書籍紹介(読書ログ)
『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』
岡田尊司(著)
愛着障害について皆さんご存じでしょうか?
恥ずかしいながらも、最近になってはじめて発達障害やパーソナリティ障害の問題についての切り口の一つに「愛着障害」があることを知りました。しかも一部の子どもの問題だけではなく、一般的な大人にも広くみられる問題のようです。
【こんな人におススメ】
- 子育てのヒントにしたい
- 対人関係、仕事、愛情面でのヒントにしたい
- アルコール依存、ギャンブルなどの依存症、境界性パーソナリティ障害、うつなどの精神的なトラブル解決に興味がある
- 虐待やネグレクトの要因やリスクファクターについて興味がある
- 発達の問題の背景に興味がある
前者2つはもちろん、後者3つに関しても少しでも改善したいといろいろなところで携わっている人のヒントにもなると思います。
少し書籍の紹介をします。
そもそも愛着とは、人と人との絆を結ぶ能力であり、人格の土台の部分を形造っている。人それぞれの特有の愛着スタイルがあり、どの愛着スタイルを持つかによって対人関係や愛情生活だけでなく、仕事の仕方や人生に対する姿勢まで大きく左右される。
(出典)愛着障害 子ども時代を引きずる人々
具体的には愛着スタイルは以下の4つがあります。
<4つの愛着スタイル>
- 安定型
- 回避型
- 不安定型
- 恐れ・回避型
選ばれた特別な存在(親等の愛着対象)との特別な結びつき(安定した関係)が重要であり、しっかりと満たされると安定型になりやすいとされるようです。(ただし、過保護とも異なります。)
多くの人がかかわったり安定しない関係にて、代償的に安定型以外の愛着スタイルとなりやすいようです。6カ月から2歳までがとりわけ影響を受けやすいようです。
また、著者の先生の体験としてパーソナリティ障害や発達の問題はじめ様々な問題の根底に愛着の問題があると感じられているようです。
もちろん、すべてをこれにあてはめることはできなくても、一つの視点として興味深いと思いました。「子どもが一歳になったら保育園に預けるのか?」など、子育てを考える際のヒントになりそうです。もちろん実現していくためのハードルとして、社会的な側面もあります。「ある側面からの理想だけで、仕事をやめることができるのか?」というような社会的な問題も含めて考えていく必要があると思います。
さらに書籍の中では、愛着の問題を抱えた人がどのように改善されていくかという過程を含めた改善法、基本的な愛着スタイルを知ることによる対処法、具体的な有名な人の例をはじめとした興味深いお話が紹介されています。気になる方は手に取って読んでみてください。
また、岡田尊司先生の『パーソナリティ障害 いかに接し、どう克服するか』をはじめとする様々な書籍などもありますので、興味のある方はぜひ手に取ってもみてください。
本日もお読みくださりありがとうございました。
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今までの読んだ本の紹介コーナー(書籍紹介)では、普通の医学書ではないけれども、医学に関連するような書籍を紹介してきました。
前回から、医学に関連する程度の内容のものや医学の読み物的なももの、医学と関係のないものを「読書ログ」として分類することにしました。そして、印象に残ったものは医学書も「医学書ログ」として書き残すことにします。
今後ともよろしくお願いいたします。
今回取り上げた書籍です。アマゾンの読者レビューをはじめ、気になる方はチェックしてみてください。