"Med-Hobbyist" 医学の趣味人 アウトプット日記

医学の趣味人"Med-Hobbyist"のブログへようこそ。医学に関連する「なぜ」・「なに」といった好奇心を大切にする場所として、体験・読書をシェアする場所として、過去の失敗談やヒヤリを棚卸する場所として、傷を舐め合う場所ではなく何かヒントを得られるような場所にしたいと思います。少しでもお役に立てば幸いです。

FP2級 合格体験記|独学 おススメの参考書や勉強方法・受験への悩みetc (医師に不要!?

FP2級 合格体験記|独学

  • おススメ参考書勉強方法受験への悩みなど
  • 医療者/医師には不要?

 

<目次>

 

 今回はFP2級(2級ファイナンシャル・プランナー技能士の試験の合格体験記です。日本FP協会の試験を独学で受験しました。FP3級の合格体験記の続編のような位置づけで受験理由から合格まで、勉強法・参考書等に触れながら記事にしてみたいと思います。

 全く畑違いの医療職の人間が受験する理由を考え、独学で勉強して合格しました。このことから、お読みいただいた方の何かヒントになることがあれば幸いです。

(注)受験に際して抱いた「FP2級以上が必要か」という悩み「受験のあとがき」に詳しく書きたいと思います。

 

 

1. FP2級とは

 FP2級は、正式には2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP技能士)という国家資格です。ライフプランニングと資金計画年金保険リスク管理金融資産運用タックスプランニング(税金)不動産相続のようなことを学びます。

 FP(ファイナンシャルプランナー)は簡単な方から順にFP3級、2級、1級とあります。FP2級はFP3級合格後、もしくは認定講習を修了、もしくは2年以上実務経験をした人となり、FP3級の次の中等度の難易度(内容の深さ)といった感じです。

FP2級 合格体験記(独学)

 

 

2. なぜ受験するのか

 FP2級をどうして(なぜ)受験するのでしょうか。個人的にはFP3級延長で、節税や節税を謳う勧誘対策、資産設計・貯蓄、相続対策といった個人のお金のことにおける制度上での知識を学ぶためです。普段から使っている知識の客観視という視点もあります。

 具体的にこうすると節税になるとは書いてありませんが、例えば、話題のNISAにしても制度として学ぶことでできます。FP3級は入口という感じがして、さらに学びを深めようという事で受験することにしました。

 基本的に何が学べるか、なぜ受験するかというような辺りについて詳しくはFP3級の記事をご覧ください。

 mk-med.hatenablog.com

 

 

 私は医療者のため、ファイナンシャル・プランナーという資格は直接的には関係ありません。また、FPは業務独占資格(例: 医師)や設置義務資格(例: 宅建士)でもないため、資格ビジネス的な側面も勉強利用させてもらい技能証明という程度に考えています。中には会社で取得するように言われている人や、資格取得によって手当の付くような人もいるでしょう。また、民間資格のAFPやCFPの取得、FP1級を目指す入口にもなるでしょう。

 2級を含むFP技能士は国家資格で生涯有効であり、維持費もかかりません。一方、民間資格AFPCFPは入会費・年会費のような形で資格の維持費がかかるため、業務等で本当に必要な人だけで良いと判断しました。

 FP2級以上を受験するかを悩んでいる方は「受験のあとがき」も、よろしければご覧ください。

 

 

 

3. 受験申込

試験2団体から

 FP2級の試験(2級FP技能検定)は試験を行う団体実技試験の内容によって大きく2つに分けられます。

  1. 日本FP協会: 資産設計提案業務
  2. きんざい(金財): 個人資産相談業務、生保顧客資産相談業務、損保顧客資産相談業務、または中小事業主資産相談業務

 

 実技試験の内容ですが、日本FP協会の資産設計提案業務と、きんざいの個人資産相談業務はいずれも似ています。試験全体として、金融資産、不動産、贈与・相続、ライフプランニング、年金、税金、生命保険のようなものを扱います。

