収集の効率は早いですが、活字が苦手であったり、映像化が必要な部分では動画を探してみる手もあります。

 

 もちろん、株で損をすることもありますし、株や投資を始めることを勧誘するわけではありません。しかし、知らない世界がたくさんあり、それを知ることに興味を持つひとつのテーマとしていかがでしょうか。そして、株価が上がるというのは世間の人の心を惹きつけるものを掴むという視点をもつ練習にもなり、それだけでも医療に活かせそうです。

 もっと手段的なことの例を挙げると、フェルミ推定もそのようなものだと思います。初期研修のマッチングでフェルミ推定が必要なこともなく、医学部でも学ばない人が多いと思います。しかし、就職活動では試験対策として知っている人も多いともいます。そして、何かプランを立てる時に調べて数字が出てこないときの推定に役立ちます。

 他にも、投資の収益によって、自分の理想とする医師としての働き方や働く場所を赤字でも作ってみたいなど、使い方も様々であると思います。今回は株式投資でしたが、そもそもこのような書籍が発売されるようになった背景には、どうなるか分からない働き方改革、高齢化、医療制度、失われた30年、政策、技術革新、日本的な社会、人々の意識の変化など、様々なものごとがあると感じています。自分自身の生活というミクロな視点と社会全体というマクロな視点の間の様々なところから見ていくのも楽しいかもしれません。

 

 日本の20~34歳の死亡原因の約4割が自殺です。このような生きにくさの理由のひとつに他の生き方を知らないというのもあるような気がします。大学生→新卒入社→…(医学部→初期研修→後期研修→…)というレールから外れてしまった際にレールから外れた生き方をしている人が身近にいないし、つながりがないところにいたことによる不安がありそうです。

 最近、従来からある組織の若手部会や若手向けの企画のようなところでも、多様性やキャリアの話もあります。従来のやり方で成り立ってきた組織であり、そこから枠を広げていくので当たり前でもありますが、まだまだ枠の中のものが多いと感じます。「子育て」(+従来からの枠の中でのキャリアの両立)というようなキャッチフレーズが売りの場合は、子育てだけでは多様性は感じません。むしろ、子育ての障害にもなりうるものが専門医制度ということを、女性が増えることによってようやくクローズアップされ始めたと逆説的に言っているかのように私は感じる時があります。キャリアについても、既存の組織の提示するような枠を超えて(はみ出して)、キャリアの多様性という視点でもこのような選択肢もあることを頭の片隅だけにでも入れておいてはいかがでしょうか。

 他にも、社会的処方という言葉をご存じでしょうか。最近では新型コロナウイルスワクチン否定派のシンポジウム登壇が話題(【識者の眼】「反ワクチンの自由と責務」岩田健太郎|Web医事新報|日本医事新報社)となった学会をはじめとするプライマリケア領域では社会的処方とかいう言葉が使われています。そもそも、そこまで医者の仕事かというような疑問がある方もいるでしょう。医者の仕事か、専門性、言葉選びの問題はさておき、上記の漫画のような働き方をしてきた医師が退職したときに、仕事以外にこれといったものもなく社会とのつながりのない人、すなわち社会的処方を必要とする人が完成しやすいような矛盾点も感じます。そうならないためにも多様な生き方、それに伴う多様な人とのつながりが必要であると思います。

 

 もちろん、このような風潮は時代と共にまた変わっていくと思います。しかし、違法か合法かのような比較的客観的なものごとと比べると、うまい方法とか、ずるい方法とか、賢い方法、ましてや好き・嫌いというのは主観的な物事の捉え方だと感じます。例えば、残業や働き方に対する考えも主観的なもの(本来、サービス残業雇用契約上アウトなのはさておき日本の価値観としての考え方)であり、経済への期待感や人々の生活などによって考えは徐々に変化しています。解決するための選択肢が増えるのであれば、主観的な部分(感情)は何にせよ、少し横において考えてみるのはどうでしょうか。

 何より新たなものは、はじめは「人から理解されない」というものです。そして、興味を持たれないだけならまだしも、嫌われる可能性もあります。そういう意味でも、新たなスタンダードになるかは分かりませんが、選択肢に残しておく可能性は捨て切れないと思います。

 

