臨床推論 症例探し・下調べ
~自学自習や学生主体の気軽な勉強会開催に向けて~
<目次>
学生内での臨床推論(診断推論)の練習のために学内外で症例提示をする際に、主に書籍や雑誌から症例を選んで、様々な準備をして行ってきました。その体験を振り返り、お伝えできるものが少しでもあればという思いです。
想定している勉強会は、1症例を60分~120分等で行うような勉強会です。まずは簡単な現病歴から鑑別や追加問診を挙げてもらい、プレゼンターが追加問診を開示し、さらに取りたい身体診察を挙げてもらい、プレゼンターが開示し、行いたい検査を挙げてもらい、プレゼンターが検査結果を開示し、さらに最終診断に迫るものです。
何より参加者に楽しんでもらい、疾患について、治療について、鑑別について調べてみようとか、文献検索してみようとか、自学自習のきっかけやモチベーションアップになる、参加者同士がつながる等、何か今後につながるお持ち帰り内容があればという思いでやっていました。先生と一緒にやることのメリットも多いですが、日常的な練習や手軽さのために行う学内でこじんまりとした会をはじめ、少しでも気軽に開催できるところが増えたり、自学自習のきっかけとなったり、楽しい好奇心の探求になればという思いで書いています。
今回は、症例の難易度設定、症例探し(学習用の症例報告や書籍など)、症例の下調べ(主に書籍やコンテンツ)、番外編としてSnap Diagnosisの症例の探し方の4つに分けて、臨床推論の勉強会(練習)の際にプレゼンター(症例提示役)・進行役として、症例探しや、進行・準備(事前学習)の際にとりわけ参考にしたものを紹介します。
1.症例の難易度設定
では、症例の難易度設定からお話していきます。症例のネタは参加者(勉強会)の難易度設定や目的に合わせて選んでいました。まずは、どのような最終診断(疾患)の症例を選ぶかという視点で表にしてみます(表1)。
表1. 主な症例の難易度設定
超初心者 |
初心者 |
(やや初)中級(やや上) |
上級 |
||
よくある疾患の Common manifestation |
◎ |
◎ |
○ |
― |
― |
よくある疾患の Uncommon manifestation |
― |
〇 |
◎ |
◎ |
◎ |
ちょっと稀な疾患 |
― |
― |
○ |
〇 |
△ |
稀な疾患 |
― |
― |
― |
○ |
〇 |
<定義>
超初心者:臨床推論って何かさえあまり分からない。
初心者:症候から鑑別がいくつかは出る程度。鑑別疾患の挙げ方(分類)とかも何となく意識し始めたぐらい。
中級(やや初心者):症候から鑑別は稀な疾患以外であれば、だいたい思い浮かぶ。
中級(やや上級者):症候からメジャーな鑑別は思い浮かび、稀な疾患も少しずつ知っている。攻める問診もある程度できる。
上級者:鑑別は稀な疾患まで多く知っていて、攻める問診ができる。(上級者の中でも上の人は診断仮説を立てる際にオッカムの剃刀のように1つにまとめる能力も高く、ヒッカムの格言のように切り替えることもできる。)
このような難易度設定のイメージで参加者や目標を考えて、探す症例のターゲットを絞りました。
2.症例探し
それでは難易度ごとに症例を探してみたいと思います。やはり、上級者向けであればあるほど、すでに出会ったことのある症例でないように出典を選びました。上級者である、もしくは上達を目指して自学自習している人ほど、既存の参考書(症例集)や直近の有名な雑誌等の連載を見ている人の割合が多く、そのあたりの配慮もしました。症例報告を検索で探すこともありましたが、検索と関係なく主に見に行っていたソースを紹介します。難易度に関しては、雑誌や書籍の中の各症例次第ですので、参考程度にお願いします。
主な探す先(検索ではなく「この雑誌を見に行く」というようなもの)
<上級へ向けて>
・New England Journal of Medicine (NEJM)
Case Records of the Massachusetts General Hospital
・New England Journal of Medicine
Clinical Problem Solving
<中上級へ向けて>
・Cleveland Clinic Journal of Medicine (CCJM) > Symptom to Diagnosis
・Mayo Clinic Proceedings > Residents’ Clinics
New England Journal of Medicine (NEJM)はご存じの方も多いと思います。もちろん、しっかり考えられる、ディスカッションのやりがいのある症例が多いというのが理由にあります。基礎的な部分(腹痛の基本的な鑑別を列挙するとか)は完成している人もしくは、参照先の書籍やデータベースを持っている人向けで、その先のディスカッションを楽しむことを目的に選んでいました。ディスカッションで点を1つの線にするようなひとつの診断を考える「オッカムの剃刀(Occam’s razor)」のトレーニングになります。
さらに、なぜ英語の症例からかというと、Google等で検索して調べてもまずヒットしないから勉強会中にネタバレしにくいというのもあります。もちろん、パワーポイントを作成する際に翻訳するひと手間が必要ですが、参加者に症例がネタバレしてしまうのは、せっかく参加してもらうにもかかわらず申し訳ない気がして英語のものから選ぶことが多かったです(特に学外向け等)。