 多くの場合、受験が手軽な日本FP協会の試験を選択すると思います。私も日本FP協会の試験を受験しました。以下、日本FP協会のFP2級を軸にお話していきたいと思います。

 

 学科試験四肢択一形式の選択肢問題でマークシートへの記入です。実技試験は選択肢・正誤問題、計算結果の数字の記入または選択です。

<試験科目・日程>

  • 学科試験(午前): 120分 60問
  • 実技試験(午後): 90分 40問

 基本的には同一日の午前と午後で学科試験と実技試験をセットで受けます。年3回(1月、5月、9月)に試験が実施されています。

受験料11,700円(学科試験5,700円+実技試験6,000円)になります。

(注)2025年度以降、CBT形式による実施を検討しているようです。

 

 

受験資格

 FPは好きな級から受けられるわけではありません。FP2級の受験資格は下記の条件のいずれかを満たす人になります。

  • FP3級の合格者
  • AFP認定研修の修了者
  • FP業務に関し2年以上の実務経験者

 

 私の場合はFP2級のことが頭の片隅に浮かんだときからFP3級を受験しました。FP3級は持っていないけれども、業務経験はないけれども、必要なので早く取得したいというような際には認定研修という選択肢もあるでしょう。私はそのような目的はなく、よほど興味のあるもの以外においては、時間効率の観点からも講義あまり好きではありません。無駄な時間・出費は減らしつつ学ぶことに焦点を当てています。

 

 

試験申込

 インターネットからクレジットカード決済で申し込みが可能で、写真も不要で便利でした。受験申込みを済ませれば、あとは試験勉強をするモチベーションが湧いてくるのではないでしょうか。

 FP2級の試験は年3回(1月、5月、9月)に試験が実施されていますが、その試験日の約2カ月前が申込時期になります。申込時に住所のある各都道府県での受験となります。

 試験申し込みや試験範囲など、最新のものは詳しくはこちらをご確認ください。受験要項も必ずチェックされることをおススメ致します。

www.jafp.or.jp

 

 

 

4. 試験傾向チェック

 受験すると決めた段階、もしくは受験申込みをした段階(約2カ月前)で早めにチェックしておくことで、その後の勉強の見通し立ちやすくなると思います。

 チェックすべき項目は合格基準出題範囲過去問(サンプル問題)の大きく3つに分けられます。

 

合格基準

 学科試験と実技試験のそれぞれ60%以上得点率で合格となります。合格に得点率こそFP3級と変わりませんが、合格率はFP3級では70%程度であったものが、FP2級では40%程度まで低くなっています。一般的には学科試験より実技試験の方が合格率の低い傾向にあるようです。

 とりあえず、少しは余裕が欲しいということで目標得点率は70%にしました。皆様も目標を設定してみてください。

 

出題範囲

 学科試験の出題範囲は、ライフプランニングと資金計画、リスク管理、金融資産運用、タックスプランニング、不動産、相続・事業継承です。ライフプランニングの中に年金の話が含まれていたり、リスク管理の中に保険の話が含まれていたりします。

 実技試験は、資産設計提案業務として、関連業法との関係及び職業上の倫理を踏まえたファイナンシャル・プランニング、ファイナンシャル・プランニングのプロセス、顧客のファイナンス状況の分析と評価、プランの検討・作成と提示を扱います。学科試験の知識が実際に近い形で使えるか、お金の計算過程で用いられるかというようなものにシフトしている感じです。

 

 

過去問チェック

 やはり、試験合格するとなれば、最初のうちに過去問をチェックするべきであると考えています。CBT試験になればサンプル問題も大変参考になることでしょう。計算などの長い問題が、紙面ではなくパソコンでの画面に合わせた問題になる可能性もあります。

 特定の回の試験の過去問をひと通り解いてみて、合格基準と照らし合わせて、必要とされる知識範囲・深さ、処理能力を確認します。得点率も含めて、自分自身の持ち合わせている知識・処理能力と試験で必要とされる知識・処理能力の乖離も把握します。

