『先生、病棟で急変です!当直コールの対応、おまかせください!』
藤野貴久(著)、羊土社
<目次>
対象は卒後年数的に絞られますが、春から新研修医の先生をはじめとする研修医の先生、もしくは初期研修が当直=救急外来であったような様々な事情により病棟当直・対応に自信がない先生におすすめの病棟対応の書籍です。
先日から連載中の低ホスファターゼ症に関する記事(低ホスファターゼ症②|検査所見、鑑別疾患)の続きの執筆を続けることへの悩み(前回の記事の「また1年を迎えることができました」に詳しく記載)により、代打的に医学書ログを書くになりました。お待たせして申し訳ございません。
【こんな人におすすめ】
- 病棟当直の最初の1冊目に
- 『内科レジデントの鉄則』が重たく感じた人に
- 時間軸を意識した動き・思考を知りたい
1.この本の特徴
病棟対応(特に当直中のコール)で必要な項目を時間軸を意識した動き・思考を分かりやすくして、コンパクトにしたような参考書です。テーマとしてはSpO2低下、血圧低下はじめ、親しみやすいテーマが多くあります。テーマについてはアマゾンでも書籍説明に【目次】の記載がありましたので、そちらをご確認ください。
時間軸として、電話(1分以内)、現着(緊急性判断 1~2分)、初期対応(30分以内)、対応後半(治療の適正化)というのを横軸にした点が分かりやすいでしょう。動き・思考として、思考、指示、診察・検査、カルテ―・オーダーという項目に分けて具体的に4×4の表となっている点が全体把握しやすく、この本の最大の特徴であると思います。実際に書店でいろいろなコーナーをみていて、ふと手にしたのきっかけに、最終的に購入に至った理由はこの表に惹かれたというのが私の中では大部分を占めています。
もちろん、書籍では見開きでもっと見やすいものが提示されています。あくまで、イメージです。
全体把握の表の後に、具体的に解説されています。そして、解説の途中に研修医と指導医の会話のような会話形式のものや、症例の具体例、コラムも載っています。
2.この本の位置付け
『先生、病棟で急変です!当直コールの対応、おまかせください!』は病棟対応の入門編、実際の動きと時間軸に焦点を当てた当直コール特化のコンパクト版というような紹介をしました。病棟対応の書籍として、『内科レジデントの鉄則』という網羅的な良書もあることを踏まえると、最初の一冊といった位置づけでしょうか。最初の一冊として時間軸も分かりやすくて動きやすい面もあると思います。
さらに、著者の藤野貴久先生に焦点を当ててみますと、聖路加国際病院の所属ということで『内科レジデントの鉄則』と同じく聖路加発の異なる書籍ということにもなります。話が逸れてしまいましたので、戻したいと思います。
『内科レジデントの鉄則』も素敵な書籍でもっと様々な病棟での対応で必要な項目について網羅的に書かれています。例えば、血糖異常、喘息やCOPD増悪時などの項目もあります。これを最初から読み通すのは少し重たく感じる先生もいるかもしれません。提案としては、まずは当直コールでCommonでありそうなあたりを中心に扱った『先生、病棟で急変です!当直コールの対応、おまかせください!』を読んでみて、さらに『内科レジデントの鉄則』でより網羅的に深めてみるのはいかがでしょうか。
あくまでも個人的ですが、少なくとも初期研修において最終的には『内科レジデントの鉄則』程度までは学んでみることをおススメします。
本日もお読みくださり、ありがとうございました。
今回、取り挙げた書籍になります。目次をはじめ、よろしければチェックしてみてください。