次に学内等でもっと気軽に実施するという視点からの症例の探しです。やはり、日本語で気軽にやるとなれば、日本語の症例集のようなものをみんなで使っていました。一緒にやる人の英語に対する難しさ・気軽さによっては洋書もお勧めです。次に紹介するような症例集を複数見つけたきっかけが、私自身は自学自習でした。自学自習の際に「この症例は○○でテーマが来たら、使えそう」などとチェックもしていました。そのため、自学自習している人と被らないようにする配慮も可能な範囲でしました。そして、書籍をもとに行うことで、症例部分を気楽にホワイトボード等に書きながら行うようにすることも可能で、事務的な準備も簡単にすることもできました。
日本語の書籍などから症例を探す場合は主に下記のような書籍を参考にすることがありました。もちろん、J-stageなどでちょうどよいものを見つけることもありましたが、やはり書籍等のものは手軽に使いやすい物が多かった印象です。また、解説がしっかりしていたり、現病歴から検査結果までしっかり書かれており、書かれていない内容をアレンジして補う・もしくは記載なしと言う必要性が少ないものが多かったです。
<中上級へ向けて>
京都GIMカンファレンス関連
・『診断力強化トレーニングWhat’s your diagnosis?』
https://www.amazon.co.jp/dp/4260006479/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_JXYGMHA88Q5ZH1886HNG
・『診断力強化トレーニング2 What's your diagnosis?』
https://www.amazon.co.jp/dp/4260021699/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_Y79S68T108KCCW42A5GJ
いずれも、かの有名な「京都GIMカンファレンス」からの症例です。途中の解説を自分で調べる必要性はありますが、やはり面白い症例が集まる有名カンファレンスからの症例です。普段から京都GIMカンファレンスに参加していない場合は、最近の症例から1症例ほど、『総合診療』の雑誌にて連載されています。カンファレンスに参加しましたが、参加できる場合は、そこでの雲の上をいくようなディスカッション等も聞くことができるため、参加することがおすすめです。
・『診断推論Step by Step 症例提示の6ステップで鑑別診断を絞り込む』
https://www.amazon.co.jp/dp/4880027545/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_97YRT7973FFX6R99YFAH
→解説が充実していて、1症例ごとにその中で段階を踏んで進めることができます。
・『総合診療』連載「オール沖縄!カンファレンス レジデントの対応と指導医の考え」
→レジデントの対応と指導医の考えという視点からの解説が載っています。
・『診断と治療』連載「症例を俯瞰する総合診療医の眼」
→雑誌連載なのでネタバレも少なく、解説が充実しています。
・『諏訪塾ダイナマイトカンファレンス 明日あなたの臨床は変わる』
https://www.amazon.co.jp/dp/4765317218/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_62VM9KEHV27CANK28H54
→対話形式で進められていくのが特徴的です。
・『症例を診て問題を解いて学ぶ 自治医科大学内科研修トレーニング』
https://www.amazon.co.jp/dp/4758300941/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_HC8M840SR5B5YG1HM2ER
・『Dr. 宮城の白熱カンファレンス 診断のセンスと臨床の哲学』
https://www.amazon.co.jp/dp/4758117578/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_93B0VSZ2H9QT8713EHY5
<中級へ向けて>
・『ティアニー先生の診断入門 第2版』
→解説が充実していて、ティアニー先生の鑑別疾患やプロブレムリストを見ながら、オーダーした検査という項目など順々に進めていくことができます。
・『研修医必携! 自治医科大学内科モーニングカンファレンス−スキルアップ73case』
https://www.amazon.co.jp/dp/4758300828/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_PW1CBS5DN3BX3FM5BZ6P
・『救急・総合診療スキルアップ (CBRレジデント・スキルアップシリーズ 10)』
https://www.amazon.co.jp/dp/4902470373/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_0BPH9ACBDAV8Q66VEGZF
その他(分野別)
・呼吸器:『Dr.長尾プロデュース 呼吸器腹落ちカンファレンス 呼吸の果てまでカンファQ!』
https://www.amazon.co.jp/dp/4765317420/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_QMEMJNF8AK48PRVXT8CF
・呼吸器:『知っておくと役に立つまれな呼吸器関連疾患ケースファイル50』