例えば、次のようなことをチェックします。

  • 各分野の求められている内容実力乖離
  • 試験時間への余裕
  • 実技試験の問題形式配点
  • 実技試験を含む計算問題の注意点

 

 人によって、相続税の話は知識、計算問題含めて問題ないけれども、不動産の分野の知識が曖昧、税金の控除の計算をする際に所得控除と税額控除の2種類をミスしやすい/先に引くのか後で引くのかミスしやすい、試験時間には余裕がある、というような人それぞれの得意な点と苦手な点を把握するのにも役立ちます。

 学科試験は、選択肢4つから1つを選ぶ問題(四肢択一)で、基本的には選択肢の文章を読む問題です。「最も不適切なもの」を選ぶ問題が多い印象でした。計算問題というほどの計算問題もありません。「最も適切もの」を選ぶ問題もありますが、「最も不適切なもの」を選ぶ方が曖昧な知識があると説きにくく、少し難易度は高くなっていると感じました。学科試験はどの問いも同じ配点でしたので、配点については特に気にする必要はないと思います。

 実技試験は、計算問題で各空欄に対して適切な数値などを記入、もしくは選択肢から選ばせる問題が実技らしい反面、多少は普通の選択肢問題のようなものも含まれている印象です。計算問題でそのまま計算結果を書かせるような問題は一部といった感じで、実技と言っても選択肢問題で取り切れれば合格できると思います。

 意外とチェックする際の抜け目であったのが、実技試験配点と出題形式です。ひとつの問いの中に複数の回答箇所(小問)があるような問題では1つあたり1点、ひとつの問いに対して1つの解答欄のみというようなものが2点という配点傾向でしょうか。合格を効率よく狙うとなると、配点の傾斜も気にする必要があると思いますし、本番で初めて知るとビックリしてしまうと思います。計算問題に時間がかかるために試験時間が足りない人であれば、計算問題は後回しというような戦略も考えることがあるかもしれません。

 

 このようなことを把握することで、新たに学ぶ必要があることを把握しつつ、自分自身の必要な部分のメリハリをつけて勉強することができると考えています。過去問は下記からも確認できます。よろしければ、1回分解いてみるのはいかがでしょうか。

www.jafp.or.jp

 

 

 

5. 教材選び

 先ほどの試験傾向のチェックはいかがでしたでしょうか。私は、過去問チェックにおいて、学科試験、実技試験の得点率は50%弱といった感じでした。学科試験は40分ほど、実技試験は60分ほどで解けたので試験時間には余裕があると判断して、知識中心に増強することにしました。

 FP3級を以前に合格していることもあり、全体像は把握できています。そのため、より深い知識肉付けしていくような感覚で勉強していく方針として教材を選びました。また、動画教材を必要とするような状況ではなく、早く学ぶことができる文字媒体のものを中心に学習していくことにしました。

 

 

参考書選び

 先ほどのことを踏まえたうえで教材を探しました。初学者でもないため、動画コンテンツは時間がかかることもあり、下記の点を重要視して文字媒体より教材を選びました。

  • デザインがスッキリ要点分かりやすい
  • 問題解きながら学べる

 

 案外、カラフル過ぎて重要事項が霞んでしまう参考書が多くありました。テキストを読むだけでは、内容が頭に入ってきにくいという個人的な理由もありますが、FP3級取得者にとって「テキストだけでそこまで必要か」と疑問を感じるものが多くありました。そのような中、下記の2つの参考書が候補に挙がりました。実際には、前者『史上最強のFP2級AFP問題集』使用しました。

(注)執筆時の最新版を紹介しています。

 

  • 史上最強のFP2級AFP問題集 23-24年版, 高山 一恵 (監修), オフィス海 (著)

 デザインはスッキリ、2色刷ベースで重要事項見やすいシリーズです。赤下敷きも使用可能で問題の正解を隠しながら、進めることができます。

 大きな引き出しのようなものはFP3級の時からあるので、テキストは不要と判断しました。出題率の高さに基づいたまとめ冊子も付いているのでこれひとつで完結です。まとめ冊子は薄くて持ち運びに便利ですが、問題集は分厚くて持ち運びには少し不便に感じます。そのため、まとめ冊子を持ち運び用にして状況に分けて使いました。

