『スマホ脳』
アンデシュ・ハンセン (著), 久山 葉子 (翻訳)
~タイムロッキングコンテナや通知設定等の対策まで~
<目次>
- 1.『スマホ脳』を読んだきっかけ
- 2. 書籍紹介
- 3.『スマホ脳』をもとに試行錯誤
- 4. 実用書を読む意味は?
- P.S. 依存症ビジネス:「ついつい手が出るもの」
- P.S. ネットやSNSでの情報・ニュースと向き合う
今回、紹介させていただく書籍は『スマホ脳』です。絶対手放せないアイテムであるスマホが関係するタイトルということで、とても惹かれました。さすがにスマホは危険と煽りすぎな側面も感じますが、本来の生産性を高めたり、目標達成のための手段以外でスマホを使うことに対して生理学的な視点も交えながら競輪を鳴らすような書籍です。
「暇つぶしで人生を終えたいですか?」というようなことを自分自身に問いかけつつ、普段のスマホの使い方を振り返るきっかけとなりました。
1.『スマホ脳』を読んだきっかけ
おそらく書店に足を運んでいる方の中にはご存知の方も多いと思います。1か月程前に品川駅構内の書店に立ち寄る機会があったのですが、その際もその書店ではランキング1位でした(部門は忘れました)。相変わらず、人気の書籍のようですね。
今回もこの本を読んだきっかけは半年以上前に書店で見かけたことでした。もっとしっかり読んで自分なりに考えてみようと思ったきっかけはYouTubeの「医師の教養」チャンネル(平島修先生、矢吹拓先生)の動画でした。
そして、『スマホ脳』に関して民間医局と医師の教養チャンネルのコラボレーション企画にてパネリストをさせて頂く機会を頂きました。
≪開催報告≫もっと!医師の教養#3(ビジネス編)ー医師として、社会人として、1人の人間として考えてみようー|民間医局コネクト | 民間医局コネクト
そこで改めてもう一度スマホとの関係性を見直してみようと振り返り、新たにスマホとの距離をおくことを決めた次第です。(スマホというよりはスマホ内のアプリ等を含むスマホ全体との関わり方として距離を置きました)
2. 書籍紹介
では、書籍の紹介に移らせていただきます。
『スマホ脳』
アンデシュ・ハンセン (著), 久山 葉子 (翻訳)
<こんな人におススメ>
実際に書籍の中では、長年の人類の進化の視点からどのような特徴を持つ人が生存しやすかったか(選択されてきたか)に触れ、人間のホルモン(ドパミン等)の働きからもなぜ依存しやすいかについて説明しています。進化やホルモンの話を混ぜながら、分かりやすいく説明されています。スマホ(SNS等)の通知ですら、ドパミンとの関係で依存しやすくなるようです。スマホがギャンブルと同じく依存しやすいのかを腑に落ちるように理解できます。具体的なメカニズムやスマホによる影響は本を読んでみてください!!
