"Med-Hobbyist" 医学の趣味人 アウトプット日記

医学の趣味人"Med-Hobbyist"のブログへようこそ。医学に関連する「なぜ」・「なに」といった好奇心を大切にする場所として、体験・読書をシェアする場所として、過去の失敗談やヒヤリを棚卸する場所として、傷を舐め合う場所ではなく何かヒントを得られるような場所にしたいと思います。少しでもお役に立てば幸いです。

医学部・医療系勉強会の運営 ~悩むより楽しもう~ 体験談と解決策

医学部・医療系勉強会の運営

~悩みを吹き飛ばして楽しもう~ 体験談解決策

 

<目次>

 

 

 医学部医療系勉強会、学会の学生部門の運営に複数携わってきたことから、ちょくちょく個人的に運営の悩み・相談を受けることがありました。相談しようか悩んでいる人にヒントになったり、個人的に尋ねるきっかけになればという思いで書いている記事です。ちょうど1年前のブログをはじめたきっかけ〔周囲(後輩)からの有難い質問〕への原点復帰のような記事です。そして、書いていて心苦しい部分もありますが、私自身の失敗棚卸もしています。例えば、運営に際して本質的な部分ではない雑務のようなものにおける運営貧乏のようなものも体験しています。

 勉強会の運営に入って、さらには勉強会の設立や代表までやって感じたことをシェアしつつ、運営することそのものが目的なのではなく、もっと運営する人にとっても有意義なものにするヒントになる部分があれば、ということで具体的に個人的な意見・感想を書いたものです。特に、オンライン化もあり勉強会が手軽にもなった反面、様々な問題点も顕在化したとも捉えられるかもしれません。

 あくまで勉強会(学ぶこと・解決することがメイン)の運営であり、居場所となることが優先(共感やイデオロギーが前提)や医療ではなく自己啓発のような団体の運営とは異なる面があります。また、学会学生部会・若手部会のようなものも、基本的には研究をして論文を書くというコアな学術的なものよりも、セミナーをやるというようなもので似ているので同じように考えて記事にしています。

 

 過去に勉強会運営の悩みについて後輩から相談を受けた際に作ったパワーポイントがありました。公開するのは少しはばかられると思い、手直ししながら相談してくれた人に渡したりしていました。しかし、もしかするとコロナによる変化もあってなのか、この冬になっても複数の人から聞かれるので「もし役立てば」ということで支障のない程度に具体的にオープンにしてブログの記事としてここに記しておきたいと思います(もちろん、私をご存じでDMくだされば、今まで通り相談にのります)

 

1.勉強会運営の悩み

 よく相談を受ける医療系の勉強会運営や学生部門の運営における悩みは次のようなものです。

 

<運営の悩み>

  • 勉強会の準備
  • 参加者集め
  • 後継者探し
  • 継続性(開催頻度)
  • 内容(難易度や対象、講師)
  • 温度差

 

 まず、勉強会やセミナー、学会の学生部門の発表の準備が大変という相談をよく聞きます。メンバーの他の人が大変ということで去っていったとか、去っていたことで予定以上の仕事量になったとか、全然動いてくれない人がいてそこがボトルネックになってしまったとかいう話です。

 さらに、準備ができたとしても次に参加者集めという課題が生じているところもあります。参加者を集めるのに苦労したとか、参加者が少なくて先生に申し訳なくてとか、聞きます。

 そして、負の連鎖後継者が見つからないという問題。もしくは、後輩はいるものの次期代表になってくれる人がいないというような問題。これは、勉強会に限らず、部活でも起こりうることだと思います。そして人間関係ギグシャクしないことを願うばかりです。

 

 もう少し掘り下げていくと、参加者集めや運営メンバーのモチベーションにも関係してくる内容(難易度や対象)、メンバー間での温度差、継続性(開催頻度)という問題も出てきます。

 

 私自身も、ぶっちゃけたくさん悩みました。例えば、温度差のある団体で期日を決めて各自で分担して何かをするのですが、期日までに完成しないどころか、催促・確認の連絡でさえ返信が来ないとか、1度ではありませんでした。逆ギフトオーサーシップ(ゴーストライターのようなことをせざるを得なくなる)のようなこともありました。

 ここで、次に考えて見てほしいことがあります。



 

2.なぜ勉強会をやるのか?

 悩む前に考えてみてほしい(言語化してみてほしい)ことがあります。

 

Thinking Time

そもそも、なぜ勉強会をやっているの?」

 

という問いです。よくあるぶっちゃけた答えとして聞いたものを挙げます。勉強会の悩みとともに、是非、言語化したり、書き出したりして、自分のニーズ掘り下げてみてください。そうすることで、悩んでいる自分と少し距離を置きながら、客観的な/合理的な解決案等が出てくるかもしれません。

 

<よくある答え>

  • 知らずに首をツッコんだら、抜けられない状態で…
  • 先輩から引き継いだから…
  • なんとなく初めはかっこよく見えたけど…
  • 初めは興味を持っていたけど、運営してまでは…
  • アウトプットや勉強になると思ったけど、運営するとコスパが…
  • 仲間とつながりたかった…

潜在的には…

  • お誘いに断れなくて…
  • 何となく周りからリードできる?
  • 意識高い系!?(承認欲求)

というような理由で始めた部分もある人がいます。

 

 最初はちょうど学びたいことを学べる場所があった、仲のいい先輩がいたというぐらいの人も多いともいます。しかも良くも悪くも手軽な無料!もちろん、きっかけはめぐり合わせなので否定もしません。部活でも断れないことももちろんありましたし、それの延長かもしれません。

 ここは勉強会なのでその辺はもっとルーズでいいと思うのですが、勉強会以外での縦のつながりもあるかもしれませんし、その人次第の部分もあります。お誘いの時の運営内容とかけ離れていたとか、初めは興味を持ったものの詳しく知ったら初めに聞いていたことは桃源郷」(理想郷)であった・ある団体や学会等の広告塔であったとか、〇〇の勉強会・学会の学生部門なのにテーマが〇〇でないことが多いとか…、というような齟齬もあるかもしれません。

 理由をとことん追求して深掘りしてみましょう。例えば、勉強会でちょっとできるかっこいい人になりたい→できる・かっこいいとは?承認されたい?→医学をちゃんと学んでいる→それは勉強会が必要か?手段として有効か?他は?→…とか、かっこいい人になりたい→できる人つながりたい→つながるだけでいいの?→自分を価値ある人にしていくべきでは?→…とか、さまざなことを考えてみましょう。繋がりましょう的なパーティに誘われて行って虚無になるのと同じく、意外と欲しいものではなかった可能性もあります。

 

2-1.運営のチェック項目

 ここで大きな枠で医学部勉強会・医療系勉強会の運営のチェック項目も挙げて、大きな枠で、この項目は求めているものか、どの程度求めているのかまでチェックしてもらうとすっきりするのではないでしょうか。

医学部・医療系勉強会運営のチェック項目

 それぞれの項目から想起できそうなことを、具体的に考えてもらえればと思います。例えば、「テーマ・内容」であれば、そもそも運営に入ってまで学びたいことなのか、さらに「内容の深さ」であれば、これは書籍やオンデマンドのCareNetなどの動画教材でクリアできるのか、そこで「形態」として教科書や動画では分からないところあぶりだすためにも、アクティブラーニングしたいから運営する価値があるのか、というように具体的に考えてみましょう。

 もう一度、運営についての悩みについて具体的に考えてみましょう。

(*2-1は2023年1月29日に追記)

 

2-2.具体的な悩みの例

 学生主体の勉強会であれば、コンテンツの質を維持する難しさとか、先生の呼びにくさとか、予算の問題、オンライン化の波との戦いなどがあると思います。

 学会の学生部門(フロンティア組織)であれば、先生からの声かけで断りにくかったとか、学生に向けた学会の宣伝・勧誘につながることをやるので思っていたよりも好きなことがやりにくかったとか、カタい感じのことしかやりにくかったとか、企画に時間がかかるとかあるでしょう。学会であっても内容が学術的であるかは疑問ですが、勉強会・セミナーという視点で見れば、既存の枠の中では質が保ちやすい側面もあります。

 私自身は、学会の枠に入るならセミナーを企画するよりポスター発表をするなどに興味があったのも事実です。学術という視点であれば、論文が一番好きで、その次がポスターや演題発表でしょうか。シンポジウムや学生の学会内セミナーの演者にはあまり興味がありませんでした。

 シンポジウムであれば、大人の都合の良いことを言ってくれそうな学生となったり、「それってあなたの感想ですよね」という返答されそうなテレビ識者のようにリスクを感じました。例えば、個人の価値観に基づいた体験の感想を「医学教育で再現性がある良いことだ」と錯覚するリスクもあります。セミナーであれば、制約のある学会の中で勉強会をやる程度にしか感じませんでした。ただし、学生のうちは将来への期待によって、実力・権力・勢い等が上の先生とシンポジウムのようなもので同じ土俵に立てる一面があるのも事実でしょう。

 

 ここ5年ぐらいで学会の学生部門の創設をはじめとした流れで、既存の勉強会とテーマが被るものが増え、元から多くなかった課外活動をする人のパイの取り合いになっていると感じました。特に従来からの講義形式の場合(例:ERでの胸痛)は、誘われたから行ったもののやっていることも焼き増しで残念であったというような場合もありました。団体が変わっても運営メンバーが結構被るような状況もあり、元々のパイの少ない参加者も奪い合うと表現できてしまうような側面も感じました。

 他にも、医学生(特に5-6年生)を主な対象とすれば救急での腹痛国試やPCC-OSECEでも役立ちそうな症候学・身体診察のように手段としても役立ち比較的興味を持つ人が多いような内容から、地域医療や総合診療の在り方のように興味を持つ人が少ないものまであると感じます。それを内部で妄信して見誤って集客に苦労しているというところもあるでしょう。大学の講義であれば、偶然居合わせた多くの人に興味を持ってもらう機会となる可能性を秘めていますが、一方でもともと興味があるか、誘われてくる人を刺激するという意味で異なる点もあり、ビジネスでもないのに勉強会の運営による"ノルマ"で苦労しているような場合もあります。