 何より、分野ごと一問一答形式のような正誤問題にして網羅的に集めた問題集というのが、単なる過去問にはない良さです。問題を解いて間違えながら覚えていくというのが、自分のできない部分をアウトプットで把握しながら学べて効率が良いと感じます。問題の回答の部分に学科試験の問題を解きながら、「覚えよう」というまとまった表が解説に入っているのも整理になって良かったです。

 

  • スッキリわかる FP技能士2級・AFP 2023-2024年 (TAC出版), 白鳥 光良 (著)

 見開き4ページ前後で1つの節として学べて、1節あたり演習問題も4問程度あります。「テキスト+問題集」としてちょうど良いバランスだと感じました。2色刷りがベースで要点も分かりやすく、デザインもスッキリしています。

 また、各節のはじめに30秒レクチャーでポイントを示してくれたり、試験出題率の低い部分は+αの知識として「さらっと一読!」としてくれたり、メリハリもつけやすく感じました。

 

  • スッキリとける 過去+予想問題 FP技能士2級・AFP 2023-2024年 (TAC出版), TAC FP講座 (著)

 前述の「テキスト+問題集」と同じシリーズです。デザインでシンプルで見やすいものです。「テキスト+問題集」を終えてセットで考えるもよし、過去問演習はネットでよし、という選択肢もあるでしょう。

 

 

ネット教材/過去問

 分野別の知識の整理が終わった後にランダムでの過去問演習も兼ねて、ネット上での過去問が解けるものを探しました。「FP2級ドットコム」というサイトです。過去問(学科、実技)と一問一答形式での問題が無料で利用することができ、解説も充実しています。

fp2-siken.com

 

 

 

6. 受験に際して

受験まで/勉強時間

 試験申込みを終えてから試験まで2カ月ほどあります。入念な準備をしたかったのですが、忙しかったこともあり、参考書を買う行動を起こしたのが2週間前の日曜日でした。2週間前を切ってから勉強を始めるということも相まって、1冊で終えたいという気持ちから『史上最強のFP2級AFP問題集』を選んだのかもしれません。

 また、テキストは不要という判断をした理由とも被りますが、個人的には普段から節税、金融、不動産の内容のようなことには触れる機会があります。そのため、試験チェックの際に各自の学習すべき項目や深さなどに気がつくとは思いますが、前提が異なる人もいらっしゃると思います。

 

<結果としての勉強時間>

  • 参考書 11~12時間
  • ネットの問題演習 1~2時間

 

 基本的な勉強方針としては、①参考書を軸に勉強しながら、手元に参考書のない隙間時間にネットで問題を解く②(参考書をひと通り終えたら)ネットでランダムに問題を解く/間違えた問題を復習する、というように計画しました。家に帰る日は必ず1日30分以上勉強をするようにしました。

 結果としては次のような勉強の進行具合で試験を終えました。試験前日の土曜日の緊急の予定により、計画より6~7時間も勉強時間が減ってしまいました。参考書はひと通りも終えることはできませんでした。参考書の学科試験の部分はひと通り終えていたところでしたので、実技試験は途中で計画修正して方針転換し、苦手な部分を中心的に半分程度も解く時間がないぐらいで終えました。そして、土曜日(試験前日)の夜から当日の試験開始までは、参考書を全部解くことよりも過去に間違えた問題の復習ネットの問題演習に力を入れました。

 最後に過去問で得点率を調節するかのようなソフトランディングではなく、ギリギリ駆け込みとなってしまいました。当日も地下鉄の遅延で遅れて試験会場に入ることになりました。これこそ、ギリギリまで勉強できた要素でもあったかもしれませんが、試験会場に到着するまで(午前の試験の前まで)に学科試験の範囲を復習しつつ、学科試験を早期退出して午後の実技試験の勉強をするというような流れになりました。寝不足で、学科試験は終えた後に退出せずに冷暖房の効いた椅子・机でひと眠りするというような心理的な余裕はありませんでした。

