医学書ログ(書籍紹介)
『レジデント・ジェネラリストのためのリウマチ・膠原病診療【電子版付】』
猪飼 浩樹 (著), 滝澤 直歩 (著)
膠原病診療の類書もすでに多い中で、特徴的・魅力的であった医学書の医学書ログです。後発でありながら、これまでの類書にはない魅力を感じた部分がありました。
【こんな人におすすめ】
- 電子版もしっかり使いたい人
- Tipsのような学びを楽しみたい人
- レジデント、ジェネラリストで膠原病に興味のある人
すでに『ケースでわかるリウマチ・膠原病診療ハンドブック〜的確な診断と上手なフォローのための臨床パール』のような膠原病診療の類書もあります。これらも良い書籍であると感じますが、こちらは市場へ少し独自のアプローチをしてきた良い本であるとも感じました。
何といっても太っ腹なのは、医書.jpの電子書籍がついてくるという部分です。1アカウント2端末分のダウンロード権がついてくるという大盤振る舞いです。普段、紙の書籍は最初に通読する際に欲しいとか、家で落ち着いて読む時に欲しいけれども、普段はスマホやタブレットで電子版が持ち運びにもというような状況も多々あります。それを1冊紙の本を買うと両方かなえてくれるという嬉しい書籍です。Elsevierの書籍のinkingのような環境が、やっと純日本語の書籍でも叶った感じがします。読み進めるのも、移動中の電車内では電子版も快適に使うことができて持ち運びも億劫にならず、他の同サイズの書籍よりも早く読み終えることができました。やはり、医書.jpやM2PLUSの電子書籍の使い勝手がよく、他社であるようなウェブ上のやや使い勝手が不便な電子版での学習しにくさとは異なると感じました。
次に、この書籍の内容構成が3つのPartに分かれるのですが、Part2がTipsのように学ぶことができて、1テーマ見開き数ページ程度で読みやすく完結する点もよかったです。例えば、次のようなテーマ(チップス)の項目がPart2に多数あります。
- 「アキレス腱が痛い」:付着部炎と間違えるな!薬剤性腱症(toxic tendinopathy)
- 高齢者の全身エリテマトーデスで考えること?薬剤性ループスを押さえよう
- 「CRP陰性=活動性がない」ではない!関節リウマチ診断時も治療経過中も気をつけたいこと
- 仙腸関節炎のない非対称性頸椎病変が特徴:体軸性脊椎関節炎に隠れている乾癬性関節炎
- 透析患者における血管炎ミミック!難治性潰瘍のカルシフィラキスを知っておこう
興味の湧くチップスが多く、80近くのテーマ(項目)があります。さらに所々に疾患に関するまとめもあります。
ちなみにPart1は「ろうさいスタイル」ということで猪飼先生や瀧澤先生が所属されている中部ろうさい病院でのやり方ということで、身体所見や問診の取り方、画像診断の総論的な部分、Part2は「診断へのアプローチ」ということで先ほどのようにチップス的に学ぶことができる部分、Part3は「フローチャートでわかる治療戦略」という流れです。レジデントやジェネラリスト視点で楽しい書籍になっていると思います。是非、手に取って読みやすさもみてください。
本日もお読みくださり、ありがとうございました。
今回取り上げた書籍です。アマゾンの読者レビューをはじめ、よろしければチェックしてみてください。