 さらには対象を絞り込めていなくてコンテンツに魅力がないぼんやりした企画となってしまい、人集めに苦労しているものもありました。また、学会やセミナー等の学生向けとして、どのようなことに興味を持つ医学生をターゲットにしているのか分からない自己啓発セミナーのようなものもありました。自己啓発のような勉強会の場合は、内容はふわっとしているのですが、元々の対象が医学部全般(例:救急/産婦人科/外科/内科系に興味があるというような括りはない)ということもあり、これまでの学会やセミナーで学んでいた人のパイの取り合いにはなりにくいと考えています。一方で、そういう学生を求めている学会・診療領域というイメージの定着は避けられないかと思います。

 コロナ禍・オンライン化で顕在化したようにも感じるこの問題が、コンテンツ力、広報力、つながり的な部分含め、自然の摂理でどうなるかを見守りたいと思います。

 

 さらには、マッチングで有利になると思っている人、学会の学生部門から学会の階段を上がっていくという考えの人もいるので肩書優先・好奇心優先などの程度の違いからの温度差もあるでしょう。大学生活の忙しさも大学・部活・人ごとに様々で、温度差に関しては自分自身の温度に合うところを見つけるといいと思います。

 

 内容に関して言えば、学ぶだけであれば、「教科書や既存の教材(オンデマンドや倍速も可能)にあるようなことをなぜやるのか?」という部分に答えが見出せなければ、参加者集めに苦労するのは容易に想像がつくと思います。例えば、双方向性であるとか、アットホームであるとか、オンデマンドや教科書のような既存の教材では学びにくいところ(例:ニッチなところ、実技的なところ等)を学ぶ・実際にワークショップ形式でやるとか、この先につながる人間関係があるとか、メリットを考える必要があると思います。例えば、無料であれば仲良しクラブでもいいかもしれませんが、有料であれば参加者の時間も無駄にしないコンテンツを心がける必要がもっと生じると思います。ゆるっとふわっとしているだけで掴みどころのある話はなく、学びとして参加するメリットがないとか、開催回数も繋がりや居場所としても微妙な場合もあります。参加する意味のある(参加したいと思える)会にしないと準備しても人はこないし、苦労して参加者を誘ったり、参加者より運営の割合の方が多かったなど、「好き」以外の理由でやっている人にとって、とりわけ悪循環になってしまう面もあります。

 自己啓発セミナーのようなものは、なぜ医学部勉強会でやる必要性があるのかという部分に特に理由がなければ、ぼんやりしがちであったり、医学部・医療系の枠の外で良いでしょう。居心地の良い空間に中途半端に嵌り込み、現状の外へというのと矛盾点を感じます。もちろん、パイとしてはもともとの対象は全員に近いということで数は相対的には集めやすいかもしれません。

 もちろん、自分自身が好きなことであれば、他の人は来なくても好きでやっていける人もいると思います。一方で「教えるという部分が好き」である程度参加者が来ないとやりがいを感じないという人もいるでしょう。

 

 他にも、講師の先生をどなたをお呼びすることができるか、というのもあるでしょう。団体の規模や資金、予定決定の早さというような一般的な部分から、団体の設立意図のようなもの(例えば、学会系の勉強会)によって、内容お呼びできる先生制限(もしくは忖度)されているというような状況もあるでしょう。その学会や団体などの派閥「政治」に加わりたいのであれば、ご自由にどうぞとは思いますが、一般的にはそういう制約やカラー/派閥が合わなければ、あくまで学ぶためには非効率であったり、目的を達成できない場合は一定の距離を取ることも考えておくとよいと思います。案外名前とは合致しない団体名をしていることもあります。

 例えば、講師の先生やテーマが決まっている勉強会、もしくは実態が「〇〇先生のEBM勉強会(月1開催)」というようなものであれば、講師の先生も良ければ、すごく扱う内容としても分かりやすく、そういうものを掛け持ちするというのも良いと思います。オンライン化で地域ごとの規模に関係なく、テーマを絞った勉強会を行うことができるというのが学ぶためにはとても良い流れだと感じます。しかし、規模を大きくする際などにブレたり、団体名と内容の解離が生じる可能性もあり、その際の継続は各自の選択となるでしょう。

 一方で、広いテーマの勉強会(数年前までは地域規模もあり、その程度しか厳しい部分もありました)は、学ぶ内容や講師を含めどうなっていくのかはその時の運営次第だと思うので、運営に入る際には要チェックかもしれません。一方で、地域を重視したつながり(一般的な学生で直接頻繁に会いたい人向け)としての可能性はあります。

 

 また、やり方のスタンスとして、誰かの作ってくれた資料をもとにファシリテーターやプレゼンターをしたいという人から、自分自身で事前に調べた知識でしっかりと教えていきたいという人もいると思います。私は「私自身が調べたりまとめたりしたことが、役割分担という名のもとで発表者(プレゼンター)の名前のみで発表される」ことや「ファシリテーターとして個人の知識を活かさずに資料に書いてあることのみをやる」が嫌いでした。他にも、詳しくは書きませんが某学会での内容の構成を、生き詰まった先方からのお願いで原案を作らざるを得なくなり、ゴーストライターのようなことをしたこともあります。これぞ、逆ギフトオーサーシップ(逆 gift authorship)のような、個人的な好きとか嫌いとかを通り越すような出来事もありました。これも、勉強会や学生部門のトップ等のキャパや見積もりを含めた広義でのやり方のスタンス次第です。「トップになりたい」と早く言ったもの勝ちのような団体というような選出の仕方のスタイルも影響していると思います。

 役割を細かく決めて縦割りをする集団からマルチプレイヤーのように中に時間のある人が何でも臨機応変に対応する集団までありました。中には、肩書き付きで事務のみをやりたいという人もいました。自分自身のやりたいやり方のスタンスを具体的に考えて探してみるとよいでしょう。後で具体的に紹介します。

 

 さらには、アウトプットやそこでの仲間との教えあいをはじめとする自分自身の勉強のプラスになる(例:その分野の学び方・調べ方などが分かる)と思い、運営にまで入ったものの、運営の手間と天秤にかけたら大変であったというようなこともあると思います。とりわけ、コンテンツ部分ではなく、参加者との連絡や事前準備といった事務作業の占める割合の多いところではそのようなことも生じてしまうでしょう。もちろん、パワポの作り方、GoogleフォームやZoomの使い方、進行、機材運用など(当時で言えばSlackを導入も自らの参加している勉強会の中で、私の主として運営していた勉強会が最初でした)、今後にも役立つこともあります。中にはそういうことを知るために1年間だけ運営に入るというような意識をもって運営する人もいました。

 アウトプットに関しては、そもそも勉強会でのアウトプット方法(例:パワポ)が自分に向いているのかを考える必要もあると思います。アウトプットすることのメリットなどを考慮しても運営に向いていないのであれば、外に目を向けると様々な勉強会やセミナーなどがあり、有料でもそちらへ参加するほうが手っ取り早いでしょう。

 他にも、その分野を学ぼうと思っていたのけれども、そこまで興味が湧かなかったというのもあると思います。若いうちは、次へ次へといって合うものを探してみるのも良いでしょう。

 また、元々は参加者であったけれどもお世話になったので恩返し的に何かを手伝う、教えてもらったので次は教える番だ、という感覚を持ち合わせている人もいると思います。私自身もそのような感覚で後輩につないでいきたい側面があります。勉強会という方法にこだわらないのでブログがメインになりましたが、レクチャーだけでなく教えあうカルチャーを繋いでいきたいものです(お世話になった先生から聞いた「レクチャーだけでなくカルチャーがある」というお言葉からです)

 

 仲間と先生つながりたかったというのも、勉強会の枠を超えて普段から一緒に勉強できる人が欲しかったというところだと思います。雑談をしつつ、興味の似た温度感の近い人・アツい同志を見つけられるかだと思います。普段興味を持っている分野の話題・悩み気軽に話せる(盛り上がる・雑談できる)仲間は勉強会や学会の学生部門の中でも、「どこに行ってもあの人いるよな~」というような一握りです。

 個人的には普通にテーマパーク行ったりするような仲間は学内で作るというのか、学内等にいるので、「そういう部分も、もし合えばいいね」と考えておくぐらいが良いと思います。学内等での「ぼっち」を紛らわせる居場所自分探しを「勉強会」に求めると目的が複雑になってしまいます。

 もちろん、中にはその地域の病院等の連携をスムーズにする、大学内・同一県内のような距離・金銭等も含めて、日常的に会いやすいというようなポジションも戦略の一つになるでしょう。内容のレベルは全国規模ではないかもしれませんが、これはこれで存在意義があるでしょう。

 「こういう医療者になりたい」と語って気持ちよくなれる場所も同じくで、親しい人や教育的な話の構成でなければ、カウンターのお店で近くの面倒なおっさんに絡まれた時と似ている状況にもなりうることがあります。これらがダメというわけではないですが、これだけでは前に進めないという意味です。時間を無駄にしがちであったり、行動できない人が周りに増えたりという弊害にも気をつけましょう。

 居場所を提供することで勧誘する一部学生団体もありますが、優先順位は意識しましょう。また、勉強会のような形をしていても具体的な学びより、ふわっとした自己啓発・思想・宗教に近い団体もあります。その団体等に自分のリソースを割く場合に、なぜその団体にいるのかを意識してみましょう。

 さらに、中には本当に出会い目的であったというような男女もいたと噂では聞きますが、そのような場合はそもそも運営に入らずに去っていく可能性が高いでしょう。

 また、何も目的・中身はないのにただ情緒的につながる(つながりを前面にした企画に参加する)というのと、目的に向けてつながる(〇〇を学ぼう/しようと思って、そこでつながる)というのも、そしてそれらの割合も区別・意識したほうが良いと思います。時間は有限です。そして、私自身も目的に向けて何かをやっていて、いろいろとつながるというのが、良いことが多かったように感じます。

 

 他にも、意識が高い人と見てもらいたいというぐらいの向上心にも繋がりうるぐらいの承認欲求がちょっぴりある人もいました。また、意識高い人とアピールすることに必死(意識高い系であることが好き)な人もいました。さらには、承認欲求の強い(承認欲求を拗らせた?)人が、身近なコミュニティでは仕事ができず・上手に行かず等、色々とあったために、そのコミュニティの外に満たされる空間を求めていると感じざるを得ない状況もありました。例えば、学内勉強会でうまく行っていないので学外勉強会に来て、そこから「報告専門係」のようになってしまった人もいました。小さな部署単位で同じになった時には毎回苦労しました。

 

 どれが正解ということもない人の数だけ正解があると思います。自分のちょうどよいところを探ってみてください。

 ということで、詳しく具体的な項目を考えながら挙げていきたいと思います。



 

3.勉強会のどこに心惹かれているのか

 ここで具体的に勉強会のどこに心が惹かれているのか、先ほど(2-1)の勉強会運営のチェック項目も踏まえて、もう一度考えてみましょう!悩みと魅力のバランスの問題であったり、表裏一体のこともあります。

医学部・医療系勉強会運営のチェック項目(再掲)

勉強会の

  • 何(どこ)に
  • どの程度
  • なぜ

心が惹かれるのか!?

