医学書ログ(書籍紹介)
『ハイパーソノグラファーK ①』
原作:山田 博胤、小谷 敦志
漫画:小玉 高弘
本日紹介するのも良い意味で風変わりな学習教材です。マンガを通じて1時間足らずで心臓超音波検査を身近に感じる学習用の漫画です。1時間足らずで一読できます(30分で読んで、付録の心エコーの動画を会員登録してみました)。
【こんな人におススメ】
- 心エコーを心理的に身近に感じたい
- 楽しみながら学びたい
- 教育方法/手段の参考として
この本(漫画)のお勧めポイントは「漫画であり手軽である」ということです。放射線科でのお話を中心とした『ラジエーションハウス』よりはストーリー性は少なめで教材寄りといった印象ですが、この手軽さには目を見張るものがあります。
医学部3年生あたりではじめて循環器や心エコーを学ぶ際に1回でもこのような教材(漫画)に触れて、実際に心エコーをやってみたい、もっと学びたいと思えれば成功かと思います。そういう意味でも教育方法・手段の参考にもなると思います。心エコーの動画も付録(オンライン上)であり、最近の超音波関連の参考書と同程度のクオリティとなっている面もあります。
実際にマンガ内で紹介されている心エコー動画(オンライン)は次の通りです。いずれの動画も10秒にも満たない簡単に閲覧できるものです。
- 傍胸骨左縁長軸断面(正常)
- 傍胸骨左縁短軸断面(正常)
- 下壁梗塞左室短軸断面
- 下壁梗塞心尖部二腔断面
- 腹部大動脈解離(長軸)
- 腹部大動脈解離(長軸)
- 腹部大動脈解離(短軸)
漫画のコンテンツの欠点は、漫画の中にいわゆる解説的な医学的なことをまとめたページや漫画用の印刷ではない心エコーの解説等がないこと、付録の動画も心エコーの動画のみで、実際の心エコーの当て方等の初歩的な部分がないことでしょうか。他にも続編が出ていません(シリーズ化されていない?)。心エコーを学んで終わりというあたりも、腹部エコー編などの次に続かないところが悔しいと思います。その辺りは自身で穴埋めするエコーの本が必要になると思います。
しかし、新たな試みの教材として今後に期待したいと思います。学生であれば、大学の図書館で借りるというような楽しみ方も良いと思います。起爆剤となれば、後は自分自身で学び始めるという面があるので学ぶきっかけづくりとして大切であると思います(むしろ、そこが大切であると思います)。
さらにこの本でエコーをかじり、ポケットエコーを含めてもっと練習したいというやる気に応えられる環境が欲しいと思いました(本は個人で簡単に買うことが出来ますが、エコーの機器はハードルが高いです)。
本日もお読みくださりありがとうございました。
今回取り上げた書籍です。アマゾンの読者レビューをはじめ、気になる方はチェックしてみてください。