医学生からはじめる アウトプット日記

医学生のうちにはじめてみたいということで始めてみたブログです。体験のシェアや、日常の医学に関連する疑問の「なぜ」・「なに」を大切にアウトプットする場としても使いたいと思います。少しでもお役に立てば幸いですが、自己責任でお願いします。また、内容に関しては自身の所属等とは一切関係ありません。

心不全① 病態と治療薬(慢性心不全)

心不全① 病態と治療薬(慢性心不全

 

1.心不全の病態
2.心不全と治療薬

 

 心不全には様々な分類がありますが、何となく「心臓のポンプ機能が十分に働かない」という程度で考えていると、治療になぜその薬を用いるのか、なぜ用いないのかというあたりがあまり理解できないように感じました。そこで心不全の病態や分類について調べてみることにしました。まずは教科書の要約・抜粋から。
(調べていったところ、この記事は急性心不全の話よりも慢性心不全の話になりました。急性心不全は次回にしたいと思います)

【急性心不全の記事はこちら】

心不全② クリニカルシナリオと病態・治療(急性心不全) - 医学生からはじめる アウトプット日記


1.心不全の病態

 心不全heart failure (HF)の不均一性と複雑性を含んだ機序にもとづいた定義を開発しようと繰り返し試みられたが、時代時代の分析に耐えて残った概念的枠組みは1つもない。現在のAmerican College of Cardiology Foundation (ACCF)/American Heart Association (AHA)ガイドライン心不全心室充満や血液駆出の構造的・機能的障害に由来する複雑な臨床的症候群と定義づけたが、このような障害は日常的臨床症状である呼吸困難と倦怠感、心不全の徴候である浮腫とラ音を引き起こす。なお、体液過剰の徴候や症状のない患者が多いため、古い用語の「うっ血性心不全」よりも「心不全」という表現が好ましい。

 

<病態生理>
 誘因となるイベントは全てが多少なりとも心臓のポンプの低下を引き超こす。心機能が低下した当初はほとんど症状はないか、わずかしかなく、心機能が低下してしばらくたってから症状が出現する。

 心不全患者における心拍出量の減少は、左室内、頚動脈洞、大動脈弓の高圧系圧受容器の減負荷を生じさせる。この末梢の圧受容器の減負荷が副交感神経を介した抑制性シグナルを減少させ、その結果、遠心性の交感神経活動と下垂体からのアルギニンバソプレシン(AVP)の非浸透圧性の放出を亢進させる。AVP [あるいは抗利尿ホルモン(ADH)]は集合間での自由水再吸収に働く。中枢への求心性シグナルは、心臓や、腎臓、末梢血管、骨格筋を神経支配している遠心性の交感神経経路を活性化させる。
 腎臓の交感神経刺激によりレニンの分泌が起こり、その結果アンジオテンシンIIとアルドステロンの血中濃度が増加する。レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系 (RAA系)の亢進ナトリウムと水分の貯留を促進し、末梢血管を収縮させ、心筋細胞の肥大、心筋細胞死、心筋の線維化へと導く。

 

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心不全における神経体液性因子の活性

 このような神経体液性因子の調節は、短期的には血圧の維持、したがって重要臓器灌流を維持するように促す。また、神経体液性因子の調節は心臓と循環系の水分の貯留に寄与していると考えられている。

 これに加え、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、プロスタグランジン(PGEs, PGIs)、一酸化窒素(NO)を含む血管拡張因子活性化すると、過剰な末梢血管収縮が相殺される。これらやサイトカインをはじめとして、左室リモデリングとよばれる心筋内における一連の適応性の変化を引き起こす。

 このような代償機構が左室機能を生理的範囲内に維持できるよう調節していることで、患者の機能的能力は保持されるか、わずかに低下する程度にとどまっている。したがって、患者は数年間は無症状か症状がほとんどない状態となる。しかし、ある時点から症状が明らかになり、その結果心不全による合併症発現や死亡リスクが増加する。


<駆出率の低下した心不全 HFrEF; Heart Failure with a reduced EF>
  左室リモデリングに関わる生理活性物質が持続的に過剰発現し、心臓と循環に有害な作用を及ぼして心不全の進展に寄与すると考えられている。実際にこの考え方が、心不全患者の治療においてこれらの系を遮断する薬物(例;ACE阻害薬、β遮断薬)を使用する臨床的根拠となっている。

 

<駆出率の保たれた心不全 HFpEF; Heart Failure with a preserved EF>
 HFpEFの進展に寄与する機序については理解の途上にある。拡張機能障害が唯一の機序と考えられていたが、血管の硬さの増加や腎機能障害のような心臓以外のその他の機序も重要であることが研究によって示されている。

 

(出典)ハリソン内科学 第5版

 

 やはり、複雑でまだしっかりとは解明されきってはいない面もありますね。つまみ食い形式で文量を減らしてみましたが、何だかすっきりしません(笑)そもそも、短くはなったものの短いとも言い切れない文量があります(泣)

 交感神経亢進、RAA系亢進、バソプレッシン分泌亢進というあたりがキーになりそうですね!これらを代償することができなくなったときに、負のスパイラルに陥って急性心不全になりそうです。例えば、呼吸困難感染普段以上に交感神経の亢進があった際には何とか維持をしていたバランスを保てなくなりそうです。
 誘因となる原因は心臓のポンプの低下を引き超こすということで、もちろんその原因そのものを治療できるものも中にはありますね。しかし、左室モデリングは心臓を移植するとかしない限りは解決しませんね。


2.心不全と治療薬
 病態の復習や理解を深めるのにつながることを期待して治療薬についても調べてみます。

<慢性心不全の経口薬>
・ACE阻害薬
・ARB
・β遮断
・抗不整脈
・血管拡張
・利尿薬
・バソプレッシンV2受容体拮抗薬
ジギタリス

(出典)循環器内科ゴールデンハンドブック(改訂第4版)

 

 RAA系の亢進を抑えるACE阻害薬ARBモデリング防ぐACE阻害薬β遮断薬不整脈由来の心不全をコントロールする抗不整脈薬、冠動脈や血管の拡張をさせて狭心症や高血圧症の治療になるノルバスク錠をはじめとする血管拡張薬(血管拡張因子のお手伝い?と考えられる)、腎臓での水の再吸収を抑えるバソプレッシンV2受容体拮抗薬と先ほどの病態から説明できそうです。
 ジギタリスに関しては昔から使われてきましたが、近年では減少傾向のように感じます。やはり、メカニズムから考えるにエビデンスの再考等が考えられるのも納得です。特に慢性期には体液管理等が優先だと感じるので、基本的には第1選択で使うことには疑問を感じます。

 

 さらに心不全の分類(Forrester分類、Nohria-Stevenson分類)による治療法も調べてみましたが、ハリソン内科学ではその分類の説明やそれ基づいた治療法の説明はなく、HFrEFやHFpEFごとの治療法や、急性非代償性心不全の際の治療法についての記載でした。

 

 今回調べたことは主に代償がはたらきバランスを保っているときだと思うのですが、急性非代償性心不全(急性心不全、慢性心不全の急性増悪)について次回は調べてきたいと思います。

 

【続き:急性心不全はこちら】

mk-med.hatenablog.com

 

 本日もお読みくださり、ありがとうございました。