3.『スマホ脳』をもとに試行錯誤
この本を読んで、実際に私が対策してみたこと/考えてみたことを紹介します。
◆スマホへの対策◆
- SNSのアイコン:画面のすぐ見えるところに置かない(階層的に下にする)
- 時計:時間を見る際にスマホを見ないようにする
- スマホを見ない時間を作る
- 機内Wi-Fiにつながない
- スマホ通知設定や画面設定を変える
- 物理的にスマホを使えなくする ータイムロッキングコンテナー
実際にやってみて感じたことは次の通りです。
①スマホのアイコンを消す
Facebook等のSNSのアプリのアイコンを画面のすぐ見えるところから、ちょっと見えにくい階層的に下のところに配置しました。すると、確かに見る回数はある程度減ったと感じます。一方で、いくら階層的に下の方にあると言っても気になってしまうことがあり、アプリを削除することも徐々に考え始めました。Facebookで勉強会の情報を集めたり、医学的情報を集めたりする際の有用性は感じているのですが、そういった情報以外にも知らなければ知らないでよい(SNS誕生以前は知人がどんな生活をしているのか・食べ物を食べているのか、ただの報告等)情報も多く、次に有用な情報が来るかどうか(情報が手に入るのかもしれないという期待)でドパミンが出ているのではないかと感じました。
アプリの閲覧時間の管理(スクリーンタイムの振り返り)も入れて、気がつかない間に時間をとられないようにしようと心がけてみました。
【追記】
一時期はアプリを削除していましたが、通知設定やスクリーンタイムでの使用時間制限へと至りました。具体的方法は⑤をご覧ください。
②時計を用意する
スマホをベッドに持ち込むことで寝る前にスマホをついつい見てしまうということから、目覚まし時計はすでに導入していました。ベッドでスマホの画面をみて、そのまま寝落ちして画面(動画再生等)はそのままのようなこともあり、スマホの電池切れをしたことから目覚ましにならないリスクが高いというのもありました。
iPhone 4Sの時にガラケーからスマホに変更してからは時計をしない日も増えました。しかし、時間を確認する目的でスマホを見たら通知が届いており、そこからスマホに時間を奪われてしまうということが多いことに今さらながら気がつきました(iPhoneが日本で始まった当時はすべてのメッセージ等が自動受信に対応していなかったからというのもありました)。そのため、最近では意識して時計もしてスマホのホールド画面をチェックする事から始まる負の連鎖を根源から少しでも断ち切るようにしています。
③スマホを見ない時間を作る
これは『スマホ脳』の書籍内でも実験だったかを含め紹介されています。数時間でさえ、あることに集中することが難しいと感じる今日この頃ですが、その時に見なくてもよいスマホの通知に気を取られて大切な時間を失っている私がいることに気がつきました。
本当に必要な連絡であれば、電話を鳴らしてもらえばよいと感じています。本当に今すぐ必要であれば、相手もメッセージをちょっと送って終わりということはないはずです。何かに集中したい時には数時間に一度チェックして返信するというようなメリハリをつけた関わり方がとても心地よいです。どうしてもスマホに気がとられてしまう人はスポーツなど、目の前のことに集中できる(集中せざるを得ない)ことをやってみるのもよいかもしれないと感じます。
スマホに邪魔されず学ぶ/本を読むなどの対象に集中する時間がとても有意義なものだと感じることができました。たとえ、休日に1-2時間だけであってもスマホから意識を遠ざけて集中できることはとても価値のある時間であると感じました。病棟からの電話がくる可能性もあるので電話の通知オフにはできない人も多いかと思いますが、そのような中でも可能な範囲でこの気持ちよさを体感しなおして欲しいものです。
④機内Wi-Fiにつながない
スマホを機内Wi-Fi(インターネット)につながないことを意識するようになりました。昔はJALの機内Wi-Fiがサービスを開始した時にはクーポンのようなものがJALから無料で与えられていたので物珍しさもあり、機内Wi-Fi(インターネット)をつなぎ、特別急ぎの用もなく使っていた記憶があります。
最近では、JALもANAも国内線の機内Wi-Fiによるインターネットが無料になりました。しかし、電話はできない環境を逆手に取るようにし、スマホは原則的に機内Wi-Fiにつながないようにしました。③のスマホを見ない時間と同じく、PCで作業するなり、本を読むなり、勉強するなり、外の景色みてぼーっとするなり、邪魔されない自分の時間にしています。
⑤スマホ通知設定や画面設定を変える
私自身はスマホの通知が気になって、画面を開いたらそのままスマホに時間を奪われるというようなことが多くあります。集中力を鍛えるというのも解決策ですが、集中力を保ちやすいよう、就寝前はまぶしくないように、というような具合でiPhoneやアンドロイドで可能な限り次のような設定を工夫をしています。主にiPhoneをメインで使用中のため、iPhoneを軸としたお話をします。
- SNSアプリ(LINEを除く)の通知OFF
- メールの時間指定通知(時間指定要約)
- カラーフィルター(画面の白黒化)
- ホワイトポイントを下げる
- アプリの使用時間制限