 そして、理想の人生のゴール(仕事を含む多様なゴール)があるとしたら、そのゴールを達成するためにゴールから逆算したプロセスの一部として、手段の具体化の選択肢のひとつにもいかがでしょうか。

 

 このブログ記事が削除されていた際には、何かあったのかなとお察しください。本日もお読みくださり、ありがとうございました。

 

 

【追記】当たり前のことですが…

 芸人でもあり、米国株のインデックスVTIをお勧めされていた厚切りジェイソンさんのTwitter上で、米国株下落に対して誹謗中傷が集まることがありました。それに対して、誹謗中傷は関係ないとしつつも、SNSが嫌になっただけということでしたが、Twitterの投稿を削除するに至るという悲しいことが起こりました。フォローしていたわけではないのでどのような口調でお勧めされていたのかは分かりませんが、本来であればサロン等でもないのでありがたい無料情報だったのではないかと推測します。もちろん、インデックスファンドは主に3-4年というスパンではなく、長期すなわち10-20年以上のスパンであることや、投資分に対して金銭・精神的余裕がない人には合わない面があると思います。しかし、それ以上に情報の吟味、そしてVTIに投資をするということを自身で判断しているはずです。

 それと同じく、個別株式だけでなくオルタナティブを含め、あくまで投資は自己判断でお願い致します。お勧めされても、お勧めされたように感じても、調べたりした上で最終的な判断各個人でお願い致します。

 

 

mk-med.hatenablog.com

医学書: レジデント・ジェネラリストのためのリウマチ・膠原病診療

医学書ログ(書籍紹介)

『レジデント・ジェネラリストのためのリウマチ・膠原病診療【電子版付】』

猪飼 浩樹 (著), 滝澤 直歩 (著)

 

 膠原病診療の類書もすでに多い中で、特徴的・魅力的であった医学書医学書ログです。後発でありながら、これまでの類書にはない魅力を感じた部分がありました。

 

https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/51nYtATuXgL._SX349_BO1,204,203,200_.jpg

https://www.amazon.co.jp/dp/4758322317/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_VJCEZKW2N9XPNM0T90CK

 

【こんな人におすすめ】

  • 電子版もしっかり使いたい人
  • Tipsのような学びを楽しみたい人
  • レジデント、ジェネラリストで膠原病に興味のある人

 

 すでに『ケースでわかるリウマチ・膠原病診療ハンドブック〜的確な診断と上手なフォローのための臨床パール』のような膠原病診療の類書もあります。これらも良い書籍であると感じますが、こちらは市場へ少し独自のアプローチをしてきた良い本であるとも感じました。

 何といっても太っ腹なのは、医書.jp電子書籍がついてくるという部分です。1アカウント2端末分のダウンロード権がついてくるという大盤振る舞いです。普段、紙の書籍は最初に通読する際に欲しいとか、家で落ち着いて読む時に欲しいけれども、普段はスマホタブレットで電子版が持ち運びにもというような状況も多々あります。それを1冊紙の本を買うと両方かなえてくれるという嬉しい書籍です。Elsevierの書籍のinkingのような環境が、やっと純日本語の書籍でも叶った感じがします。読み進めるのも、移動中の電車内では電子版も快適に使うことができて持ち運びも億劫にならず、他の同サイズの書籍よりも早く読み終えることができました。やはり、医書.jpやM2PLUS電子書籍使い勝手がよく、他社であるようなウェブ上のやや使い勝手が不便な電子版での学習しにくさとは異なると感じました。

 

 次に、この書籍の内容構成が3つのPartに分かれるのですが、Part2Tipsのように学ぶことができて、1テーマ見開き数ページ程度で読みやすく完結する点もよかったです。例えば、次のようなテーマ(チップス)の項目がPart2に多数あります。

 

  • 「アキレス腱が痛い」:付着部炎と間違えるな!薬剤性腱症(toxic tendinopathy)
  • 高齢者の全身エリテマトーデスで考えること?薬剤性ループスを押さえよう
  • CRP陰性=活動性がない」ではない!関節リウマチ診断時も治療経過中も気をつけたいこと
  • 仙腸関節炎のない非対称性頸椎病変が特徴:体軸性脊椎関節炎に隠れている乾癬性関節炎
  • 透析患者における血管炎ミミック!難治性潰瘍のカルシフィラキスを知っておこう

 

