医学生からはじめる アウトプット日記

医学生のうちにはじめてみたいということで始めてみたブログです。体験のシェアや、日常の医学に関連する疑問の「なぜ」・「なに」を大切にアウトプットする場としても使いたいと思います。少しでもお役に立てば幸いですが、自己責任でお願いします。また、内容に関しては自身の所属等とは一切関係ありません。

認知症の特徴・鑑別 + Treatable DEMENTIA

認知症の原因・特徴と鑑別

 

1.認知症の定義

2.治療可能な認知症 ~Treatable DEMENTIA

3.認知症の鑑別と特徴

 

 「物覚えが悪くなった」といえば、いわゆる認知症(最も多いアルツハイマー認知症)でしょうか?認知症にも様々な種類があったり、他の治療可能な疾患によって「いわゆる認知症」のような症状が生じることがあります。アルツハイマー認知症レビー小体型認知症をはじめとするいわゆる認知症以外にも治療可能な認知症があります。

 今回は、意外と外来でパッと自分で想起できないという恥ずかしい経験から、簡単な内容ですが改めてまとめてみることにしました。



1.認知症の定義

 「認知症とは?」と聞かれると、個人的にはしっかりと答えることができないのが定義です。ハリソン内科学で調べてみました。

 

 認知症は日常生活機能を障害する後天的な認知機能の低下として定義される。

 時間や場所など明確な出来事を想起する能力であるエピソード記憶が通常失われ、70歳以上の人の10%、85歳以上の人の20~40%が臨床的に明らかな記憶障害を有する。記憶のほかに、認知症は言語、視空間、習慣や行動、計算、判断および問題解決能力などの知的機能も障害される。多くの認知症で神経精神医学的かつ社会適応能力の障害も出現し、抑うつ、無感情、不安、幻覚、妄想、興奮、不眠、睡眠障害、衝動、脱抑制をきたす。

(出典)ハリソン内科学 第5版

 

 定義は、あくまで「日常生活機能を障害する後天的な認知機能低下」であり、通常記憶が障害されるということなんですね。ハリソンの書き方は、やはりしっかり読むものとして記述がしっかりしていると感じます。



2.治療可能な認知症 ~Treatable DEMENTIA~

 認知症を疑った際に、中には治療可能な疾患が原因で認知症となっていることがあります。まずは安易に認知症とは決め切らずに、治療可能な認知症を除外してみることが大切です。認知症の英語dementiaの頭文字をネモニクスとして覚えました。

 

表1.治療可能な認知症 treatable DEMENTIA

Depression & Drugs

うつ病、薬剤

Endocrine

副腎不全、甲状腺機能低下症、副甲状腺機能亢進症・低下

Metabolism

ビタミンB1・B12・葉酸ニコチン酸欠乏、低血糖、肝性脳症

Electrolyte

電解質異常:特にNa, Ca異常

Neurosyphilis

神経梅毒

Transient epileptic amnesia

一過性てんかん性健忘

Intracranial lesion

水頭症、慢性硬膜下血腫、脳腫瘍

Alcohol

アルコール中毒

(出典)Hospitalist VOL.7 NO.1 2019.3

 

 ハリソン内科学には、プリオン病、ハンチントン病、サルコイドーシス、血管炎やWison病などのまれな認知症の原因も多数列挙されていました。ネモニクス程度では物足りない方はぜひ、ハリソン内科学をお読みください。



3.認知症ごとの特徴と鑑別

 国試ではアルツハイマー認知症レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症(Pick病含む)、血管性認知症の大きく4つを習うと思います。ここでは外来に認知症疑いの人が来たと仮定して、その場でどのような症状や所見があればどの認知症らしいかというところを中心に患者像をつかんで鑑別する目的で簡単なレベルでまとめてみたいと思います。

 

表.主な認知症の比較

 

アルツハイマー

レビー小体型

前頭側頭型

血管認知症

主な障害部位

頭頂葉

・側頭葉

後頭葉

前頭葉

・側頭葉

・様々な部位

前頭葉の障害が多い)

特徴的な症状

・記憶障害

見当識障害

・物盗られ障害

・幻視

・妄想

・パーキンソニズム

抗精神病薬に過敏性あり

・REM睡眠行動異常

・人格変化(脱抑制、感情鈍麻、自発性の低下など)