https://www.amazon.co.jp/dp/4771904030/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_78XDTT765BGEY7GDP69D
・呼吸器:『Dr.宮城×Dr.藤田 エキスパートに学ぶ 呼吸器診療のアートとサイエンス』
https://www.amazon.co.jp/dp/4260020994/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_2E5FPF568QSJVHRRCXEX
・呼吸器:『Dr.宮城×Dr.藤田 ジェネラリストのための呼吸器診療』
→呼吸器関連の症例集は解説までしっかりしているものが多かった印象を受けました。
・感染症:『感染症ケースファイル―ここまで活かせるグラム染色・血液培養』
https://www.amazon.co.jp/dp/4260011014/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_50SBQ7QT40X7A1Y9YJ0Q
→臨床推論に欠かせない感染症のケースがたくさんあります。ここからさらにグラム染色を深める(例:山本剛先生の書籍『グラム染色道場』)など、やりたいことを見つければいいと思います。
https://www.amazon.co.jp/dp/4815703043/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_ENTXD6YSZWGDDEMT9P9C
・救急:『研修医目線でわかるERカンファレンス・ライブ』
https://www.amazon.co.jp/dp/4902470837/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_1TMMRKQ3507NRF9MGFSP
・不明熱:『Dr. 鈴木の13カ条の原則で不明熱に絶対強くなる』
https://www.amazon.co.jp/dp/4758117683/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_H132JC0T8HB6P71CN8WX
→不明熱での考え方を症例を通して学んでいく書籍です。不明熱初学者向けで13カ条に沿うように解説も詳しく書かれています。
・不明熱:『ケースで学ぶ 不明熱の診断学』
https://www.amazon.co.jp/dp/4830620471/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_4D5P9BDQVR75HN04NSW2
学内でNEJMも扱いましたが、気軽に/お手軽にやる際には解説が充実しているかも気にして本から選びました。極力、検査までしっかり記載してあって、最終診断の載っているものにしました。
さらには、症例部分のスライドを事前に作るよりも、Zoomの画面共有でGoogleドキュメント等を用いて参加者からの問診などを元にリアルタイムで書きこみながら(オフラインであれば教室のホワイトボードに書きながら)進めていくのも、準備の負担が減って手軽になります。
<自学自習向け>
他にも、症例の冒頭部分だけのような例題を解きながら症候学を学ぶというようなコンセプトの書籍や、症例検討の勉強会として皆で用いるには検査等までは載っていない書籍は自学自習用として用いて、勉強会では使うのを避けました。一方、症例の冒頭部分だけのような例題を考えながら症候学を学んでいくコンセプトの本はより自学自習に向いていると思います。
【例】
『外来診療の型 同じ主訴には同じ診断アプローチ!』
- 問診から身体診察と、どの検査を提出する/しないが分かりやすく、検査を出すところまでが分かりやすい書籍でした。
- https://www.amazon.co.jp/dp/4815701938/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_HS5TTPFPYQXRZTEKKBWC
『First Aid for the USMLE Step 2 CS, Sixth Edition』
- 今となってはStep 2 CSは廃止されてしまったものの、英語を使いつつ問診・身体所見をチェック項目付きで確認できるよくできた自習用教材でした。
- https://www.amazon.co.jp/dp/B07894VXR2/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_D4MXNSC4GT072Q2ETHEB
『帰してはいけない外来患者 第2版』
https://www.amazon.co.jp/dp/4260044796/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_M035BMY9BSF5CRW0TBF5
『カンファレンスで学ぶ 臨床推論の技術』
https://www.amazon.co.jp/dp/B013QZPDC0/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_4CQA7NDTYC1KMF4MM4AP
中級をめざす勉強会の場合は、事前学習(取り扱う症候についての一般的な鑑別や鑑別の仕方等)を取り入れることや、鑑別などがわかる書籍を貸し出したりもしました。もちろん、各自が参考書を買って事前に読んでくるような環境(反転授業形式)であればこの上なく幸せですが、やはりサポートも必要でした。
3.症例の下調べ