 

 他の人に言わなくてもいいので、自分の気持ち・考えに素直に考えてみたら自ずと解決策が見えてくると思います。 例えば、学びたいというのも、「教科書代を浮かせられる」「無料ならかじってみよう」というレベルから、「教科書を読むきっかけに」、「教科書より先に行きたい、教科書でムリであった」というレベルまで、モチベーションの違いもあるでしょう。他人の期待応えるためにやる必要性もないでしょう。楽しくなくなります。

 もっと極端な例を挙げれば、地元の商店やスーパー/近くの手軽なご飯屋さんや牛丼・ハンバーガーチェーン(→勉強会に言い換えれば、学内)、少し離れたショッピングモール/ちょっとお洒落な晩御飯3,000-4,000円ぐらいのお店(→その地区の大学合同の何でも勉強会)、ターミナル駅の百貨店、外商さんとの長いお付き合いのある百貨店、長いお付き合いの店員さんのいる一流ブランドの路面店(特に銀座や表参道のようなフラグシップ店)/ミシュラン店や元ミシュラン店のシェフが紹介制で1日数組とかでやってるレストラン(→内容を絞った国内有数のセミナー・勉強会)のように様々だと思います。

 個人的には、こだわりのないものは利便性・日常的な視点から地元の商店、安さから業務用スーパーが好きで、時計や宝飾品等のものによっては外商さん(その時の担当や手に入るか次第)や長年担当のいる一流ブランドの路面店が好きというように好みがあります。これが勉強会にも似たように当てはまります。

 そもそも選択肢を知らない可能性もありますが、あなたの好みは何かという理由もセットで考えてもらえればと思います。

 学び以外にも、今後のキャリア、交友関係、自身のイメージ構築と承認欲求など、優先順位や性格なども含めて考えてもらえればと思います。

 

 考えた結果、今の勉強会や学会の学生部門と合わないのであれば、辞めればいいと思います。あくまで好きでやっていることであり、課外活動であると思うので、下手に残ってボトルネックになってしまうのであれば、辞める・やる気の程度を表明するほうがお互いのためになると思います。先輩から引き継いだ勉強会でも、「伝統」に縛られずに運営の人全体として、やりたいように変えていけばいいと思いますし、残された数名が継続することに大いに負担に感じている状態(負担>好き・メリット)であれば閉じることも考えてよいと思います。

 逆に始めてみたら、ワクワクしてきたというような人は続けていけばいいと思います。始めてみたら/始めてみても、ワクワクするものを見つけるために、挑戦することは必要だとも考えています。悩んだら、まずは次の節目(次のイベント)の運営をやってみて、そこで「やる価値があったのか?」等を振り返って、判断するとよいと思います。何か価値のあることをしていてもずーっと楽しいとも限りません。やっている最中には苦痛に感じることでも振り返りで価値を感じるものもあります。

 そこでワクワクすることもなく、やる価値がないと判断したのであれば、ワクワクするものを見つけるために、そうでないことは損切りして次に行くことも必要だと思います。物の断捨離のように自分なりに「損切り」する基準を考えてみると良いかもしれません。

 

 そして興味が湧いたら、様々なものに参加してみたり、しばらく運営に関ったりしながら、内容や人間関係も含め「ここだ!」とマッチるようなところを見つけてみてください!(※私自身のマッチしたところが万人のマッチするところだとも思いません。)

 また、目標としていたものが完璧であるとは限らず、とりあえずやってみてその次へで良いでしょう。目標に60%や80%まで近づくことで新たなことに気がついて、次に行ってみてください。


(注)「学びたい・何かを解決したい」ベースではなく共感ベースの場合、勉強会というより、先に前提となることが「居場所となる団体」というニュアンスになってくるので少し異なってくると思います。居場所となる団体であれば、勉強会のような名前をしていてもアウトプットのような学び等ではない方向性になると思います。そのため、勉強会ということで学びを軸として、次の章の話したいと思います。

 

 

 

4.具体例より着地点のヒントを探る

 勉強会で「学びたい」ことは例えば、心電図、診断に役立つ症候学や身体診察、環境問題やSDGs、農業と途上国支援、Google アナリティクスやマーケティングなど、様々だと思います。そして、学びたいことに関しては、調べたり、考えたりしていれば、具体的に思い浮かべることはできると思います。

 次に何かを学ぶとして、私自身が運営をしていた中で比較しやすかったのは、勉強会の運営方法の勉強会集団における違いでした。少しでも自分自身に合うところをみつけるヒントになればと、例を挙げていきます。

 また、以下で取り上げるような項目に対して、自分自身の成長に合わせて運営の負荷を変えて(内容等の難易度を上げて)いくことができれば、長いお付き合いになるでしょう。それができない場合は、長期間同じところに居座るよりも、成長に合わせて次へ次へと移った方が充実したものとなると思います(単なる居場所を除く)

 さらに、低学年の時は家庭医療に興味があったものの、色々と臨床医学を学んだり、深めていくうちに成長・変化して、生物学的な部分への理解が増して興味を持ち、家庭医療以外に興味を持ったというような人もいました。また、個人として総合診療科や家庭遼などの診療科・専門の枠にとらわれる必要はなく、自分の目的を達成する1つのピースとして捉えてと思います。

 

 低学年のうちは医療とはあまり関係のない活動、3-4年生で医療の啓蒙(まだ専門知識は不要)、5-6年生で臨床に関係する総合的な勉強会、初期研修医になって3年目以降の興味のある分野、…というように、自分自身の成長や興味の変化にも合わせて次へ次へと体験してみるのも良いと思います。医学生のうちは良く感じても/やりがいを感じても、医者になって医者以外でもできることを主軸にしていたら、それに違和感を感じる人も多いと思います。また、様々なことを経験して専門を決めるまでの間に自分自身に合うことを見つけられると良いと思います。

 

 

4-1.アウトプットの方法から探る

 自分自身の勉強のためにも運営に入ったという場合の具体例です(そうでない人は4-2まで読み飛ばしてください)。アウトプットをすることで個人的には勉強の質が深められたという経験があります。それを勉強に活かすという個人的な考えに基づいています。

 よくある勉強会にいる人のできるアウトプットには大きく4種類あると考えています。

 

<4つのアウトプット>

  1. 問題集(症例集など)を解く
  2. 自分用のまとめを作る
  3. 特定の人に教える(発信)
  4. 不特定多数に発信

 上記のうち、3つ目が勉強会の運営でよく行う部分かと思います。それぞれを詳しく紹介します。

 1つ目の問題集を解くというのは、MKSAPを解いてみるとか、試験を受けてみるとか、個人でしやすいことでしょう。

 2つ目はEvernoteでまとめてみるとか、Ankiを作るとか、マニアックな人であればObsidianを使うなど、フォーマット等は何でも良いと思いますが、自分なりに自分用にまとめてみる方法です。

 3つ目は、パワーポイントやプリントを作ってある特定の時間・場所(オンライン含む)に集まり教えるものです。

 4つ目はYouYubeやブログ、Twitterなど、不特定多数の人に発信する方法です。3つ目、4つ目には、必然的に「誰かに教えようとするという動作があり、知識の定着にも役立つと思います。

 それでは、それぞれのアウトプット方法の比較をしてみます。

f:id:mk-med:20220116130732j:plain

勉強・勉強会におけるアウトプット方法の比較

 さっと思いついたのは、上記のようなメリットデメリットです。

 双方向性に関しては、①問題集②自分用まとめの延長で友人と双方向性で「教えあうように」やることによって、③や④のメリットも教授できるでしょう。例えば、表立った勉強会にはしないけれども、ジャーナルクラブのように論文を持ち寄る、臨床推論の症例を持ち寄るというようなことも楽しく学びになったことが何度もあります。なぜ表立った勉強会にしないのかといえば、外向けの本質的ではない部分の準備が手間であったり、楽しみ重視としたためです。「つながっている人」同士での開催です。

 また、不特定多数に発信していたとしても、ブログやYouTubeなどを友人も見ていて、個人的な友人とのグループチャットで盛り上がったり、フィードバックが来ることも多々あります。存続のためにやっている数名の下手な勉強会よりも、質問や有用な情報などで盛り上がったりします。

 さらに、アウトプットで不特定多数に発信しつつ、話題になるとか人とつながる以外にも、もし誰かの役に少しでも立てばいいなと思ってやっています。発信方法については、Twitterによる気づきの発信から論文まで媒体も様々ですし、文字媒体か映像媒体かによる準備の違いもあるので、手間や得手・不得手、この先の将来性などを考慮するとよいでしょう。

 また、stand.fmやYouTube話すようなものや、音声入力を使う方法があります。アウトプットにかかる時間を短縮しつつ言葉にするという過程を経ることで、知識定着時間短縮を両立することもできると考えています。iPhoneでの音声入力によるGoogleドキュメント入力はキーボード入力では得られない速さ・ラクさとアウトプットの両立の可能性を感じています(※医学用語の漢字の変換等には手直しが必要ですが…)。音声入力トークを活かせるアウトプットもよいでしょう。