 興味の湧くチップスが多く、80近くのテーマ(項目)があります。さらに所々に疾患に関するまとめもあります。

 ちなみにPart1は「ろうさいスタイル」ということで猪飼先生や瀧澤先生が所属されている中部ろうさい病院でのやり方ということで、身体所見や問診の取り方、画像診断の総論的な部分、Part2は「診断へのアプローチ」ということで先ほどのようにチップス的に学ぶことができる部分、Part3は「フローチャートでわかる治療戦略」という流れです。レジデントやジェネラリスト視点で楽しい書籍になっていると思います。是非、手に取って読みやすさもみてください。

 

 本日もお読みくださり、ありがとうございました。

多系統萎縮症(MSA)の症状の頻度と経過 ~ゲシュタルトと鑑別疾患~

多系統萎縮症(MSA)症状ごとの頻度経過

~MSAのゲシュタルトづくりと鑑別疾患まで~

 

<目次>

 

 

 多系統萎縮症(Multiple-System Atrophy: MSAが最終診断であるカンファレンスがありました。MSAの症状の経過は、排尿障害や起立性低血圧をはじめとするpremotor MSAからpossible MSA、probable MSA、Probable MSA、死に至りうるステージへと進んでいく経過があり、Clinical Manifestations様々な臓器・領域に渡ります。ここにMSAの臨床像の掴みにくさがあると思います。

 今回、これを深掘りしていこうと思います。

 

1.多系統萎縮症の分類と概要

 おそらく、この疾患(MSA)を国試で習ったもののあまり身近に感じられない人も多いと思います。実際に国試レベルを確認してみます。

 

多系統萎縮症

  • オリーブ橋小脳萎縮症(MSA-C)、線条体黒質変性症(MSA-P)Shy-Drager症候群(SDS)の総称である

<分類>

 

初期には主症状が異なるが、進行すると小脳症状(運動失調、構音障害、平衡障害など)、錐体外路症状(筋強剛、振戦)などのパーキンソニズム)、自律神経症状(排尿症状、起立性低血圧など)が共通して認められる。自律神経症状による突然死に注意する。

 

病理学的にも小脳、脳幹、基底核、自律神経核の病変が共通する。グリア細胞内封入体がみられ、三者は同一スペクトラム上の疾患である。

(出典)CBT・医師国家試験のためのレビューブック 内科・外科 2022-2023

 

 こんな感じの解説を読むと、MSAのこと嫌いになりそうです笑 MSAの中での分類から「MSA-Cがオリーブ橋小脳…?」とごちゃごちゃになりそうに感じるからです。ここは、MSA-C、MSA-Pに統一して覚えていく方が得策かなと思います。

 MSA-Cとは、MSA with predominant cerebellar ataxia の略で、直訳すれば「小脳性運動失調優位のMSA」であり、小脳性運動失調(cerebellar ataxia)のCから来ています。MSA-Cの名前を英語の名を背景に覚えれば、まず混乱しないように思います。

 MSA-Pは、同様にMSA with predominant parkinsonismの略で、直訳すれば「パーキンソニズム優位のMSA」であり、パーキンソニズムのPから来ています。パーキンソニズムは錐体外路症状だと学んでいることと結びつければいいように感じます。

 

 さらに、分類についての記述を見つけました。

OPCA was redefined as MSA with predominant cerebellar ataxia (MSA-C). When autonomic failure predominates, the term "Shy-Drager syndrome" may be used.

(出典)UpToDate>Multiple system atrophy: Clinical features and diagnosis, last updated: Jan 05, 2022.

 

 先ほどの覚えにくいOPCA(オリーブ橋小脳萎縮症)という表現は今ではMSA-Cへと再定義されたようです。もちろん、コミュニケーションの過程で知っていることに越したことはないですが、わざわざ古い用語を無理してまで覚えるかは大学の試験等の環境次第だと思います。

 また、Shy-Drager症候群という呼び名は自律神経症状優位のMSAのときに用いられうる程度(”may”)のようです。名前はかっこいいですが、名前は後回しでもいいような気がします。

 

 まずは、MSAのうち、MSA-CとMSA-Pについての略記の背景を知ることで、それぞれ小脳症状、パーキンソニズムのどちらが優位なのかという判断ができるようになると思います。そして、レビューブックの多系統萎縮症の分類と症状については、この程度でよいということのようです。