 このような反省から、いつ仕事に呼ばれるか分からないような場合も含め、勉強スケジュールには余裕をもっておくことをおススメ致します。

 

 試験当日は受験票に加えて、運転免許証のような身分証明書や電卓も忘れないように準備しておきましょう。

 CBT試験になれば、試験時間の縛りがなくなり午後の休憩時間や時間調節がなくなることも考えられますし、受験票や筆記具すら持参不要になって、試験会場もターミナル駅オフィスビルのパソコンセンターみたいな場所で、お買い物ついでに受験しやすくなるようになるかもしれませんね。過去にすら忘れて受験会場に向かい、近くのコンビニで鉛筆を買った試験もありましたので、必要なものが減ることは嬉しい限りですね。

 

 

試験終えて

 学科試験は35分程度で解き、見直しもして45分程度で終わりました。実技試験は60分ぐらいで解き終わりました。電卓は打ちやすい大きさのものにすると、もう少し早くなると思います。得点率70%弱でした。

 少し目標に届きませんでしたが、概ね合格できたので良いと考えることにしました。1カ月後ぐらいに合格の証として証書が届きます。それ以上に、次回以降に向けた資格勉強・対策に対しての反省点(予定の組み方)も洗い出しできたのが、良かったと思います。

 

 受験後に自己採点をしながら勉強の過程を簡単に振り返ることで、合格はもちろんのこと、次につながる何かをも得られるとよいですね。また、勉強時間も短ければ短いだけ良いという訳ではなく、勉強になっていることが大切であると考えています。スタート地点も異なれば、必要な勉強時間も異なって当たり前ということで、各自の成長になるものがあれば成功だと思います。

 勉強時間が長くても、今まで意識していなかったお金に関する知識が多く、学びが多ければ、それもまた大きな成果だと思います。他人との勉強時間のような比較ではなく、得られるもの注目して、その中で効率的に時間を費やしてみてください。

 

 

 

7. 受験あとがき FP2級以上必要か!?

 あくまで受験してみて納得した部分もありますが、FP2級以上を誰にでもお勧めできるわけではありません。そのことについて長文・駄文ではございますが、あとがきとして書き留めておこうと思います。

  まずは結論として、FP3級と比べて細かな内容まで増えることに対してとりあえず学んでおこうと思う人や、資格の必要性がある人がFP2級受験に向いていると思います。

 FP2級以上を受験するか悩んでいない人はこの章はさらっと流してもらえれば幸いです。

 

このような人おすすめ
  • マネジメントに有効な人
  • FP2級が業務上必要な人
  • 副業/起業を考えている人

 いわゆる一般的な医師のキャリア(?)である勤務医をしていく場合、2級まではあまり必要性を感じませんでした。MBAのようにマネジメントに関わるとなると、具体的に様々な人のお金のことも考えることになると思うのである程度は役立つと思いますが、そうでもなければ、FP3級程度まででも良いと思います。

 FP2級が仕事で必要な人というのは、一般的には金融・保険・不動産業界のあたり、その中でも顧客への対応に従事している人でしょう。医療系では、手当がつく、または資格を求められることは基本的にないと思います。

 

 

FP資格弱さ

 他にも、FP2級を持っていると良いかもしれない人は、副業起業を考えている人です。法人でも個人事業主でも構いませんが、ぼんやり何かを近いうちに始めてみたいと考えている人でしょう。すでに何かをやっている場合は、それに特化した内容を学ぶことを優先したほうが良い場合もあります。例えば、不動産賃貸業を営んでいるような場合では、宅建士等のもっと業務に直結しそうな他の内容を学ぶというのも考えられます。他にも、証券会社・金融機関であれば、証券外務員の資格を学ぶというのもあります。

 