自学自習用はもちろん、プレゼンターや進行役として鑑別疾患を挙げたりするために、基本事項として次のような本を持参したり、事前学習をしたりしました。書籍は特にForeground questionの部分を調べたり、参加者に説明する際に確認するのに用いました。一方で、お勉強スライドのBackground questionに関しては、Google ScholarやPubMedで検索して疑問を解決するようにしました。今回は前者を中心とした際に用いた書籍などを紹介します。
・『ジェネラリストのための内科外来マニュアル 第2版』
https://www.amazon.co.jp/dp/4260028065/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_B55FFR0FXQ58NCDMD859
・『診察エッセンシャルズ 新訂第3版』
https://www.amazon.co.jp/dp/4296105728/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_YA9RECWKXPWG317S6FQV
他にも初学者向けの際には、次のような本も参考にしました。これは、私自身も自学自習で勉強する際に役立ちました(臨床推論を始めた際は初版でしたが、第2版になり各論が充実しました)。
・『Dr.徳田の診断推論講座【連動動画付,電子版付】』
https://www.amazon.co.jp/dp/4784943994/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_5A24SD9ZKXQ9XS7H0SW6
他にも初学者向けとして次のような本もあります。やり切る自身が私にはなく、初めの導入には用いませんでした。
・『考える技術 第4版』
https://www.amazon.co.jp/dp/4296106635/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_K0VCYXKYVEC0JDV7FQQJ
詳しく読むものとして、『内科診断学』や『ハリソン内科学』の症候学の章もありました。『内科診断学』は大きい割に最後の砦という感じもなく置きどころに多少困る感じでした。ハリソン内科学を持っていれば、ハリソン内科学の鑑別疾患が優秀かと思います。
・『ハリソン内科学 第5版』
https://www.amazon.co.jp/dp/489592873X/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_G6NXZE226J8PB0YS01DB
さらに病態や検査結果(例:徐脈、服腎不全、低K血症)の鑑別疾患として『フレームワークで考える内科診断』などがあります(学生の当時はFrameworks for INTERNAL MEDICINEというよう洋書でした→和書にURL変更済み)。しかし、これを参考にしなくても、UpToDate等にいつでもアクセス可能であればUpToDate等を使うのもよいかもしれません。
・『フレームワークで考える内科診断』
https://www.amazon.co.jp/dp/4815730210/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_0NZ5VNDCBYWP984R44HZ
ニッチな鑑別リストとしては、膠原病や不明熱関連などのテーマ別の書籍や雑誌を学びながら集めるということが多かったですが、國松リストという不思議な鑑別リストもありました。
・『Kunimatsu's Lists 〜國松の鑑別リスト〜』
https://www.amazon.co.jp/dp/4498010248/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_VHCY1YRYCMGVRY67CDR6
ニッチなものの鑑別疾患などを膠原病とそのmimicsとしてPivot and Cluster的にまとめられている素敵な書籍もありました。詳しくは下記記事をご覧ください。
・『ミミックに騙されない思考の道筋 あなたも名医! これって膠原病?コンサルト実況解説50選 / jmedmook76』
本:Jmed76 これって膠原病?コンサルト実況解説50選 ~膠原病mimics~
逆に救急セッティングや初歩であれば、救急関連の書籍がお勧めです。林寛之先生や坂本壮先生、京都ERなどの書籍が多数あります。症候学的な部分も豊富な林寛之先生の書籍と、ERでの主訴を聞いた時の全体像がつかみやすい京都ERだけ紹介しておきます。
・『あなたも名医!もう困らない救急・当直 ver.3 当直をスイスイ乗り切る必殺虎の巻! (jmed51) 』
https://www.amazon.co.jp/dp/478496651X/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_2ZAJFEQAW4238DSHVPVP
・『京都ERポケットブック』
https://www.amazon.co.jp/dp/4260034545/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_C4FA4QXE07HAHC6BMKB8
さらに、バイタルサインや身体診察に興味を持ち、主に鑑別のために次のような書籍を使うこともありました。
<バイタルサイン>
・『バイタルサインからの臨床診断 改訂版〜豊富な症例演習で、病態を見抜く力がつく!』