 これでは、早くMSAに気がつくことが難しそうであり、MSAの進行とともにどのように症状が経過していくのかを調べてみようと思います。



2.MSAの経過

 MSAは経過とともにどのように症状等が進行していくのでしょうか。性機能障害や起立性低血圧が初期にみられるというような話を聞いたことがあります。症状などの経過、とりわけ初期にみられる症状などを深掘りしてみます。

 

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多系統萎縮症(MSA)の経過

 MSAの経過としては、Premotor MSA、Possible MSA、Probable MSAというように進行していくようです。Possible MSAになると運動症状(motor synptoms)が生じるようです。運動症状が出てくるまで進行すれば、MSAを疑うことになりやすいと思います。

 ということは、それより前のPremotor MSA(motorより前)でどのように疑えるかということかと思います。Premotor MSAの症状として、性機能障害(男性の勃起障害)、排尿障害、REM睡眠行動異常、起立性低血圧あたりがヒントになりそうです。とりわけ、排尿障害や起立性低血圧による失神は受診契機にもなりそうです。

 

 

3.MSAの多彩な症状

 経過以外にも、NEJMのReviewに多彩なMSAの症状について書かれていたので、一部ヒントになると思います。

 

MSAの多彩な症状

神経

パーキンソニズム、小脳症状、錐体路症状、前頭葉機能不全

精神

抑うつ、不安

睡眠

REM睡眠行動異常、睡眠時無呼吸、日中の過度の眠気、むずむず脚症候群(レストレッグス症候群)

ENT

喘鳴、構音障害、発声困難、嚥下障害

循環

失神、起立性低血圧、食後低血圧、夜間高血圧、下腿浮腫

消化器

嚥下障害、便秘、下痢

泌尿器

性機能障害、尿意切迫、頻尿、尿失禁、尿閉、繰り返す尿路感染症

皮膚

発汗減少症、無汗症、血管運動異常

(出典)N Engl J Med. 2015 Jan 15;372(3):249-63. doi: 10.1056/NEJMra1311488.

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

 

 さすがに症状が多いですね。Premotor MSAの症状として、やはり排尿障害起立性低血圧はきっかけとして分かりやすい受診契機になりやすそうです。Motor synptoms以外であれば、発汗減少や睡眠(REM睡眠行動異常など)、便秘、下痢ですが、なかなか受診契機にもなりにくいようにも感じました。

 

 このNEJMのReviewには、病態や経過、多彩な症状のイラスト等もありますので、ぜひアクセスしてみてください。さらに、症状が診断時にどの程度みられるのかなど、定量的な文献を深掘りしてみたいと思います。



4.症状の深掘り ~MSA-CとMSA-Pの比較~

 MSAの症状の定量な記述のある文献を探して、症状の頻度を具体的に探してみました。そうしたところ、日本の論文を見つけました。日本の大学病院ならびに市中病院での142名のMSAの患者(probable MSAのcriteriaを満たす患者)の後ろ向き研究です。

 

MSA患者像

  • 全体: 男性84名、女性58名
  • 初発症状のみられた年齢: 58.2±7.1歳(38-79歳)
  • 初期にMSA-Cに分類された患者は119名(83.8%)、MSA-Pに分類された患者は23名(16.2%)
  • 男女比(男:女) MSA 1.4:1、MSA-C 1.5:1、MSA-P 1.1:1
  • 平均フォローアップ期間 2.5±1.7年(1-13年)
  • 発症年齢、フォローアップ期間のいずれもMSA-CとMSA-Pの両者に有意差はなし

 

MSAの初期症状

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MSAの初期の神経所見

f:id:mk-med:20220410110857j:plain

(出典)J Neurol Sci. 2006 Nov 15;249(2):115-21. doi: 10.1016/j.jns.2006.05.064.