・自発後の減少

・行動異常(情動行動)

・滞続言語

・感情障害

・情動失禁

・まだら認知症

人格変化

晩期に崩壊

晩期に崩壊

早期に崩壊

保たれる

病識

なし(初期にはあり)

なし(初期にはあり)

なし

あり

経過

緩徐、常に進行

緩徐、常に進行

緩徐、常に進行

段階的に進行

基礎疾患

特になし

特になし

特になし

男性に多い

男女比

女性に多い(2:1)

男性に多い

特になし

男性に多い

CT/MRI所見

海馬の萎縮

→大脳の全般的な委縮

海馬の萎縮は比較的軽度

前頭葉と側頭葉の萎縮

脳実質内に脳梗塞

PET/SPECT所見

側頭葉、頭頂葉の血流・代謝低下

後頭葉の血流、代謝低下

前頭葉、側頭葉の血流、代謝低下

・梗塞部位に応じた血流、代謝低下

病理所見

・神経原線維変化

・老人斑

・レビー小体

・Pick球

・梗塞巣など

蓄積タンパク

アミロイドβ(Aβ)

・α-シヌクレイン

・タウ蛋白

TDP-43

(出典)病気がみえる vol.7 脳・神経(第2版)

 

 国試レベルでの比較で、どんな項目があったかは再想起できるように頑張ります。

 実際は各認知症ごとの特徴的な症状なども、すべての症状が完成する前に病院を受診することがほとんどで、それぞれの症状等がみられる順番やみられる頻度等があるはずです。そのあたりを少し深堀りします。

 

アルツハイマー認知症の症状のゲシュタルト

 アルツハイマー認知症の認知機能障害は記憶障害ではじまり、ついで言語障害や視空間認知機能障害を生じるという特徴的なパターンを取る傾向にある。

 しかし、アルツハイマー認知症患者の約20%は、失名辞、構成能力の障害、道順を説明できないなど、記憶障害以外の症状で発症する。また、初期症状として、高次視覚処理機能障害やlogopenic型進行性失語が現れ、その後何年も経て記憶や他の認知領域の障害に進行する患者や、非対称的な無動・筋硬直・ジストニア症候群あるいは遂行機能障害を示す患者もいる。

(出典)ハリソン内科学 第5版

 

レビー小体型認知症の症状のゲシュタルト

 認知症や神経精神症状がParkinson症候群に専攻して、または同時に発症する場合はレビー小体型認知症と呼ばれる。レビー小体型認知症の臨床症候は、幻想、パーキンソン症候群、覚醒レベルの動揺、転倒、そしてしばしばREM睡眠行動異常症で特徴づけられる。

(出典)ハリソン内科学 第5版

 

前頭側頭型認知症のゲシュタルト

 家族型および孤発性前頭側頭型認知症でみられる臨床像はきわめて多様であるが、中隔となる臨床症候群は3つある。これら3つの臨床症候群ではすべて運動ニューロン疾患を伴う可能性がある。

① 行動亜型(behavioral variant)は最もよくみられる前頭側頭型認知症で、反社会的行動や感情の障害がみられ、無関心、脱抑制、脅迫的行動、共感の欠如、過食、そして常にではないがしばしば遂行機能障害を伴う。

② 意味型(semantic variant)では、単語や物品の意味理解、相貌認知、感情の障害が徐々に進行していく。

③ 非流暢性/失文法性(nonfluent/agrammatic varient)では、高度な発話障害を生じ、しばしば運動性優位の言語障害を伴う。

(出典)ハリソン内科学 第5版

 

血管性認知症の症状のゲシュタルト

 典型的な症例では、神経症状の悪化が断続的にみられる。

(出典)ハリソン内科学 

 

 教科書で各疾患のゲシュタルトを作ることの大切さと、国試レベルの内容を頭からすらすらと想起できることの大切さの2つを再認識できました。今回はメジャーな疾患であったためか、教科書の記述も詳しく書かれていました。拙い今の私のレベルではReview Articleまで読みに行くあまり必要性はなさそうです。

 

 実際の診察では、身体所見としてレビー小体型認知症パーキンソン症候群(パーキンソニズム)の神経所見もとれるようになりたいものです。

 

 本日もお読みくださりありがとうございました。