- 休止時間の設定
SNSの通知オフについてです。一時期はアプリを削除していたのですが、どうしても発信をする機会があることやブラウザでの動作が不安定であったということもあり、アプリを復活させました。そこで、通知はオフにして、気を取られないようにすることにしました。そして、通知アイコンも見てしまって気にならないように、アプリはホーム画面から削除しています。
メール等も通知に気を取られないようにするという方向性は同じです。例えば出版社の担当者の方とやり取りしている時などにメールに気がつかずに数日間放置となってしまっても困るので、時間指定通知を導入しています。各自で時間や回数を設定できますが、〇時にまとめて通知を受け取るというようなシステムです。私はあるメールアカウントでは朝、お昼、夕方(やや夜)に通知設定をしています。メールアドレスごとに用途を分けても対処しきれない場面(例えば金銭も扱う場面もあるものの広告メールも多い会社等)や深夜のメール通知にて起きないためにも、時間指定通知を導入しました。
通知の設定方法ですが、"設定>通知"と進み、通知スタイルをアプリごとに設定します。通知設定を変更するアプリを選択肢します。通知オフの場合は、"通知を許可"をオフにすれば、通知オフとなります。時間指定通知の場合は、"通知を許可"をオンにして、"時刻指定要約"を選択します。そして、"スケジュールを編集"を押して、1回目の要約の時刻、2回目の要約の時刻というように自身の生活スタイルに合わせて設定をしてみてください。
カラーフィルターというのは、画面を白黒化する方法で見えているものをつまらなく感じさせてくれます。カラーであるがゆえの刺激を避けることができます。例えば、これといった理由なくインスタを見てしまうことを防いでくれたりします。また夜にに設定することで、寝る前にスマホを見てしまうことを回避しています。
ホワイトポイントを下げるというのも、画面の白さ(まぶしさ)を減らすための工夫のひとつとなります。これは、夜のスマホによる安眠妨害対策というものなので、お昼は基本的に使わないで過ごしています。
カラーフィルターもホワイトポイントも寝るための一環という側面があります。ブルーライトの影響はあるものの、これに関しては夜に部屋の照明を暗くしていくことや画面の明るさを調節していくこととセットでやっていく必要があると思います。
アプリの使用時間制限も「目的もなく何となく見ていたら時間が過ぎていた」というような後悔を防止するためです。使用時間を管理しやすいように、そしてアプリを削除してもどうせ見てしまうというのもあり、SNSのアプリを削除からアプリで使用時間を管理するようになりました。何が良いかというと、使用時間を決めておくと、その時間で警告が表示されることや、その警告を解除するのに画面を押すというほんの少し手間がかかり、それで見ることをやめようという気にさせてくれることが多くなります。やるための手間を増やすと悪い習慣をやめやすいと感じます。iPhoneでの設定方法は 設定>スクリーンタイム>App使用時間の制限、にて制限したいアプリを選択し、利用時間制限を設定してください。その制限時間を超えると警告が出て、閉じる、もしくは1分許可、15分許可、その日は制限を外すというような手順になります。
他にも、デジタルデトックスをしたいときには「休止時間」を導入することも可能です。私自身はそこまではSNS等の通知さえ、これまでの方法で気にならなくなれば必要ないと感じていますが、休暇などで一気にオフにしたいとき、夜に電話以外の通知を一律にシャットダウンするときには使用できると思います。通知>スクリーンタイム>休止時間より設定できます。
『スマホ脳』の書籍の中で紹介されている液晶によるブルーライトの影響はゼロにはできないもののカラーフィルターやホワイトポイントで夜の寝る前の対策もしています。iPadに関しては、通知は原則何も通知の鳴らない設定にしています。そのせいか、私自身の中ではスマホのような「意味もなく見たい」というような衝動には駆られません。そのため、スマートフォンへの対処法ということで実際にiPhoneを中心に対策をやっています。
⑥物理的にスマホを使えなくする ー タイムロッキングコンテナ ー
誰もスマホを破壊しろと言っているわけではありません。物理的にスマホを指定した時間だけいじれないようにする便利グッズです。「スマホ ロッキングコンテナ」、「タイムロッキングコンテナ」、「スマホロックBOX」、等で検索すると見つかります。
タイマーで1時間など各自で設定してロックして使用します。その間は電話の受信程度はできます。一方で、ふとスマホを手に取って画面をいじり始めたら、SNS等を見ていて気がついた時には時間をムダにしていたというような状況を回避することができます。
これなら、病棟からいつ電話がかかってくるか分からないような、電話を手放しにくい仕事でも、スマホをムダにいじらなくて済みます。物理的なロックの効果は偉大でした。
スマホロックBOX次第ですが、電話にすら出れないもの、画面も見えないもの、スマホを充電しながらロックできるものなど、様々です。機能と値段の安さから上記のものになりましたが、いろいろとありますので気になる方はチェックしてみてください。
4. 実用書を読む意味は?