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

 

 日本では、とりあえずMSA-Cが多そうです。そして好発年齢も診断推論には大切で、年齢も60歳弱ぐらいが多いようです。

 初期の症状や神経所見も、診断のためという意味でもとても参考になると思います。初期の症状では、自律神経症は2割程度で、運動症状多く7-8割程度、中でも歩行障害が多くを占めています。自律神経症状でもMSAを想起することを忘れないというような感じでしょうか。一方で、初回の神経所見では、神経因性膀胱起立性低血圧といった自律神経障害が7割程度もみられ、あとは分類に合わせて小脳失調やパーキンソニズムがみられるといったところです。

 この論文には、最後の症状や所見のみられる割合や、MRIの所見・所見の変化が分かる表まであります。診断後の疾患の経過を含めたゲシュタルトの把握にも役立つと思います。気になる方は、論文にアクセスしてみてください

 さらに詳細を見ていくと、MSA-Cでは最終的に小脳症状が100%(当たり前と言えば当たり前)であり、MSA-Pでは最終的に小脳症状が69.6%であることた、MSA-Cでは最終的にパーキンソニズムが42.0%であるのに対し、MSA-Pではパーキンソニズムが100%(当たり前と言えば当たり前)というようなことも分かります。

 

 運動症状(motor synptoms)が生じた際も、パーキンソニズムや小脳失調症状が生じた際にはMSAも鑑別疾患にお忘れなくということですね。ここまでMSAの症状について深掘りしてきましたが、こうやって学ぶと何でもMSAに見えてくる可能性(バイアス)もできてしまいそうですね。最後にMSAの鑑別疾患を調べて今回は終わりにしたいと思います。



5.MSAの鑑別疾患(mimics)

 MSAを考えた際のPivot and Clusterを考えるヒントとなるような鑑別疾患(mimicking condition、mimic、mimicker)を探してみました。次のような鑑別疾患・病態が考えられるようです。

 

f:id:mk-med:20220410112056j:plain

(出典)Parkinsonism Relat Disord. 2016 Jan;22 Suppl 1:S12-5.

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

 

 パーキンソン病のように当たり前のものから、アルコール薬剤性といった様々なところでCommonな原因、HIV感染症のような何でもありなものまでありました。はじめから鑑別疾患に挙げるのは難しいような疾患も多数あるように感じます。さすが、神経変性疾患の鑑別とでもいうべきでしょうか。

 さすがに、ここまででなくても、性機能障害、起立性低血圧をはじめとする自律神経障害、排尿障害というような運動症状以外の症状や、運動症状からMSAを想起しつつ、しっかりと鑑別診断(臨床推論)ができるように頑張れればと思います。



 本日もお読みくださり、ありがとうございました。

本: 『経営リーダーのための社会システム論 構造的問題と僕らの未来』

読書ログ(書籍紹介)

経営リーダーのための社会システム論 構造的問題と僕らの未来』
宮台 真司 (著)、野田 智義 (著)

 

 

 「経営リーダーのための」とは言いつつも良い意味で裏切ってくれる、誰にでも読んでほしい社会の構造的問題社会学の視点から宮台真司先生が切り込んで現状把握させてくれる書籍でした。ここまで吸い込まれるかのように読み切った書籍は久しぶりでした。

https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/515BND11o1L._SX352_BO1,204,203,200_.jpg

https://www.amazon.co.jp/dp/4334952933/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_F5VS41S4HZMCAQ2NEF4X

 

【こんな人におすすめ】

  • 社会学を通じて「いま」を把握したい
  • この社会の構造的問題とは?
  • 安全、快適、便利失ったものは?

 

 国際化グローバル化の違い、2段階の郊外化(団地化→郊外化)による地域、家族の空洞化といった話を通じて、まずは現状認識を深めていくことができます。ちょうど、この中の例えであった、地域の憩いの場であった銭湯の話もありました。場所は違えど私自身の経験として、一部を除き観光地化していないコミュニティの一部である京都の昔ながらの銭湯を思い出しました。ひょんなことから、おじさん、おじいさんと会話のはじまるあの空間。スーパー銭湯や、サウナとリノベで観光地となってしまった銭湯と、地域のコミュニティとして手入れされながら存続している銭湯の違いが脳裏によみがえってきました。
 さらに、生活世界システム世界の話において、コミュニティ(共同体)は生活世界、一緒になる人を選んでいるアソシエーション(組織集団)はシステム世界という分かりやすい視点をくれます。

 システム世界は、快適、便利な2段階の郊外化で達成したものであるという話や、今の初老の人の退職することでの老害」化(キレやすさ)も、昔からの会社という共同体がなくなった(辞めた)からという状況とそれによる仕事以外に共同体を持っていなかたことへの不安によるものであるという説明も目から鱗でした。