 FP2級で求められることが、資産形成の相談などで顧客相手に業務をするような時やちょっと個人のお金のことを、副業・起業などで具体的に考え始める時に役立つイメージです。全般的に広く浅く学ぶ傾向にあるため、ピンポイントでやることが決まっている場合には、あくまでFPは広い視野に対応するための学びだと思います。一方で、あるひとつの分野のこととしては深さが足りないと感じます。

 

 例えば、投資ということで株や投資信託をはじめとした運用をするには、FPで学ぶような専門用語や制度の知識だけではなく、実際にはその先が必要になります。FPはあくまで投資の時に関わる制度を学ぶといったコンセプトです。FP3級では浅く、全般的に知っていた方がよいレベルですが、2級となるとちょっと具体的なものの、窓口ですらすらと対応するわけでもないので、制度について詳しく覚えていなくても、自分自身で調べていくための概念があればよいとも言えます。

 また証券会社などで金融商品を扱うのであれば、金融商品を扱う営業で必須の証券外務員の資格を取るでしょう。業務独占や設置義務でもない資格であるFPの弱さを感じます。

 

 他の例として、不動産(賃貸業)を考えていても、FP2級の知識では知識としても微妙で、実際の運用方法についてはまったくFPの先のことが必要です。不動産を副業に考えていても、ある程度以上の規模での関与を考えていくのであれば、宅建などを考えたほうが良いでしょう。

 具体的には、海外の人が家主の物件を借りる場合の源泉徴収のことは書かれていません。海外家主物件では海外家主は源泉徴収をされていないため、自宅用以外で借りていて家主倒産等で逃げられた場合には、その源泉徴収されていない分の税金を借りている側が支払うことになるリスクがあります。制度の問題でもありますが、一個人として税務署相手なので強制力があり、相手にしないわけにはいきません。やはり、いろいろとやっている部分ではFP2級の知識では足りないという場面にも遭遇します。

 また、こちらでもFPはあくまで名称独占(しかも狭義でファイナンシャルプランナー技能士という表現に留まる)ですが、業務独占ではなく、設置義務のあるものでもありません。一方、宅建士は不動産業を営もうと思った場合に必須の資格になります(有資格者を雇う場合を除く)。

 

 

ここまで暗記必要!?

 試験に合格するとなれば、学科試験を含めた試験で求められる知識の暗記も必要になってきます。FP2級の勉強をしていて、ここまで覚えなくてよいと感じた一例を紹介したいと思います。学科試験の過去問の問題文の一部抜粋と、そこで必要となる知識についてです。

 

(問題)「ねんきん定期便」に記載されている年金額は、送付対象者の年齢…

  • 日本年金機構から毎年誕生月に送付されるねんきん定期便には、50歳未満の人には加入実績(年金加入期間や保険料納付額)に応じた年金額、50歳以上の人には60歳まで加入した倍の年金見込み額が記載されています。

(問題)契約者が法人、被保険者が特定の役員、死亡保険金受取人が法人である定期保険特約付終身保険について、終身保険の保険料は資産に計上し、…

  • 法人を保険金受取人とする定期保険特約付終身保険の場合、終身部分の保険料は保険料積立金として資産計上し、定期部分の保険料は損金算入します。2019年7月8日以降の契約の場合、定期保険で保険料全額損金算入できるのは、保険期間3年未満または最高解約返戻率50%以下のものに限られています。

(問題)日経225オプションおよびTOPIXオプションは、…

  • 日経225オプションやTOPIXオプションは、満期日に限り権利行使可能なヨーロピアンタイプです。

アメリカンタイプ(取引開始日から取引最終日までの間のいつでも権利行使可能)とヨーロピアンタイプがあることは知識として理解しつつも、ここまで具体的な知識が必要かという疑問。

(問題)消費税の簡易課税制度は、事業者の事業を5つに区分し、…

  • 消費税簡易課税制・・・消費税額を算出する際、実際に仕入れ等で支払った消費税額を計算しないで、一定のみなし仕入率を用いて計算する制度。預かった消費税に一定率(みなし仕入率)を乗じて算出した額を支払った消費税とみなして納税額を計算します。
  • みなし仕入率・・・事業者の業種を6つに区分した仕入れ率で、税額計算を簡便にするために用いる。