 これらの発信に限らず、誰かに教えるというプロセスを疑似的にであっても組み込む(例:バーダック勉強法)ことでも知識定着の効果が得られます。また、ワシントン大学の学生に行った研究では、「後でテストをすると伝えた群」と「後で他の学生に教えてと伝えた群」では、後で教える群のほうが約30%高く内容を正確に覚えていたようです。

 

 不特定多数への発信をすることでもアウトプットの有用性がある中で「なぜ勉強会を続けるのか?」という部分の答えを考えてみました。私自身にとってはそもそものつながりきっかけが初心者向け・上級者向け問わずの勉強会にあるので、自分自身の労力を割いてある程度残す(月に1回程度)という考えや、本当に大好きな勉強会や学会の学生部門運営していてトータルで楽しい・達成感がある(周りからはつらそうに見えても、つらい時もあっても)という好きでやっている部分に尽きると思います。

 

 それでは、アウトプットの場のひとつを勉強会にするとした場合を含め、勉強会を運営する場合について詳しく考えていきましょう。

 

 

4-2.勉強会のテーマの深さから考える

 さすがにテーマについては考えているでしょう。同じテーマでも到達目標のようなものが大きく異なることがあります。その到達目標のような深さについては意外と入る前には分からないこともあると感じました。その勉強会に参加してからでもいいので、学んでいく中で分かることもあると思います。

 勉強会の運営をする際のテーマの深さから具体的な話をします。勉強会をやる際に同じ「臨床推論」を扱っていても、様々な会がありました。入門編から教科書では探しにくい・載っていないような興味をそそるマニアックなものまでありました。

 自分自身の求めている到達目標も考えるとよいと思います。いずれにしても運営で時間を割くことになるからです。私自身は教科書やCareNetなどの映像講座、セミナー等でお金を払えば(学生の間は一部はお金を払わなくても)、効率的に学ぶことができるものは、勉強会でやるための付加価値がなければ、わざわざ運営する時間がもったいないと考えがちでした。

 一方で、教科書や映像講座などを買うのはちょっと…とか、知らない人ばかりのセミナーに参加するのはちょっと…(Zoomで参加しやすくなったとは思いますが、それでも…)などというように様々な考えや自身のニーズがあります。

 どのような勉強会が、どのような雰囲気であるかを考えてみると、ヒントがありそうです。よく参加していた臨床推論の勉強会の例を用いて紹介します。(医学系は臨床推論、救急や内科の勉強会運営が多く、他は根本的に医療系以外が多かったため、最近流行りの医療系勉強会にて医療以外のテーマをするものとは少し異なりますが、ご了承ください)

 

f:id:mk-med:20220116030359j:plain

臨床推論系の勉強会の運営を通じて感じたこと

 

 よくある医学部勉強会の方が、学内でも参加者には困りにくいでしょう。OSCEに役立つ等という誘い文句とともに何とか集められます。さらには、教えること自体が好きな人は教えやすいと思います。一方で、効率的に学べる既存の教科書等があることや運営者の学びをどうするか、盛り上がりをどうするのかというような問題はあるでしょう。他にも「これもいいね、あれもいいね、それもいいね」というだけで、その先の議論や背景の深掘りをせず、何か上の空で終わってしまうような場合もあります。また、よくある勉強会は母数が多いので、ニッチな部分でもマッチする勉強会・メンバーを探すきっかけの場所にもなりうる側面もあります。

 ニッチな勉強会は、好きこそものの上手なれというような感じでしょうか。一方で学内レベルでは参加者集めに苦労すると思います。そもそもZoomもありますし、学外の人とでも良いと感じます。マニア的な部分が好きであれば、物おじせずに参加してみれば、似た学年の似たようなぶっ飛んだ人もいると思います。また、初心者には横の先輩が後輩に教えてくれますので、よくある勉強会的な部分も教えることはできます。

 しかし、いずれにしても雷が落ちたような知の叡智を感じる勉強会の機会も多いわけでもないようです。私自身は、幸いにも周りに何名もそのような先生がいらっしゃいますが、出会ったことのない人もいるはずです。このような好奇心を満たしたり、知の叡智を感じるようなエッジの効いた勉強会の楽しさを知らない場合もあります。

 もちろん、上手にやれば両者の良いところを組み合わせたり様々なこともできます。また、いずれも症例をやって終わりとか、体験談を聞いて終わりではなく、データやエビデンス、一般化、ディベートに近い議論で話を昇華させたりすることも質に関わってくると思います。オンラインにより地域を問わず、自分自身に合う団体・参加者をマッチングしやすくなったと思います。

 

 また、得意なこと伸ばしていくことで求められて/楽しくなって、どんどんチャンスが与えられて「好きなこと」ができるようになっていくという人もいるでしょう。そして、繋がりを前面にした勉強会よりも、結果的に興味が同じ方向の部分も持ち合わせた中身のある繋がりを見つけられる可能性が高いと思います。(好きと得意のあいまいな部分もあると思います)

 

 

 

4-3.心理的安全性 vs. ぬるま湯

 今日の勉強会では、発言をすることに対して抵抗がある人も多くいると思います。そういうときに必ずといってよいほど心理的安全性という言葉がでてきます。もちろん、講義(レクチャー)だけであれば、心配する必要性はないでしょう。一方で、「議論」を行うものもあると思います。そこでの考え方からも、先述のアウトプットの質(4-1)学びの深さ(4-2)も変わってきます。

 心理的安全性とは、対人関係でリスクのある行動をとっても、チーム全体が安全な場所であるというということが、メンバー内で共有された状態です。率直に何でも言い合える非難されない状態です。もちろん、居心地も良いでしょう。そして、心理的安全性が高い勉強会では、率直に言い合えるからこそ対立する意見も言えるのです。だからこそ、議論・討論のときに思う存分、知識やデータなどに基づいた深い議論ができるのです。対立する意見があるからこそ、理解や認識が広まる・深まるというのはディベート(討論)や議論ではよくあることです。人格攻撃に対するルールや議論が深まるような進め方は必要ですが、甘い認識をしていた自分自身の知識不足等を認められないことと人格攻撃とはで考えましょう。活発に議論をして、知識等が不足しているのなら、それを認めつつ、調べながらでも深めていけばよく、知識ももちろん必要になってくるのです。理解や認識が広まる・深まることで意見を変えていく・昇華させていくのは悪いことではなく、むしろ成長です。

 「ぬるま湯」は、ただ一見すると仲が良いだけで、対立を避けて馴れ合いのようになってしまうことです。もちろん、表面的には居心地は良いので心理的安全性と誤解する可能性があります。例えば、議論であるのに他人の意見に突っ込むことはできないというのは、議論における心理的安全性という言葉を誤解している可能性が高いです。議論の時間なのに、ただただ全員の意見・感想を聞いて「それもそうだね」ではなかなか深みができないのです。もちろん、ディベート(討論)のように賛成・反対に分かれて勝ち負けを決めるわけでもなく、勉強会での「議論」も何かの合意形成をするためでもないとは思いますが、心理的安全性と「ぬるま湯」の区別は意識しておいた方が良いと思います。

 今振り返ると、家庭医療系のセミナーで最初は「ぬるま湯」で居心地がいいと感じたものの、反対意見が言いにくいような環境は、議論が進まないだけでなく、統一された思想・価値観のような危うさも感じます。よく「多様性」と言っているイメージと反する危険性でしょうか。それが、逆に深く学んだり、関わったりすると居心地が悪くなる現象なのかもしれません(似たような人が複数いたという解釈もできる気もしてきました)

 また、「ぬるま湯」で論理的な指摘することができないようなところも要注意でしょう。夢を語ったり自己啓発のようなセミナーも、解像度低く気持ちよく耳障りの良いことを言っているだけでは、実現から遠ざかるリスクがあるということも認識したほうが良いと思います。特に医学部卒業後、初期研修終了後までそのような解像度が低くステップを飛ばしたような「夢」を見ているのはリスクを感じます。

 この勉強会の運営企画での議論は、心理的安全性なのか、「ぬるま湯」なのかを意識してみましょう。アウトカム(学び等)のために勉強会をやっているのか、繋がり・自分探しのために勉強会という体裁をなしているのか、自分自身に合っている勉強会はどちらかを考えてみるとよいと思います。

(*4-3は2023年1月29日に追記)

 

 

4-4.目的に対して取れる手段・方法

 勉強会の運営に入った目的・理由は人によって様々だと思います。その目的や理由を達成するために使える手段が勉強会や団体によって異なります。

<物理的・金銭的制約>

 学生団体では無料で参加できる反面、お金のかかることに困ることが多い面があります。例えば、お金のかかる講師をお金のかかる会場へ呼びにくいというようなことがあるでしょう。一方で社会人の団体では参加費がかかることが多いと思います(一部、学生に向けた配慮があるところありますが)。それでもそれだけの魅力があれば、相応の負担であれば良いと思います。

 活動時間・場所に関しても、大人と一緒にやることで社会人の時間の動き方に合わせる必要があったりします。学生団体であれば、夏休み企画のような平日のお昼に行うような企画はやりやすいですが、社会人を含む勉強会では平日夜や土日というような場合もあります。

 

<思想的な制約>

 団体でも運営は学生のみにこだわっているところもあります。例えば、途上国支援をする場合にしても学生だけにこだわることで達成感は上がると思いますが、途上国支援にまず行ってみて体験から理解を深めるというような目標達成が遠ざかる場合もあります。

 他にも学会や母体組織のフロンティア組織として活動する場合は、目的に対して取れる選択肢が限られる可能性が上がります。これはスポンサーの意向に似ていると考えやすいと思います。

 例えば、宗教思想によるような学生団体に関しては、学会のフロンティア組織と似たような側面はあるとは思います。例えば、「平和」とか「思いやりの医療」と言っていても、その中での選択肢は母体のご意向に合わせた活動になると思います。例えば、ひとことで「地域医療勉強会」といっても、様々です。地域の定義が僻地にすり替わっているような勉強会もあります。そして地域医療は全人的で"思いやり"のある医療を都心と同じような高度先端医療含めてその土地で対面でやっていくというような思想・イデオロギーがあれば、地域医療継続に向けたAIや医療経済的な話題は母団体/先生の意向で扱いにくいとか、そもそもそういう意見の人は団体に少ないというようなこともあるでしょう。これ以外にも、先生ごとの思想があるかもしれません。