 快適、便利なチェーンの24時間営業のようなレストランやお店システム世界でなくて、いつもの近所で旅先で、深夜に飯は食えないけど、近所のおばちゃんがやっている「ちょっと不便かもしれないけど、当たり前」のような環境生活環境があったな~と。別に深夜に食べ物が食べれなくても、それぐらい今でも我慢すればいいと思うんですが、私自身の生活スタイルを見ても反省する点があるな~と身に沁みます。だいたい、カウンターで時間ありそうであれば、旅先では何かを聞きながら食事をし、近所では、近所の何かや事件、覚えていないけれども何かを話していたような気がします。チェーンやチェーンみたいなお店でそういうことって、なくなった~と。むしろ旅先で残っている会話って、旅先の民宿か、コンシェルジュか、体験型アクティビティのような場所ぐらいだな~と、私自身の振り返りにもなりました。

 話を書籍に戻すと、システム世界についてのお話が続きます。詳細や続きは是非、書籍に目を通してみてください。

 過剰なほどに便利で快適なシステム世界への依存をやめて、生活世界(共同体)の再生を図るために、私たちが利用しているテックやシステムをデフォルトとしつつ、仲間意識を取り戻してみんなによいものを選んでいくために、何をすべきかという話に至ります。そこで、ミメーシス(感染的模倣)となれるように何かできればいいと思った次第です。マクロなアプローチ(例:政治)では無理でも、これならミクロなアプローチから何かを変えられるかもしれないと期待が膨らみます。
 よい世の中になることを願って、便利・快適なだけで代替可能な何かじゃないものを目指したいと思います。新年度、ちょうと意識してみたい、ちょうどいい指標にもなるとワクワクしています。経営だけでなく、そんな視点を持ったリーダーが増えることを願って…。

 読みやすい文章で吸い込まれるかのようにあっという間の読書体験、そして改めて宮台真司先生による言語化された現状把握がとても目から鱗の読書体験でした。

 

 本日もお読みくださりありがとうございました。

医学書: 誰も教えてくれなかった皮疹の診かた・考えかた ~皮膚科診断~

医学書ログ(書籍紹介)

誰も教えてくれなかった皮疹の診かた・考えかた』

松田光弘(著)



 皮疹の診かたの本といえば、皮疹の分類を覚えるだけでもひと苦労というような印象がありました。それを覆してくれた初歩的な皮疹の診断の思考プロセスに焦点を当てた皮疹の診かたの書籍です。

 

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【こんな人におススメ】

  • 皮膚科診断初歩
  • 皮疹の思考プロセスに興味がある
  • 皮疹の名前を覚えるのに挫折したことがある

 

 いわゆる従来よくみてきて皮膚科のアトラスのような書籍ではありません。「皮疹は〇〇(専門用語)であるから、鑑別が…」というのではなく、もっと簡単に皮疹の組織学的な深さから鑑別を考えていきます。皮膚科医ではなくても、とっつきやすいというのもおススメの点のひとつです。

 大きく分けると、皮疹がツルツルザラザラかという視点で分けていきます。「ザラザラ」であれば、表皮の病変、「ツルツル」であれば表皮より下の病変(例:真皮)として原因を大きく分けて鑑別していくという流れです。

 「ザラザラ」(鱗屑)であれば、表皮として湿疹、感染症、悪性腫瘍、その他炎症性疾患を鑑別するというような流れです。

 ツルツルであれば、まずは真皮として蕁麻疹(24時間以内)もしくは中毒疹(24時間以上)として考えていくような流れです。中毒疹の原因に薬剤性、感染症膠原病、悪性腫瘍というような原因があります。

 

 最後の最後まで詰め切れるわけではないですが、従来のような皮疹名を大きく意識せずに症例ベースで初歩的に学ぶのに良いと思います。人によっては良くも悪くも、私自分の中では「最初はここまででいいかな(これ以上は諦めよう)」と思えるのが、この本が到達目標として気軽さや満足度を増していると思います。

 

 皮疹に苦手意識があれば、一度手に取ってみることをおすすめします。医学書ログでは、次回も読んで良かったと思える医学書を中心にお送りいたします(読んでいても医学書ログにならないものも少なくありません。あまり印象的ではなかったものだけでなく、ホスピタリストのように期待通りすぎて、医学書ログは書かないなんてこともあります。その際はDMもお待ちしています)。

 

 本日もお読みくださり、ありがとうございました。