 

 もちろん、上記のようなものばかりではなく次のような知識の組み合わせで解ける問題もありました。

(問題)日本銀行が実施する売りオペレーションは、他国通貨に対して…

  • 売りオペは、日本の市場金利を上昇させます(金融引締め)。日本国内の金利の上昇は、日本で今後、高金利が見込まれることになるので、円高要因となります。

 

 いかがでしょうか。知識の組み合わせでもなく、単体の知識としてここまで覚えておく必要に関して個人的に疑問を感じるものが増えてきたと感じました。業務であれば、ある程度覚えておく必要性もあるでしょう。しかし、そのような職業をしていないのであれば、概念程度に理解しておき、いつでも調べられる程度にしておくことでよいと感じました。

 

 

医師必要資格!?

 まずは、ファイナンシャル・プランナー技能士(FP)資格として弱さを感じます。それこそ、医師の身近な部分に例えると総合内科や総合診療のようなジェネラルな資格は、資格としては弱く感じるのと似ているのではないでしょうか。

 すべてかなりの高みまでもっていければ、ジェネラル(ここでいうFPだけ)でも評価されると思います。しかし、中途半端なもの強みにはなりにくいと考えています。FPでも、有料相談として成り立つような場合は前者ですが、相談と称して保険等の金融商品を売ることのリターンでやっているような場合が後者(中途半端)に当たる可能性が高いでしょう。

 医療でも、総合診療(というよりも家庭医療も含む)という専門医資格で、患者アウトカムを改善しない「患者中心の医療」のような診療の補助的道具を自らの専門性と主張しつつ、何となく幅広く診ていて排他的な強みとは言い難いと考えています。すべての診療科の分野にかなり精通しているような「資格の有無」の領域を超えたごく一部の人を除いて、ジェネラルな「資格の有無」だけでは特に厳しい状況であるのと似ているように感じます。また、外からは同じ集団としても認識されがちです。

 そのように考えると、総合診療はベース(マインド)にしつつ専門家(スペシャリストになり、その強みもジェネラルマインドでさらに活きてくる、総合力が上がるというような気がします。岩田健太郎先生の提唱されている、この「ジェネシャリスト」のジェネラリストと似たようなものをFPでも感じます。FPではなく、他の業務独占・排他的な強み等の専門性や優位性のある資格を軸に持ち、裾野を広げるためにFPも取得するといった感じになって、やっと活きてくる人が多いといった感じでしょうか。

 

 また、FP3級は、「節税勧誘対策にも」、「資産設計・貯蓄にも」、「相続対策にも」というベースラインとして有用であると感じたのに対して、多くの医師(一般的な勤務医)の場合、2級へステップアップをすることへの費用対効果低いと感じます。多くの場合は業務ではないので、2級のために細かいことまで暗記する必要はなく、概念をもとに調べながらでも良いと感じます。

 

 

 

8. 最後

 とりあえずFP2級受験・取得してみて、色々な面から「今は、これ以上は不要」と個人的には納得しました。受験してみたからこその納得感かもしれません。ファイナンシャル・プランナー技能士(FP)をAFPやCFP、FP1級へとステップアップしていくよりも、もっと他のこと先に進めたいと思います。例えば、資格関係であれば、不動産・賃貸もあるので宅建士の先の知識のほうが学びたい、興味として基本情報技術者試験の勉強の先をしたい(取得済み)などと思う次第です。

 

 FP2級を受験しようと悩んでいる方お役にも立つ部分もあれば、幸いです。また受験すると決めた方参考になる部分もあれば、幸いです。

 受験の際には試験要項をはじめ、下記より最新のものをチェックしてみてください。本日もお読みくださいまして、ありがとうございました。

www.jafp.or.jp

 

 

 

**********

 FP取得しようと思い始めた理由FP3級の受験を検討中の方は、よろしければこちらをご覧ください。

mk-med.hatenablog.com