 地域医療勉強会と言っても、「地域医療にはまず現地の居酒屋・祭りだ」というような思想の先生による勉強会もあれば、「セッティングされた地域の中でも優しい人との接点となるカフェのようなところが地域医療」というような思想の勉強会もあれば、「米軍基地や消火剤の問題と健康も地域医療」というような思想の勉強会もあれば、黒澤明監督の「赤ひげ」先生を理想としたような価値観の勉強会もあれば、「地域データで下調べをしてから現地の診療所へ」というような思想の勉強会もあれば、「まずはどこでもBio、設備のない場所では病歴、身体診察、そして基本的な検査。アップデートしていく便利ツールは…」というような考えの先生もいれば、というように価値観や思想が様々です。「地域医療を体験しよう」(地域医療という定義に当てはまるかはさておき)という企画をするにしても先生・団体などの思想などによって行う/行える企画・手段が異なってきます。特に団体の思想的なものスポンサーの意向のようなものに合わない企画はやりにくいと思います。これも便宜上、運営でやれることの制約と呼んでいます。

 

 ひとつの勉強会団体に求める目的は「〇〇を全般的に」ではなく、「〇〇の中でも△△派の考えを学ぶ」というようにパーツ、パーツまずは少し求めてみるのはどうでしょうか。学生の時の界隈で言うと1つの団体でどっぷりと「総合診療を(全般的に)学ぼう」とするのではなく、ここでは「診断学を学ぶ」、「ホスピタリストの勉強会でBioを中心に学ぶ」、「地域医療でも〇〇先生に近い思想を学ぶ」というような感じです。広く学ぶ団体でも偏りもある可能性がありますし、すべてにおいて運営できるほどの興味が湧かないかもしれないので、頻度もぼちぼちなところでキープして、俯瞰図や新たなきっかけ程度にしておくとも言えます。

 そこから今後も必要そうなもの、学びのあるもの、ちゃんと考えられていそうなもの、自身の方向性に合いそうなものをさらに深め、それらを組合わせたほうが上手にいくかもしれません。特にオンラインでそのような環境が作りやすくなったのではないでしょうか。

 

 

4-5.運営の仕方が自分に合うか

 一緒に運営している仲間とやりたいことを相談しつつ、やりたい・やることを決めていける環境がある集団であることはとても大切であると思います。上がやっていたからという理由だけで継続しているようなところに入ったときに、「やりたいことはオプションでやって」ということで、現状維持で士気も下がったところでオプションまでやろうという人もほとんどいなくて、大変であったことも経験しました。

 上記のように各勉強会ごとの具体的な運営の仕方も様々でした。具体的に項目を挙げて考えていきます。

 

 運営の役割分担について考えてみます。本当に役割ごとで縦割りの勉強会(例:連絡係以外は連絡を返さない、個人的なアレンジや知識と関係ないファシリテーター方式、偶然良い資料を見つけても担当以外はスルー等)もありました。役職がどれほど広く/細かく決められているかも、団体の大きさや自分自身のやりたいこと/やってもいいこととマッチするかで比べてみるとよいでしょう。役職が決まっており、何をしている人なのか対外的には説明しやすい(名刺にしやすい)と思います。中には、広報の文章やパンフレット等を作るゴーストライターとは別に、広報用に華やかにSNSなどにUPする人が決まっている(そうなってしまった?)団体もありました。縦割りで遅い人がボトルネックになったり、リーダーがフォローに入ったりというような手間があるでしょう。

 一方で、本人のその時の余力に合わせマルチタスクで様々なことをこなす勉強会(例:コンテンツづくりがメインだけど、連絡対応もしたり、貸会議室の手配をしたり、機材の調節・設置もする等)もありました。様々なことを学び・経験しながら運営していく柔軟性が身につくところもありました。一方で仕事ができない(遅い人)と早い人で作業量に大きく差がつく可能性もあります。

 また、運営をローテーションしていく運営もありました。例えば、メンバーは10人いるものの、2人ずつで各回を回していくというような5回に1回は運営、4回は純粋な参加者というようなものもありました。この際には、Give and Takeを平等にという意識もあったり、実質運営人数も少なく、各個人の好きなことをやりやすかったり、いつも回っていない仕事を直前にたくさんお願いされて焦るというようなことはなかったりと記憶しています。

 上記のような運営の仕方は、団体の規模や人員の余裕によっても変わってくるでしょう。

 

 他にも、運営メンバーの構成もあります。学生だけで運営することに重きを置いている団体から、社会人がメインの団体まで様々でした。目的の達成に重きを置くのか、手段に重きを置くのかという視点や、社会人がいることのメリットなどを考えてみるとよいでしょう。学生だけの方が時間のかかる会議等はやりやすいかもしれません。学生がメインの方がやりたいと思っている行動そのものはやりやすいかもしれません。一方で、社会人の方が効率的時間の使い方資金調達などを背景に社会にインパクトのある活動に長けていたり、結果を出しやすかったりするかもしれず、様々です。

 

 コンテンツにこだわったり、パワーポイントにこだわったり、アットホームさを売りにする運営もありました。それぞれ実際に合うバランスのところを言語化して考えてみたり、探してみてください。これら(例:内容のニッチ/汎用さ、パワポのデザイン等)をどこまで運営のメンバーで足並みをそろえられる/そろえなければいけないかというのも考えてみるとよいでしょう。

 コンテンツを素敵な先生におまかせ、コンテンツを考えて先生に依頼する、学生でコンテンツも作るなど、コンテンツの在り方や準備の仕方も考えるとよいでしょう。学生だけでコンテンツを作るのは、適当な人であればある種の気楽な方法でもありましたが、せっかく公開してやるなら現場の声や実臨床からのフィードバックという意味を含めて先生等の監修を入れるかどうかも考えどころです。

 

 楽しさの方向性も様々でした。内容が好奇心を満たす楽しさ、知の叡智のような楽しさから、パーティーのような楽しさ、漫才のような楽しさまで、「楽しさ」の組み合わせや程度も団体で様々でした。どちらを優先するか、両方とも満たせばより良いなど、自分自身の求める「楽しさ」も考えてみるといいでしょう。

 楽しさに似ている側面ですが、「アットホームさ」もすごく曖昧な表現です。先述の心理的安全性のような良いものか、ぬるま湯のか、さらには内輪ネタで盛り上がっているだけで、外部の人や波長が合わない人からしたら「入りにくい」・「閉鎖的」、学びがなくて「つまらない」なのかも、気をつけましょう。過去に、学生団体で内輪ネタで盛り上がっていて学びのない会がありました。体調不良を理由にしておいて、損切りして帰ったこともあります(残った友人にきいたら、最後まで始終そんな会のようでした)。上手に「アットホームさ」という特徴についてチェックしましょう。

 

 運営の規模を考えてみます。運営規模(特に運営メンバーの数)が大きくなるほどエッジの効いた(尖った)やりたいことをやる集団は少なくなってくる傾向があると感じました。同調圧力の側面もあるかもしれません。多くの人とつながる一方で、みんなで合わせていくという部分も出てきます。その一方で、「遠くに行くなら皆で行け」という主旨の言葉もあるように仲間と一緒に動くことによる相乗的なメリットもあります。尖りたいならばそういう集団を探してみるというような視点や、機動性(フットワークの軽さ)とのちょうどよいバランス・組み合わせも考えてみてください。

 例えば、ゆったりとした頻度の医療系以外を含む大きな集団に所属して広い視点・学びを得ながら運営しつつ、尖った集団ガンガンとやっていくというような掛け持ちも良いかもしれません。

 

 運営のスピード感も考えてみます。運営の規模が大きくなるとスピード感は遅くなりがちだと思いますが、実際には次の点によると思います。ミーティングで全会一致に近い形で物事を決めていくゆっくりとした団体と、ある程度の権限は各部署にあったり、試験導入がしやかったりとスピード感もある団体がありました。また、ミーティングで全会一致に近い形で進めるところほど、エッジの効いたことは実現しにくい反面、「全員に60点」というような安定運営のところが多い印象でした。

 

 他にも運営の考え方として、完璧主義的な運営」実験的な運営」かという見方もあります。外からの参加者が増えるとある程度は完璧主義的な側面は増えると思いますが、トップの考え方などでも異なってきます。完璧主義的なところでは、同程度の企画であれば事務的なことに割かれる時間が増える傾向や、前例主義的な運営で思考停止になりがちな傾向があると思います。一方で、実験的な運営では山と谷があると思いますが、良くも悪くも予想外の結果なども楽しめる人には、新たな良い部分を見つけられて良いと思います。実験的にやってみると、軸となる価値を考えて守りつつ、そうではない部分で遊び心を発揮できたり、案外打ち上げ花火的な企画でも上手に行きました。恐れずにやってみるとクセになるかもしれません。団体の母体、企画ごとの協賛の有無や先生による条件にもよるでしょう。

 また、関連している視点として、トップが管理したがる運営か、部署や個人のやりたいようにお任せする運営か、というのも好みがどちらか考えておくとよいでしょう。具体的に「〇〇をしておいて。詳しく言うと、進行は…、資料のフォーマットは……」と言われる方が好きな人は前者、「〇〇、よろしく!詳しくはあなたに任せた。やりたいように。相談等にはのるから」というのが好きな人は後者が向いていると思います。さらに、管理したがる運営の場合は、後になって細かいところで指示されて直すことが苦手か、事前に詳しく指定される程度なら大丈夫かも考えた方がいいでしょう。

 

 これらの項目は、自分自身が運営にも関わってみようかなと思った団体の「色」や、その時の団体のリーダーを中心とする考え方にもよって変わります。運営に入ろうか悩んだときに具体的に運営について聞いてみるとか、ひとまず入って実際にやってみて合わなければ次で辞めるというので良いと思います。一度正式に運営に入った場合に辞めにくいところであれば、運営をやってみる際に「お試しで1回運営に入ってみる」というのを条件に入ってみるのも良いと思います。勉強会でも大切な人間関係の居心地も一緒にチェックしてみてください。

