医学生からはじめる アウトプット日記

医学生のうちにはじめてみたいということで始めてみたブログです。体験のシェアや、日常の医学に関連する疑問の「なぜ」・「なに」を大切にアウトプットする場としても使いたいと思います。少しでもお役に立てば幸いですが、自己責任でお願いします。また、内容に関しては自身の所属等とは一切関係ありません。

非結核性抗酸菌症(NTM)の深掘り

結核性抗酸菌症の深掘り

結核と非結核性抗酸菌症(NTM)~

 

 発熱対応の弊害か胸部CTを撮影した際に右中葉に粒状影を発見し、その流れから喀痰を吸引したところ抗酸菌塗抹検査(ガフキー)が陽性となったことがありました。抗酸菌塗抹検査が陽性となると、結核菌をはじめとする抗酸菌症を考えることになります。非結核性抗酸菌症(NTM)であるか、結核であるかが分からないため、PCR検査で結核でないことが分かるまでは隔離の対象になります。隔離の解除には至らないとしても、結核かNTMかの推測になればと思い、抗酸菌(Mycobacterium属)のそれぞれの特徴を押さえてみたいと思います。

 

 抗酸菌症といえば、結核菌(Mycobacterium tuberculosisハンセン病らい菌(Mycobacterium leprae、さらにその他の結核性抗酸菌(nontuberculous mycobacteria; NTM)があります。

 具体的にNTMについては国家試験の際に、土壌中などに存在し病原性を持つものは一部であり、MAC症やM. kansasiiぐらいがあるということ、キーワードは中年女性、熱帯魚という程度のことを覚えているぐらいなので、調べてみます。

 

結核性抗酸菌の原因菌は?

 

 NTMは固形培地に発育するコロニーの生物学的性状(色調、光沢、光刺激に対する呈色反応など)により分類される。遺伝子解析技術の進歩により現在約170種が知られているが、ヒトに病原性を呈する菌は約20種類である。

 

Runyon分類とヒトに病原性を有する代表的な菌種

 

Runyon分類による

抗酸菌群分類

病因となる主要菌種

まれに病因となる菌種

遅発育菌

I 群

光発色菌

M. kansasii

M. marium

M. simiae

II群

暗発色菌

-

M. scrofulaceum

M. gordonae

M. szulgai

III群

非発光色菌

M. avium

M. intracellulare

M. xenopi

M. nonchromogenicum

M. terrae

迅速発育菌

IV群

M. fortuitum

M. chelonae

M. abscessus

M. massiliense

M. peregrinum

 

(出典)内科学 第11版, 朝倉書店

 

 

 ここで有名なMACがない!と思いました。有名なMACは次のようです。

 

 非結核性抗酸菌では、Mycobacterium avium complex(MAC; 近縁関係にあるM. avium, M. intracellulareを一括した呼称)によるものが約80%を占める。

 次いでM. kansasiiが約8%を占める。M. abscessusは全体の4~5%を占め、近年増加が指摘されている。

 

(出典)イヤーノート2020

 

 

 なるほど、NTMでも疫学的に多いもののトップ2が国家試験までに私自身が覚えていたものになりそうです。

 

MAC

MAC症は肺感染症型と全身播種型に大別される。

・肺感染症型はさらに2つに分類でき、男性に多い空洞形成型が一般的だったが、近年では中高年女性に好発の気管支拡張型が増えている。

・空洞形成型:肺結核類似空洞型(肺尖部の薄壁空洞)陰影

・気管支拡張型:両側結節、中葉、舌区に限局する結節影

 

(出典)イヤーノート2020

 

 

 しかし、これ以上の臨床的な特徴は述べられていないので、深掘りしてみます。



結核性抗酸菌症(NTM)

・NTM感染による臨床疾患を持つ割合は3~15%

(高齢者では多くなる)

 

< NTM>肺疾患 >

・北米やその他の工業国での非結核性抗酸菌症でぬきんでて多いタイプである

・臨床像:典型的に数カ月から数年単位のしつこい咳、ゆっくり進行する倦怠感からなる

・患者はしばしば何度も医師にかかっており、診断が想起されてから検体が抗酸性染色と培養に送られる

(高齢女性では典型的な発症から診断まで5年)

・リスク因子:気管支拡張症、塵肺、慢性閉塞性肺疾患原発性腺毛無動症、α1アンチトリプシン欠損症、嚢胞性線維症といった肺疾患

(気管支拡張症は重要な基礎疾患のひとつ)

・典型像:背が高くてやせた女性(場合によっては胸壁の異常あり)

 

MAC感染症

・女性では50歳代か60歳代で発症することが最も多い

・数カ月もしくは数年よくならない間欠的な咳や疲労感を有しているが、排痰や胸痛はみられることもそうでないこともある

・高齢の非喫煙白人女性は男性より多く、その発症はおよそ60歳である

・一般人口よりも患者は背が高くてやせていて傾向にあり、側弯症、僧帽弁逸脱症、胸郭異常が多い

 

M. kansasii

結核によく似た臨床像を呈することがあり、喀血、胸痛、空洞性肺病変となる

 

M. ulcerans

・Buruli潰瘍と呼ばれる特徴的な疾患の原因であり、熱帯地域で広く認められ、特に西アフリカに多い

 

M. marinum

・海岸地域の、あるいは魚を飼育する水槽やスイミングプールに暴露した患者での皮膚や腱の感染原因としてよくみられる

 

(出典)ハリソン内科学 第5版 <全2巻>

 

 

 非結核性抗酸菌症(NTM)といっても肺病変だけではなく播種病変などもあるため、今回のテーマに基づいた肺病変の深掘りと、一部のNTMの菌種の簡単な特徴や疫学について深掘りしてみました。まだまだページ数もあり、奥が深そうです。皮膚・軟部組織疾患や播種性疾患等として、菌種ごとの深掘りも教科書を読めばさらにできるので、是非みなさまもお手元の教科書を読んでみてください。



 国試勉強の際にはもう少し、菌種どこの病変なのか(どこの臓器の病変が多いのか、肺病変がメインか等)というあたりに注目しておけばよかったと思いました。

 

 本日もお読みくださり、ありがとうございました。