https://www.amazon.co.jp/dp/475811806X/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_WEPCQQNDAEPW3GQY4YJ7
<身体所見>
周りもとっつきやすい『身体所見からの臨床診断』から、深く調べたいときの『サパイラ』、鑑別・エビデンスも結構ある『マクギー』というように、3冊をよく用いました。
・『身体所見からの臨床診断―疾患を絞り込む・見抜く!』
https://www.amazon.co.jp/dp/4758106797/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_5CK4JF05418B6KPHDW4T
・『マクギーのフィジカル診断学 原著第4版』
https://www.amazon.co.jp/dp/4787823485/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_WAXVK50AT5RFJ1PQH0K0
・『サパイラ 身体診察のアートとサイエンス 第2版』
https://www.amazon.co.jp/dp/4260039342/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_T4MZ5ANSRWTGPQ90A18R
他にもバイタルサインや身体診察の本がたくさんありますが、症候学と同じような「横切り」の視点でも主に使っていた書籍です。身体診察の『マクギー診断学』や『サパイラ 身体診察のアートとサイエンス』は名著と言われていました。
また、バイタルサインや身体所見を問わず、痒いところに手が届くような書籍がありました。例えば、貧血の鑑別や疫学的なして視点をはじめ、事前の下調べの際に鑑別や疑問解決に役立った本がありました。
・『ホスピタリストのための内科診療フローチャート 第2版―専門的対応が求められる疾患の診療の流れとエビデンス』
https://www.amazon.co.jp/dp/4990950550/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_WP14MQ1JK9G2H4M27HWD
・『ジェネラリストのための内科診断リファレンス: エビデンスに基づく究極の診断学をめざして』
https://www.amazon.co.jp/dp/426000963X/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_JF6EK6VE3D5RTHBTSRQE
他にも、症候や身体所見・検査結果/病態等ごちゃまぜですが、鑑別疾患のネモニクスが豊富であった書籍もありました。
・『セイントとチョプラの内科診療ガイド 第3版』
https://www.amazon.co.jp/dp/4815703000/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_YG3JC36ZWNQB7T7EMFCD
これ以上、分野別の書籍などを詳しく上げるとキリがないですが、これらの本等を使って、最終診断までの下調べをしていました。
その先は、その症例で気になった疑問点のうち、覚えておいてほしいところや教科書では調べにくい部分を解決するために文献を調べたり、お勉強スライド(解説)づくりをしたりしていました。
他にも診断学の視点として深みを増すためや分かりやすくするため読んだ書籍もあります。Pivot and ClusterやSystem3について志水太郎先生の『診断戦略』や、Semantic Qualifier(SQ)について鋪野紀好先生の『内科初診外来ただいま診断中!』も読んだりしました。
・『診断戦略: 診断力向上のためのアートとサイエンス』
https://www.amazon.co.jp/dp/4260018973/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_CBTAHZ8X506J7JTJK48H
・『内科初診外来 ただいま診断中!』
https://www.amazon.co.jp/dp/4498020863/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_480MQ1NVA3P7ZTYNB5QA
・Semantic Qualifierにより特化した新たな書籍も新たに増えました。その書籍については新たにブログ記事にしています。
学内外でちょっとした臨床推論(診断推論)の勉強会を開いてみようという際の少しでも参考になれば幸いです。
4.番外編 Snap Diagnosis編
普段の形式(上記)の臨床推論の勉強会のやり方にマンネリ化した時、時間が余った時などにSnap Diagnosis用の症例を挟むことがありました。いつも以上に気軽に参加しやすい会になることが多かったです。Snap Diagnosis(一発診断)用には、検索や主に下記の雑誌・書籍などをチェックしました。
・NEJM > Images in Clinical Medicine
・Cleveland Clinic Journal of Medicine (CCJM) > The Clinical Picture
・『プライマリ・ケアの現場で役立つ一発診断100―一目で見ぬく診断の手がかり』
https://www.amazon.co.jp/dp/483061014X/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_BJP6VV7GQY15H9WEPGYA