 

 また、広義に学ぶためのはずが、運営の雑務のような本質的ではない部分に手間を取られすぎて、運営貧乏のような状況もありました。時間は有限なので、有料セミナーのようなものに手間賃も含めてお金を払った方がいい場合もあるでしょう。それこそ、有限な時間をムダにしないためにも、自前で勉強会や学生部会をやるちゃんとした意味を見つけるべきだと思います。遊ぶだけなら学内など、運営という仕事抜きに良い関係を作った方が良い場合もあると思います。

 さらには、いずれの運営の仕方をしている団体でも、準備の手間をどう減らしていくか?という問題がありました。どのような優先順位をつけるかで変わってきます。例えば、解説付きの楽に使える本を探すとか、症例のパワーポイントの準備をする手間を省くというようなことも、根本的に運営の人の学びの時間を増やす(作業時間を減らす)という視点で有効でしょう。症例探しや準備の時短のためのGoogleドキュメント等の活用について詳しくは下記の記事をご覧ください。

 他にも、お互いの時間をムダに取らないようにミーティングを区切る(会議部分と情動的な会話の時間を分けてメリハリをつけ、退出したい人は退出できるようにする等)、ミーティングを減らす、ミーティング参加者を絞る(ただ座っているだけの人をなくす)ことや書類を増やさないことを、取りまとめる側として運営の手間を減らすために意識していました。ミーティングや書類をやっているだけでも時間がかかり、仕事をしている雰囲気になってしまう人もいるからです。普段から細かなミーティングをしなくてよいような人間関係をミーテングや準備の外で作っておく/人間関係がすでにあると、運営では遠回りのようで近道というような濃い関係もありました。

 

 また、運営(特に運営内でのやり方の相違や事務的な部分)で切羽詰まった時には、運営することによりそのテーマそのものを学ぶことが嫌いにならないよういったん距離をとることも選択肢として残しておくとよいでしょう。

 

 

4-6.運営とのかかわり方

 別視点として、運営メンバーに入るか、入らないかの二択だけではないということも紹介します。運営に入るだけでなく、〇〇の時に呼んでもらう/コラボするというようなスタンスもあります。例えば、公衆衛生に興味はあるので公衆衛生がテーマの際にはコンテンツに携わるけど、救急のテーマの時には携わらないというようなイメージです。テーマごとに別団体の立ち上げするか悩みますが、学内など環境が限定されている場合には有効だと思います。

 他にも、団体に所属する運営者ではなく、教える側やコンテンツ提供者としていろいろな団体をまわるということもひとつの選択肢になります。この際は、いわゆる運営ではなく、コンテンツ力、発信力パワポといったコンテンツ教える力に注力して自己研鑽することになると思います。

 さらには普通の勉強会の枠を超えて、動画や撮影が好きで、動画編集(Adobe Premiere Pro)や写真編集(Photoshop)やパンフレット作製に長けていて、そこだけお手伝いするというようなスタンスもあります。勉強会運営側としては運営に入ってくれることで確約できるという安心感がメリットだと思いますが、運営に入ることによる本人のメリットは所属感ぐらいでしょうか。一方、運営に入ることで、運営に入った理由を何も知らない他の運営メンバーから「私たちは〇〇しているのに、動画係は何もやってくれない」とか陰口(妬み?)が生じるようなリスクもある団体もあるでしょう。医学部のコミュニティは狭いことが多いので、早く仕事を終えても「動画係の〇〇は暇そうにしていた」と誤解されているかもしれません。そういう意味でも、どの距離感で手伝うかというのも考えるとよいと思います。

 

 勉強会を通じて、その分野の学び方・調べ方や有用な情報ソースを知ったりすることもできることがメリットだと思います。しかし、勉強会団体の運営でしか学べないことでもありません。ある団体の運営よりも、尊敬する先生のメンティーになるように、先生のお手伝いをさせてもらいながら学ぶ方法もあると思います。また、勉強会団体から様々な先生にやってほしいことを依頼する団体と、ある先生がいらっしゃることによってできた団体でも異なると思います。その方が身に着けた能力等に合わせて、順々にステップを上げていきやすいかもしれません。

 

 他にも、勉強会の運営も医学部の学内の部活等の人間関係の延長としてやるというスタンスと、課外活動としてやりたいことを意気投合できる人とやるというスタンス、さらには自分の感情を抑えてやるスタンスと自分の感情に素直にやるスタンスをはじめ、本人のスタンスの違い・グラデーションもあるでしょう。自分の感情を素直に表現できるメンバーとの方が新しいことに挑戦したり、ワクワクと運営しやすい気がします。

 

 

4-7.そもそも医療系勉強会で良いか!?

 医療系のテーマ以前に、医療系以外セミナーや勉強会/講演会の方が気づきや学びがあって良かったなんてことも多々ありました。医療系以外のセミナーに行き、普段いかに狭い世界(常識が似ている人たちの世界)にいるのかと気づかされて、医療系以外で運営して広いつながりや広い知識(視点)を得るという方向性もあると思います。医療系勉強会の中では医療以外のすごいテーマだと思っていても、その分野に関しては医療系勉強会に縛られなければ、もっとしっかりした勉強ができる環境や分かりやすいものがたくさんあります。GoogleYouTube検索すれば、やり方を解説してくれるものまであります。

 個人的には、医療系以外の人とお会いすることでの刺激は、格別でした。医学生・医療系の人以外の参加者の多い環境での話は、価値観を作っている背景知識も異なり、とても学びがあります。グロービスMBAもそういう楽しさがあるのかと想像しています。そういう意味でも医療系団体と医療系以外の団体というように、複数に入ることも視野に入れつつ、掛け持ちしやすい程度にするのもよいと思います。他にも、inochiのようなアクションしてみる学生団体、さらにはインターンなどと様々な選択肢があります。

 また、試験や就職に役立つというような目にみえる利益だけでない楽しみも見つけてみてみると楽しいかもしれません。

 

 インターンも狭き門の大手から医療系のベンチャー採用試験の代わりとなるようなもの、お客様待遇やただ読み物のようなビジネス書を読んでいるだけのようなもの、地方の宣伝も兼ねた県庁の見学体験ツアーのようなもの、お給料の有無まで、様々な視点での切り口を含めて、千差万別です。インターンとは名ばかりに、ハードルが低いお客様待遇・見学ツアーのものもあります。そういうものであれば、インターンという名前に怖気づかずに気軽に実質的な意味での「見学」に行ってみるのも良いでしょう。

 少し運営から話が逸れてしまいました。「見学」のような名ばかりインターンは見学の延長(それでも学べるものはあります)ですが、インターンでもしっかりしたもの運営と同じようなことが学べることがありますということをお伝えさせていただきます。

 

 上記のような実利的な学びのある団体・活動等も数多くありますが、一部、ゆるふわの自己啓発自分探しのようなセミナーもありました。科学的でない自己啓発はむしろ不幸にする面もあるような報告もあったり、実利的な解決とも言い難い部分もあったります(それだけ余裕がある生活なのかもしれませんが…)。少し前に流行っていた多くの異業種交流会のような中身のない繋がりメインの団体となりうる可能性が高くなる面があります。自分を高める・知るというようにテーマがふわっとしていたり、ぼんやりとしている場合には、自己判断願います。そして医療系の勉強会なのか、医療系学生に限定する意味がどの程度あるのかという疑問が残ります。テーマにもよりますが、本当に多様な考えが欲しいのであれば、参加者を医学部・医療者等に絞らないほうがよいことが多いはずです。「知らないことを受け入れられない」という「ぬるま湯」を心理的安全性と履き違えないように気をつけましょう(4-3)。

 これは見学や活動等で「〇〇が楽しかった」という程度の感想や価値観を求められる活動か、考察を前提とした感想を求められるかのような質の違いもあるでしょう。

 

 医療系団体をやってみて、医療系の部分以外の何か企画やモノなどを組み立てる部分好きだと思えば、医療系の勉強会以外にも出ていくこともよいと思います。インターンNPOなど他のことで医療系とは異なる世界をみることもできますし、ゼミ、勉強会やセミナーなどにこだわらなくてもよいかもしれません。また、医療系でも医療系以外でも運営で生じること・両者の差異なども団体次第では感じるでしょう。

 医学生のよく出席する勉強会は無料が多く当たり前に感じているかもしれませんが、無料の多いプライマリケア系の勉強会の異様さにも気がつくかもしれません。専門家のダンピングと考えるか、モチベーション的にも参加費を取った方がいいか、業界の宣伝のためととるか、スポンサーもなしの善意と取るかなど、いろいろあるでしょう。

 他にも、1、2年生の時に教養科目に触れる・触れることができる機会が多いわけでもない医学部(他学部でも大学次第ですが、…)においては、Courseaのようなものもよいかもしれません。今回は医療系勉強会の運営というテーマなのでこれぐらいにしておきますが、医療系の運営の中だけで悩んでいるのはもったいないということだけでも伝わればと思います。

 

 

4-8.「辞めやすい」・「変えやすい」か!?