知識の習得を目的とした本以上に、このような本では読書後に取り入れてみること、実証してみることに価値があると思います。学問の体系的な書籍の場合はPDCAサイクルぐらいの長期のスパンでアウトプットしていく場面もあると思いますが、それこそ今回のような実用書レベルのものでは、PDRサイクルやOODAサイクルのように回してみるまでいかなくても、とりあえずやってみるぐらいの短期的なアウトプットが必要だと思います。1冊読んだら、生活のどこかに導入してみるというような感じです。PDCAサイクルはあくまでも、変わらない環境の中で最善を尽くす方法を探るメソッドだからです。
実際に読書してみて、それを取り入れたものの失敗であったというような場合でも良いと思いますし、取り入れながら改善していけばよいと思います。
スマホに奪われていた時間に目を向けて何か有効に使ってより充実した時間を過ごすヒントとなれば幸いです。スマホに奪われる時間(必要な連絡等以外の時間)をゼロにすることはできないですが、私自身はこのブログを書いたり、ブログにするかを問わず何かを調べたり、教科書を読んだり、思いっきり遊んだり、映画を見たり、比較的何かに没頭する時間に使うようにしています。
実際にスマホを「意味もなく見たい」というすべての衝動に勝つことはできないときもありました。そういう意味でも、アルコール依存症等だけでなく、誰しも身近なものに依存しやすい性質があると知ることもできました。
そうしたら、なぜ依存症の人がやめられないのか、どのようにやめていったらいいのか、もっと依存症の患者さんに共感できる自分となれるような気がします。そのようなことも医師の教養を通じて先生に教えて頂く機会にもなりました。素敵な機会をありがとうございました。
P.S. 依存症ビジネス:「ついつい手が出るもの」
『依存症ビジネス』デイミアン・トンプソン(著)ということでやや激しいタイトルではありますが、もともと依存になりやすい人間として注意・警告ととらえれば自身への戒めにもなると感じました。
通知はもしかして「Facebookの投稿に対するコメントかな?」とかいうように、ついつい手が出てしまうものはスマホだけでなく様々なものがあります。依存を巧みに利用する自由市場とつながっており、スイーツとしてクリスピー・ドーナッツやスタバのフラペチーノのような商品、オンラインポルノをはじめ、カジノや麻薬・鎮痛薬だけでない様々な激しいドパミンジャンカー的な誘惑について以前から紹介されています。
スマホ対策だけでなく、他にも対策することで、そもそも依存しやすいものだと意識しながら、「自由な選択肢や時間」が増やせるかもしれませんね。そして、スマホのSNSの通知設定やSNSとの向き合い方、iPhoneのカラーフィルターなどと組み合わせて上手に使っていく必要があると思います。
P.S. ネットやSNSでの情報・ニュースと向き合う
スマホ脳で紹介された依存症のような状況として、似ているものにネットやSNSでの短い・浅い情報やニュースを幾度となく見てしまう状況があります。その状況から失ったもの(注意力、時間等)を取り戻すためのヒントとして『News Diet』という本を読み、それを元に読書ログにしました。よろしければ、ご覧ください。
本日もお読みくださり、ありがとうございました。
今回取り上げた書籍です。アマゾンの読者レビューをはじめ、気になる方はチェックしてみてください。