・『プライマリ・ケアの現場で役立つもっと!一発診断100―診断の手がかりはここにある』
https://www.amazon.co.jp/dp/4830610212/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_1C717ZJXJX6CPW50YHKJ
・『さらに!一発診断100 (プライマリケアの現場で役立つ)』
・『「ぱっと診」でわかる!小児の一発診断100』
https://www.amazon.co.jp/dp/4830630388/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_4PWJR2YJACR5F28SXKBP
・『目でみるトレーニング 第2集: 内科系専門医受験のための臨床実地問題』
https://www.amazon.co.jp/dp/4260017616/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_BVMDA0KSGD9QSPKGB8TR
・『目でみるトレーニング 第3集: 内科系専門医受験のための必修臨床問題』
・『目でみるトレーニング 第4集: 内科系専門医受験のための必修臨床問題』
https://www.amazon.co.jp/dp/4260036475/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_B7JXZVSYEGRJDS5J9A81
・『目でみるトレーニング-認定内科医・認定内科専門医受験のための151題』
https://www.amazon.co.jp/dp/4260005847/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_ZAM6YHC19FZHKDYMJRY2
→このシリーズは月刊『medicina』にて連載されており、『medicina』で見るという方法もあります。
・『レジデントノート増刊 Vol.21 No.11 臨床写真図鑑ーコモンな疾患編 集まれ!よくみる疾患の注目所見〜あらゆる科で役立つ、知識・経験・着眼点をシェアする81症例』
https://www.amazon.co.jp/dp/4758116334/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_E696D4CG521S7KC8F3Y9
・『総合診療 2019年 11月号 特集 臨床写真図鑑 レアな疾患編 見逃したくない疾患のコモンな所見』
https://www.amazon.co.jp/dp/B07Z75ZYSY/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_TQPBKZRHRCG00VKAMNF3
→上記2冊はコモンな疾患とレアな疾患でちょうどよく振り分けられていて、2冊セットのような相性の良い書籍でした。
他にもSnap Diagnosisになりそうなものとして、週刊『日本医事新報』にて連載の「キーフレーズで解く外来診断学」や、それをまとめて書籍化した『外来診療のUncommon Disease』(→
https://www.amazon.co.jp/dp/478495600X/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_49559PFF5A3D1D2EH132
)(現在、Vol. 3まで書籍化されています)にもSnap Diagnosis用にも使えそうな症例もあります。
~最後に~
学内等の仲間で書籍を決めて、皆が同じ書籍を手元に持ちながら気軽に皆で考えながら定期的に進めていくのも気軽で楽しいかもしれません。
学内外でプレゼンター(症例提示役)や進行役をやるに至るまでに、自学自習用の書籍も読んだりしました。他にも素敵な書籍があると思いますが、その中で、とりわけ症例そのものや、勉強会の症例検討中の進行そのものに役立ったものを中心に個人的な視点から挙げさせていただきました。少しでもお役に立ったり、興味を持つ人が増えたり、自学自習を始めてみたり、気軽な勉強会を始めてみたりする人が増えれば幸いです。
【追記】準備の時短×臨床推論勉強会
①Googleドキュメント
「臨床推論の勉強会を気楽に開くためにどのようにしたらよいのか?」というような質問を受けた際に、パワーポイントでのスライド作成の手間が省くことができるGoogleドキュメントを用いた方法を紹介しました。その際のYouTube動画をよろしければ、ご覧ください(公開用のクオリティではありませんでしたが、雰囲気をつかむためとしてご理解ください)。Googleドキュメント以外にもGoogleスライドなど、オンライン上でみんなで編集できるものであれば、何でも使用可能です。Googleドキュメントを参加者全員で書き込んだりすることで、鑑別疾患や追加問診、疑問などを同時に書いてもらったりすることもできます。
Googleドキュメントを用いた臨床推論(症例検討)の仕方 - YouTube
②スライドマスターの使用
スライドを用いるとした際に時間短縮とキレイさを両立させる方法として、「スライドマスター作成」もあります。私自身のブログ記事ですが、よろしければご覧ください。
その他、勉強会の運営でお悩みの方がいらっしゃいましたら、下記の記事を書きました。少しでもお役に立てれば幸いです。
本日もお読みくださり、ありがとうございました。