 団体の運営形式やメンバーの数・縦割りの具合によっては一見すると辞められない/変えられないように感じることもあるでしょう。そのときの選択肢としては、前代のやってきたことをそのまま引き継ぐ必要はなく、運営メンバーのその代のやりたいことをやるようにする、それでも合わない場合は辞める団体そのものを閉じる)というような選択肢もあります。

 「伝統が、伝統が」というような思考が停止しているような団体の場合は、運営メンバーの代で大きくやることを変えるのは大変だと思います。やりたいことが合致せず、わざわざ変えるのであれば、新規団体の方が良い可能性も高くなります。オンラインで設立も容易になりつつある中、すでに入っている場合は辞めることを考えるのもいいと思います。

 自由に何でもやっているような好奇心旺盛の団体であれば、臨床推論をやったかと思えば、MKSAPをやるというようなフリーなところもありました。学ぶという視点で似ているのであれば、運営メンバーが変わる毎に、仲間と一緒に自分たちのやりたいことをやるように変えると良い可能性が高いと思います。他にも、新たなコンテンツや手段実験しながら良くしていく場所にもなりやすいです。

 今年のテーマは〇〇というような形でやっている団体もあります。そのテーマに興味があれば、掘り下げてみるよいきっかけになるでしょう。一方で、そのテーマが実は掘り下げていったら、興味のある細かい分野/アプローチではなかったというようなこともあったりします。運営スタンスとも言えますが、こればかりは、テーマを決めた場合に余程のことがない限り年の途中で団体のテーマを変えることはできないでしょう。また、テーマ〔例:今年はAED→医療的な有効性・社会的な側面など広範)を他の人が決めたテーマに従い、それなりの期間、その広いテーマひとつを扱うような団体の場合、主体的な興味の範囲を超えて歯車のように運営をこなす人になってしまうリスクが高くなりがちです。「運営したい」のか「運営を通じて、学び・成長したいのか」をはっきりさせておくとよいでしょう。

 そのテーマに合わせて、コンペや社会への発信なども、社会へのアウトカム優先で本気でやっているところもあります。そのような団体では運営からドロップアウトしていく医学生・医療系学生を見てきました。ドロップアウトする人がいても仕方がないことを前提に走っているので、興味があればトライしてみるのも楽しい経験となるでしょう。別に失敗したって、辞めたって気にする必要はありません。プライドに邪魔されないようにして、素直にできないところも早めに相談すれば焦げ付くことも基本的なく、学びになります。何とか団体を存続させているようなところと違って、ガンガンやって成果も出して人気のあるオープンな団体では、周囲を見ていると、「辞めます」と言えばイザコザなく辞められる素敵な環境と感じるところもありました。辞めれることで、お互いのためにもなると思います。そして、いろいろなことに挑戦やすくやりたいことを見つける機会が増える良い循環にもなると思います。とりわけ、ここ数年でオンラインの企画が増えて、地域に縛られることなく自分自身に合う団体を見つけることができます。

※プラスαの無給の活動で全体の足を引っ張らないためにも、できないと気がついた時にはプライドは捨てて早めにできないと伝えるべきかもしれません。

 

 

 

5.運営に誘われたら?

 さて、ここまでくると自分自身の中に勉強会運営との向き合い方のようなものがある程度できていると思います。そして、いろいろなことを学んでいると思います。

 そうすると、他のところから良くも悪くも欲しい人材であればあるほど、「A団体の運営に入らない!?」とか、「今度のBセミナーの運営に入らない?」とか、「C勉強会を一緒にやらない!?」というような声がかかると思います。

 ここで身につけておいた方が良いと思うのは、2つだと思います。誘う側のメリットと、誘われた団体や企画の条件等チェックしてから返事をすることです。具体的には次のようなことをチェックするとよいと思います。

  • 誘う側のメリット
  • 内容
  • メンバー(先生や後援団体含む)

 誘う側のメリットは何でしょうか。メリットがなければ、誘わないと思います。メンバーが不足していて継続のためでしょうか、能力がある人(さらなる企画発展)だからでしょうか。いずれにしても加わってくれることで、その団体内での誘った人の「自尊心」のようなものが満たされるからかもしれませんし、存続のためにノルマのようなものがあったり、友達との仲良しクラブにしたいとか、派閥(雰囲気)的に自分に似た人を入れたい、1人当たりの仕事量を減らしたいなど、理由があるとも思います。

 先生から誘われた場合は、様々な派閥等も残念ながらある中での"先生の立ち位置として学生をこの学会に勧誘した"というようなメリットかもしれませんし、この人は運営に使いやすいと感じたのかもしれません。もちろん、善意のみの場合もないとは言えないですが、大人の事情なり、あなたを誘った(選んだ)理由があるはずですので、そこでの学び今後の退路も考えて決めるとよいと思います。

 団体全体としては、採用倍率が高く誰でも入れるわけではないような選ばれし人の団体というようなブランディングをしていても、その人気は高校生や医療系以外からであり、医療をテーマにした学生団体で、企画の際に知識も含めて必要な医療系学生の高学年が少なくて、そこは別枠で勧誘しているというような現状がある場合もあります。医療系の高学年がやりにくいような環境(例:実習等で忙しい高学年には厳しいスケジュール、内容に関して全体像のどこで役立っているか分かりにくく歯車のような仕事が多い)で本来大切な高学年が不足して誘っているというような現状がある場合があります。特に直接誘われる場合、誘う側にメリットがある場合が基本だと思います。病院のPHSにかかってくる節税という名のワンルームマンション投資(サブリース契約)と似ているでしょう。そこで相手のメリットも意識してみると現状把握にも役立つと思います。

 これこそ、運営メンバーや人が集まらない勉強会にしても、人や演題が集まらない学会研究会にしても、差別化できているのか、そもそも数が多すぎるのではないか、それぞれの居場所が欲しいのか等、疑問に感じることもあります。人材等の争奪戦となっていたり、一度入ると辞めにくい原因かもしれませんね。

 

 内容とは、団体が〇〇をする団体と決まっているのか、決まっていないのかが第一です。〇〇をすると決まっていてもメンバーや方向性(難易度)は確認したほうが良いでしょう。〇〇先生がいつも運営して(教えて)くださるような勉強会であれば、難易度は同じで継承、学生の希望で先生も代わる代わるでお願いしてやってもらっているようなところであれば学生のメンバー次第の可能性が高くなります。決まっていない場合、すなわち「これから決める」と言われた場合は、ビジョンなり、メンバーをチェックしたほうが良いと思います。そして、自分自身がゼロから自分自身の好きなものを作ったり、目的を達成できるわけでもない場合は、回答保留も良いと思います。

 

 メンバーというのは、ある意味でどの程度のクオリティ難易度を目標としていく指標となります。まだメンバー全員が決まっていなくても、よほどメンバー規模の大きなものでもない限り、コアなメンバーが決まればだいたい把握はできるでしょう。メンバーによっては、「この人は目立つだけで仕事に関してはトラブルメーカーだ…」など、様々なことも分かるでしょう。これはフラグが立っているというような場合もあるかもしれません。

 例えば、いつも悲劇・喜劇のヒロインみたいな人もいました。大きな団体のSNS投稿担当(ゴーストライター付き)ぐらいの時はそれしかできなくても実務的に大きな問題にまではならないのですが、見栄や承認欲求からなのか、自分からコアメンバーになりたがることが多く、何度も同じような実務的な面で事故を起こしていることもありました。しかも、最後は周りの人が苦労しまくって、本番はその人がヒロインになります。外部の人には分からなくてSNS上では喜劇。しかし、一度内部になると得られるものも少なくて清算したい悲劇ような場合もありました。勉強会運営のような人間関係でも、かける時間・労力が増えてくると自身の生活に大きな影響がありますので、整理することをおススメします。

 逆に、コアメンバーや身近なメンバーが仕事の早い/できる人、そつなくこなし多方面で充実している人であれば、この人の手段・やり方なり、質が高さの秘訣、仕事の早さを学ぶ機会になるかもしれません。SNSでは控えめな人が多かった印象です。

 

 内容というのか、メンバーというのか分かりませんが、宗教的・思想的なものも隠れていることもあります。"平和"とか"自治"とか"思いやり"というような理想のようなキーワードのみで居場所を提供するような団体の場合は、新興宗教とまで言わなくても、スピリチュアルなものや現代版新興宗教のようなサロンもあるので特に注意が必要だともいます。なぜ、その集団に入ろうと思ったのかを再認識してください。「ぼっち」を紛らわせるためという目的で入ろうと感じてしまうような人は、そういう団体に誘われたときには要注意だと思います。

 

 勉強会やセミナーの運営の話を持ち掛けられた時にも、次のように上手にふるまいましょう。身近な例を挙げてみます。

 

<具体例: 失敗例>

A: 「今度の日曜日、空いてる?」

B: 「空いてるけど」

A: 「ちょうどよかった、数量限定の〇〇を買いに行きたくて一緒に買いに行こっ」

B: 「えー、何それ。〇〇って知らないよ」

A: 「空いてるって言ったよね。〇〇はすーっごく良くて、…(以下略)」

 こんなパターンありませんか!? ちょっと図々しい人勧誘に必死な人もAさんのパターンであったりします。条件(内容)後出しです。AさんとBさんだけでないかもしれません。Bさんも「空いている」といったのが命取りみたいです(このようなAさんとは距離を取ることをお勧めしますが…)。特に図々しい人や勧誘に必死な人に運営に誘われたときには、「運営する余力がある」・「予定が空いている」と真っ先に言わないようにすることがポイントでしょう。そうすれば、お互いムダな労力や気疲れをせずに断ることがしやすくなります。

 

<相手の出方を伺う例①>

A: 「今度の日曜日、空いてる?」

B: 「どうしたの?」

A: 「数量限定の〇〇を一緒に2人で買いに行きたくて!」

 こうなれば、Bさんはもっと条件を聞いてもいいですし、交換条件を投げてもいいですし、予定があるということで断ってもいいわけです。先輩-後輩関係等の断りにくい中でも、「予定がある」ということで断ることもできます。

  もちろん、断ることが難しいこともありますが、そもそも部活(??)でもなく仕事(?)でもなく、断ることに理由が必要なのか、というような姿勢でありたいと感じることがあります。その前提辺りは今回はテーマとも遠いのでこの程度にしておきます。

 

<相手の出方を伺う例②>

A: 「今度の日曜日、空いてる?」

B: 「どうしたの?」

A: 「何となく、予定ないから何かしようと思って」

B: 「2人?」

A: 「Cさん、Dさんにも声をかけていて」

 このようなパターンでは、内容未定、メンバーもCさん、Dさんにも声をかけています。気の利く人であれば、Aさん、Cさん、Dさんが仲の良い場合が基本でしょう。Aさんが気が利く人かどうかからも判断すると地雷を避けられる可能性も高いでしょう。何も決まっていないのが、休日の遊びの話なら全然いいのですが、第一の目的仲良しクラブではない勉強会やセミナーであれば、「ふわふわしている人とは距離を取る」というのも手段でしょう。Aさんが中心であれば、ミーティングの延長なかなか決まらない決断できない)、進まないということもありそうだと予想できます。

 Bさんとしては、Aさん達と仲良しで何でも行こうかなであればOKするでしょうし、内容次第であれば、「決まったら教えて」(条件・内容を聞く)となるでしょうし、Cさん・Dさんと仲が良くなくて(運営で言うと仕事に問題があり)であれば適当な理由で断るというような選択肢があるでしょう。

 もちろん、フリーランスや一部業界で仕事を受ける時のように、あえて不利なことは聞かれなければ言わず、嘘はついていないという程度で、むやむやにしているというような場合もあるでしょう。医学生の身近なところで言うと、部活紹介や病院説明会のように、どこでもあることだとは思いますが…。

 

 条件・内容やメンバーを聞いてから、運営に携わるかどうかを決めるようになると、「都合よく」運営に入ってほしい人勉強会の体裁をした中身のない仲良しクラブからは、誘われにくくなる/ある程度の距離を保たれることになるかもしれません(仲良しクラブしたいという意識なら遊べばOKです)。しかし、時間有限ですし、自分の勉強も含めた時間を確保しつつ勉強会の運営に忙殺されない、ちょうどよいところに落ち着くと考えています。例えば、1人でUSMLEの勉強や資格勉強を進める時間というわけでもありませんが、1人で地味にコツコツと進めていくの時間をちゃんと確保できるのも良いものです。もちろん、学生のうちに遊んでおくという時間も大切でしょう。運営は華やかな表舞台だけではないですが、その表舞台に惑わされずに、必要に合わせて時間や労力分配するとよいと思います。

 そして、イベントごとを終えた後など、節目で振り返った際にやってよかったと感じられるものを選ぶ残していくと良いと思います。やっている途中では、苦痛であったり、やる価値感じなかったものがやることも多いと思います。振り返りもお忘れなく。そこで今後の方針も考えてみてください。

 また、誘われてしょうがなく運営するのではなく、自分から進んでやる決断したからこそ大変なこと楽しんだり大変なことから学べたり成長できたり良い人間関係ができたりするのかもしれないと感じたことがあります。誘われて、そこから納得できないなら、断って自分を優先したほうが多いと思います。

 

 

6.学生という肩書き社会人

 社会人と活動すると学生団体とは異なる視点があると前述しました。それだけではなく、働いてみる(働いたことがある)と、学生社会人による意識・視点の違いも感じます。

 社会出てみる(お金を稼いでみる/働いてみる)と、学生という強い肩書き(肩書きによる高い期待値を失うと、また違った視点や構え方にもなる人が多いと思います。教育現場的な見方とは異なるものも多数あります。学生のときの期待値や教育による現実離れしたもの(絵に描いた餅)にも気がつくかもしれません。

 「現実を見ろ」という言葉をよく耳にするかもしれません。もしかすると、机上の空論や一部の教育では、耳障りの良い言葉だけ聞いていても良いかもしれません。冷笑して諦めろという意味で使う人もいますが、「浮ついていないで現実をしっかり見て突破口を見つけろ」という意味だと考えています。過去に同じような挑戦をした人は多数いるはずです。どうして成功・目標達成していないのでしょうか。学生でなくなると、とりわけそのような視点も必要になってくるでしょう。例えば、学生のうちはふわっとしていても期待ゆえにお金・注目が集まっても、社会人となってからはそうではないこともあります。学生によるボランティアや啓蒙活動、社会活動等で当てはまることも多いのではないでしょうか。

 学生のうちの若さゆえパワーも素晴らしいですが、「絶対これだ!」ということもありませんし、安易に「一生これだ!」と公言すると方向転換しにくくなるかもしれません。目標固定しすぎないで構えていきましょう。個人的には、これこそ、医学部地域枠と同じで入試(18歳前後)の時に将来の不確定さを分からないのか、というのと似たようなものを感じるのです(入試・奨学金等のメリットがあるところが多くありますが、メリット・デメリットの天秤で契約でしょう。すでに地域枠で学内で地元に残る診療科指定の「いい子」として振舞うしかない人もいるかもしれません…)

 強すぎる正義感、変なプライド弱者の代弁への偏り・夢の語りすぎ、現実離れなどとセットになると悪い大人利用されてしまうリスクが上がってしまうかもしれません。例えば、一部の環境活動家や貧困ビジネスのように…。

 学生のうちこそ、学生でないとできないようなことにいろいろと挑戦してみて欲しいものです。「失敗」してこそ納得するもの、次に活かせるものもあります。若いうちにこそでしょうか。そこで、これは学生・若手だから評価されているだけなのかということも時々振り返ってもらえればと思います。また早く「失敗」して、20代の若いうちに、学生のうちに長い間やるのに向いていないことと向いていることを見つけてください。そして長い間やっていけそうなを見つけて、修正しながら地道なステップを含めてやっていけそうなことを発見する期間にもなればと、個人的には考えています。

 そして、学生でなくなることに対してショックを受ける必要はないと思います。本当に叶えたい目標であれば、長い時間かけて修正しながら達成していくこととなるでしょう。SNS・学生演者(代弁者)などで短期間のうちに無理に成果のようなものを作る必要もないでしょう。

 

 

 

7.最後に

やりたいこと

やりたい人やればいい!!

 

 自分の心地よいところをグラデーションとして具体的に言語化したり、考えたりしても最終的にはプラスαの活動です。自分やりたいこと(好きな・楽しいこと・興味を持つこと、学びたいこと)やりたいように、やりたい人たちと一緒にやって、それに参加者がいればよかったねーという程度で考えていくのもひとつです。運営に入るのではなく、自ら作る選択肢もお忘れなく!

 後になれば、やりたい後輩がやりたいようにやってくれます。継続しなくたっていいし、意味もなく先輩のやり方でやる必要性もないと思います。自分たちで運営するときに忘れないでほしいことは、やる意味考えることを忘れないということぐらいでしょうか。勉強会もあくまで過ごす大切な時間手段のひとつです。勉強会ではなく友人と遊んだり、お金を稼いだり、色々とあるでしょう。


 やりたいことだからこそ、苦労を乗り越えてでも猛烈にやり切ったときの達成感のようなものを味わうことのできる団体もありました。そういうような団体も地区に縛られず全国規模で探してやっと見つかりました。ハズレの異業種交流会のようなただただつながろうというものと異なり、一緒にやりたいこと(目標)に向かって共に歩んだ仲間との絆や、行けるところまでガンガンやっていくような企画で達成感を多く感じました。辛かったこともありましたが、好き・やりたいことだからこそ乗り越えつつ、全体としてみれば進めているときはとても充実した時間で(楽しく・嬉しく)、運営企画が終わったときの達成感やら解放感やら、寂しさのようなものがありました。

 一方で、ゆるゆるとやりたいテーマ/伸びしろにしたいテーマの勉強会についても、マイペースまたはペースキーパーのようにやれる団体をオンラインで全国から探すことができるようになりました。もちろん、勉強会だけでなく書籍や一般的なセミナー参加など、他の選択肢も含めてです。

 

 運営にトライしてみたり、大きな規模になったり、新たな分野をやってみたりと、先に進めたことで新たに見える物事もあります。やってみたことですぐに「これは違うな」と感じたものもあれば、ある時期に熱中したからこそ「これは将来的には…。やっぱり違うな」、嫌になるほどやったからこそ「仕事にはしたくないな」と辞めることを決意できたもの、「趣味などの好きなものは仕事だと嫌いになりやすく(仕事になりにくく)、好きになれるものを仕事の中で探していく」など、様々です。ゴール再設定しながら、どんどん歩んでいってほしいと思います。いろいろなことに触れてやり続けたいことを見つけるためにも、とりあえず興味を持ったらやってみて、またそこで感じたことをヒントにして次に行けばよいと思います。

 

 いろいろな勉強会運営の問題に悩むより、あなたやりたい(好きな)ことがちょうどよくやれところで、あなた自身がやりたいことを楽しんでください! きっかけは〇〇を学ぶというような損得勘定であったとしても、最終的には損得勘定を超えてなんだかやっていると楽しい・充実しているというような、教えたりする「生産者」としての楽しみを知ることができる運営となりますように。私にとってそういうときは、運営しているという感覚とは異なり、何かを作り上げていると感じています。

 

 1人でも楽しめる人が増えれば、幸いです。

 

 そしてそれが、「医学部生活で勉強に関する やって良かったと思うこと」でも挙げた出会いにもつながります。その出会いからつながる、悩みを共有・相談でき、一緒に支えあい、傷を舐め合うだけでなく前進してきた友人・人間関係かけがえのないものとなると思います。

mk-med.hatenablog.com

 

 

P.S.【1周年】質問をもとにした記事

 このブログをはじめたきっかけでもある有難い質問をもとにした主な記事は、カテゴリー体験記(体験・訪問記) または その他(その他・勉強法) に多くあります。

 あのときに言語化・記録にしておかなければ、忘れていたこともたくさんあると思います。今回の記事も2021年(去年)だけでも1月、4月、5月、…と様々な人から何度か相談を受けた際のパワポや文章などをもとに公開内容を調節し、つなぎ合わせた内容となっています。いつも質問してくださり、ありがとうございます

 これを機会に質問をもとにした主な記事を紹介させていただきます。

 

<質問をもとにした主な記事>

  1. ①勉強に関するやって良かったこと ~大学生活 医学部卒業までを振り返って~

  2. ②勉強に関するやらない方が良かったこと ~大学生活 医学部卒業までを振り返って~

  3. 臨床推論 症例探し・下調べ ~自学自習や勉強会の開催に向けて~

  4. 初期研修病院選び(マッチング 振り返り)

  5. 時短×自分らしいPowerPoint①【スライドマスター作成前に】

 

 今後とも、当ブログをよろしくお願いいたします。本日もお読みくださり、ありがとうございました。

 すべてに返信できるわけではありませんが、これをもとにご質問(DM)をくだされば、また記事にない内容をご質問くださっても可能な範囲で対応いたしますので、よろしくお願いいたします。